名前の意味
属名は化石調査に当たったアメリカの古生物学者デービッド・ダンクルと、硬く頑丈な頭部の骨の装甲にちなんで「ダンクル博士の骨」を意味する。
長らくディニクチスと混同されていたが、近年別のグループだと分かり仕分けされた。
ちなみにディニクチスは「恐ろしい魚」という意味。字面的にはこっちの方がしっくり来るところだが、発見者や研究者にちなんで名付けられるのはよくあること。
特徴
板皮類は頭骨こそ固くて頑丈な硬骨でできているが、対する胴体は軟骨。
なので化石として発見されているのは頑丈な装甲で覆われた前半分のみで、後ろ半分の復元図は殆ど近縁種などからの推測に頼られている。
全長は数メートルに達し、6~8mとされている(以前は10m説が主流だったが、どちらにせよ古生代最大を誇る異例の巨体)。流線型の体型をしていたと考えられているが、巨大で頑丈=重い頭部のため速く泳ぐことはできなかったと思われる。
また頭部はそれまでの魚と異なり動く下顎を発達させており、獲物を噛み砕くことができた。歯こそなかったが口には鋭利なプレート状の骨が二つあり、ハサミのような動きをした。
近年の研究によると、噛む力は前方で4.4t、奥で5.3tに達したらしい。これはホホジロザメどころか大型のワニを凌駕する程で、歯を持たない生物としては異例中の異例。
生態
化石はアメリカ、ヨーロッパ、北アフリカで見つかっている。その強力な顎を武器に、デボン紀の海の食物連鎖の頂点に君臨していただろう。
その顎で獲物の外骨格や装甲を噛み砕いて殺すことができたが、歯がなかったので捕らえた獲物の肉片をそのまま丸呑みにしていた。そのため消化できずに獲物を吐き戻してしまうこともあったらしく、しばしばダンクルオステウスのものと思われる嘔吐物の化石も見つかっている。
また、背びれに大きな棘を持った魚(棘魚類:絶滅した魚のグループ)を食べて、その棘が喉に刺さって死んでしまった化石も確認されている。不憫なり……
強靭な顎を持つダンクルオステウスは三葉虫やウミサソリ、「甲冑魚」の名で有名な「無顎類」の魚を衰退に追い込んでいったが、デボン紀後期におきた大量絶滅とデボン紀末期にサメとの生存競争に敗れて絶滅したといわれる。
余談
ティタニクティスという、おそらく近縁だがフィルターフィーダーである平和主義的な種類もいた。
関連タグ
すれちがいフィッシング - 幻の魚の1つとしてダンクルオステウスが登場する。
ギガンティックバイト - 『ダライアスバースト クロニクルセイバーズ』に登場するダンクルオステウス型の巨大戦艦。
ウオノラゴン、ウオチルドン - 『ポケモン剣盾』に登場する、ダンクルオステウスをモデルとしたポケモン。ただし、化石が上半身しか見つかっていないため、前者は剣竜、後者は首長竜とをそれぞれ合成した姿をしている。
シーラモンガー - 『太陽戦隊サンバルカン』に登場する機械生命体。設定上はシーラカンスがモチーフだが、頭部はダンクルオステウスがモチーフ。