概要
日本の競馬史を代表する名馬の一頭であるステイゴールドと、彼の血を引く子孫たちのファンの間における総称である。
同意の言葉に「黄金一族」「ステゴ軍団」「阿寒湖一族」、冗談交じりに「指定暴〇団阿寒湖組」
一般的に、同じ父を持つ馬たちを特定の括りで呼ぶことは少ないが、ステイゴールドの産駒たちは、レースで多くの重賞勝利を挙げ、特にメジロマックイーンの娘たちとの掛け合わせはステマ配合と呼ばれ凄まじい功績を叩き出しており、非常に優れた血統であることは間違い無い一方、始祖のステイゴールドがかなりの気性難だったことが影響してか、産駒たちも癖馬ばかりで様々な珍事を巻き起こす者が多数いる愛さずにはいられない血統でことから、自然とこの区分が出来上がった。
種牡馬ステイゴールド
数多くの名馬を輩出したステイゴールド。これだけの種牡馬成績をたたき出したのだから、さぞ凄まじい競争成績と名牝たちが集められたのだろうと知らない人がいればそう思うだろうがそんなことはなかった。
寧ろ彼の競争成績は
- GⅠ馬とはいえ1勝
- 種牡馬入り時期も高齢とされる8歳から
- 中長距離の晩成型で小柄
- 気性難
など種牡馬としては寧ろ低い評価がなされていた。
しかも種牡馬として成功する条件の1つとも言われた社台スタリオンステーションには繋養されず、非社台系のブリーダーズスタリオンステーションとビッグレッドファームのシャトル種牡馬として運用される形である。
このため繁殖牝馬の質という点では、ライバルに比べてあまりにも劣る。彼の種牡馬生活は輝かしい実績とはかけ離れるほどにあまりにもハンディが大きい物であった。
ではなぜ彼が成功したか。その要因としては幾つか挙げられている。1つは父サンデーサイレンス、母ゴールデンサッシュ、母父ディクタス、母母父ノーザンテーストという他のサンデーサイレンス産駒種牡馬に比べて明らかに血統が頭1つ抜ける超一流でありながら5代内インブリードが発生しないという当時でも考えられないほど完璧な血を有し、サンデーサイレンス系の牝馬でなければ特段相手に困らない事(寧ろ他に成功した馬がいたら未勝利だろうが種牡馬入りもあり得る血統である)。
そして多くの種牡馬がそうであるように、無理矢理に種付けをさせられた結果種付けを拒否したり、荒れてしまったりする馬も多い中、ステイゴールドは自ら積極的に種付けをこなした事である。
成功した種牡馬としてはディープインパクトが有名だが、彼は種付けを次第に嫌がるようになり、後年では薬で無理やり発情させて種付けさせていたほど。スペシャルウィークも種付け自体が大嫌いになっている。
一方のステイゴールドは寧ろ野獣の如き勢いで種付けを実行していき、その種も非常に良質であった。また繁殖牝馬には恵まれなかったが、その中に最高レベルの相性を誇ったオリエンタルアートが含まれていた事も彼の種牡馬成績の一因であろう。
そして本来ならば大物が出てくることはないだろうと思われていた牝系から大物をたたき出す『牝馬の質を問わない』という、嘗て日高の中小生産牧場を救ったと言われる『お助けボーイ』ことトウショウボーイと同じ種牡馬適性を有していたことである(三冠馬を輩出したという点に於いても同じである)。
他にも外的要因として
- 父サンデーサイレンスとライバルであったトニービンの死去
- それと互角に戦ったブライアンズタイムに起こった悲劇
- オグリキャップやトウカイテイオーなどの内国産馬の種牡馬低迷
- ポストサンデーサイレンスを狙った外国種牡馬の潰滅
など、1つでもタイミングがずれていたら活躍の場はなかったかもしれないというほど絶妙なタイミングで種牡馬として暴れまわることができたことも大きかった。
こうしてステイゴールドは己の血だけで名種牡馬に名を連ねたため『奇跡に近い』『例外中の例外』などとその特異な種牡馬成績を評された。またサンデーサイレンスの気性なども含めて遺伝させていくことから『サンデーサイレンスの最高傑作はディープインパクトであることに疑問の余地はない。しかし、後継者としては余地が残る。それは良くも悪くも、最も血を濃く深く継承したのはステイゴールドであったからだ』とも言われる。
ステゴ一族によくあるとされる特徴
ディクタスアイ
ステイゴールドの血統をさかのぼる
と、母父にディクタスというフランスの競走馬がいる。
このディクタス、父としてはサッカーボーイやイクノディクタスなどを輩出した押しも押されもせぬ名種牡馬であるのだが、その産駒や子孫はよく「大きく目を見開き、白目を剥いて相手や周囲を見つめる」表情をする。
孫にあたるステイゴールドも例外ではなく、果てはゴールドシップやオルフェーヴルなどのステイゴールド産駒からメロディーレーン、マルシュロレーヌなどの孫世代に至るまで受け継がれており、文字通りステゴ一族を代表する表情となっている。
気性難
ステイゴールドの血統を見ると
と両方ともに気性難持ちの血統となっており、言ってしまえば気性難を濃縮したような血統である。
そのためかステイゴールド自身もかなりの気性難であり、鞍上を振り落とす、調教師に威嚇する、立ち上がる、スペシャルウィークに噛みついたりするなどの問題行動を起こしていた。
産駒たちにも(一部の例外を除き)軒並み気性難は遺伝しており
- 引退後に主戦騎手が会いに行ったところ命の危険があるという理由で面会できず
- 調教をボイコットして丸一年棒に振る
- 主戦騎手を二回も振り落とす
- 平地同一G1三連覇がかかったレースのゲート内で立ち上がり惨敗
- 調教中に放馬し勝手に障害を飛越、ダートに溜まった水で泥遊び
- レース当日に寝転がって砂浴びをしだす
などの癖が強く、そんなメチャクチャな癖馬軍団なのにG1を何勝もするような愛さずにはいられない産駒たちが多く出ている。
頑丈さと晩成さ
競走能力としては最も目に付くもの。ステゴ自身未勝利時代に右前脚の骨膜炎を発症した以外には現役時代には怪我などもなく、実に50戦という年代を考えても中央としては尋常ではない数のレースを難なくこなし、4歳からG1戦線で善戦しながら7歳にして全盛期を迎え、ラストランの後ですら武豊騎手に「来年現役なら年度代表馬もいけるかも」と言わしめたほどの能力を秘めていた。
種牡馬入りして以降はその両方の素質は産駒たちにも引き継がれ、オルフェーヴルは6歳までに三冠含めたG1六勝を挙げたにも関わらず引退してから更に馬体が成長し、ゴールドシップは長距離中心でストライド走法という身体に負担の掛かる競争生活を過ごしながら引退後の検査でなんの異常も無かったり、オジュウチョウサンは事故の可能性の高い障害競走を走り続け11歳春でG1九勝を記録し、事実上のラストクロップ世代である18世代の、アフリカンゴールドとステイフーリッシュが2022年に次々と重賞勝利を挙げたり(アフゴは7歳で重賞初制覇、ステフはサウジで3年9ヵ月ぶりの勝利)と枚挙に暇がない。
孫世代では、ドリームジャーニー産駒のヴェルトライゼンデが495日振りの復帰戦で鳴尾記念に出走し勝利を勝ち取り、平地競争における最長間隔勝利記録を更新した。
海外適性
これについても、海外での2戦両方で(意味の分からない勝ち方で)勝利を挙げた自身の能力を上手く引き継がせている。産駒が勝利を挙げた国は香港、フランス、シンガポール、サウジ、ドバイであり、特に凱旋門賞ではナカヤマフェスタとオルフェーヴルが二着を三度も記録し、シンガポールではエルドラドがシンガポールゴールドカップを2連覇も含め3勝、ドバイではステイフーリッシュが「一番人気のゴドルフィンの馬を直線で差し返し重賞連勝」という父のドバイシーマクラシックの再現をやってのけるなど、ここでも異彩を放っている。
加えて孫世代のマルシュロレーヌは、ラヴズオンリーユーのおまけのような扱いでBCディスタフに参戦し、あまつさえ勝利を勝ち取ってしまいまさかの日本馬初の海外/アメリカのダートG1制覇という偉業を成し遂げた。
乾草をディップ
彼は牧草を水に浸けてふやかしてから食べたり、そうして風味の着いた水を飲むのが好みであるようで、度々乾草を水桶に浸けており、関係者からは「お茶漬け」と称されていた。なんでも堅い食べ物より軟らかい青草などが好みであるらしく、馬の好物の代名詞であるリンゴと人参はむしろ嫌いな部類だった。この傾向はステイゴールド産駒の一頭であるゴールドシップにも受け継がれている。
オルフェーヴルやドリームジャーニーも同じような行動をしている様子が目撃されており、どうやらこの「牧草をふやかしてから食べる」という行動もステイゴールド譲りの癖らしい。
ちなみに、牧草を水に浸す行為を含めて気に入っているようで、最初から浸されているとキレる。
対ゴドルフィン特効スキル 通称:ゴドルフィンキラー
アラブの競馬会盟主であるゴドルフィンに対して、何故かステイゴールド自身や産駒がかなり目立つ形で勝利することがある。ステイゴールド自身も海外レースであるドバイシーマクラシックで当時の世界最強馬ファンタスティックライトを撃破し、引退レースである香港ヴァーズでエクラールを撃破している。
これだけであれば偶然の産物に思えるのだが、実はオルフェーブルも日本ダービーではゴドルフィンが送り込んできたデボネアを蹴散らし、ステイフーリッシュは新進気鋭のステイヤーとして注目を集めているマノーボを厩舎でチームを組んでいたメンバーごとまとめて捻じ伏せている。
ステイゴールド産駒世代において発揮される対ゴドルフィンであったが、遂には武蔵野ステークスでオルフェーヴル産駒ギルデッドミラーがゴドルフィン所有馬レモンポップをハナ差差し切り撃破し、ゴドルフィンキラーは遂に孫世代であっても遺伝することが判明した。
尚この特効スキルは馬の視覚的な観点から行けば理由付け自体は可能である。というのも馬の視覚は青色をしっかりと認識できるため、青色が何かしらのトリガーになっている可能性自体は充分にあり得るという。ただしそれが事実であるのかは不明である。ただしステイフーリッシュに限って言えば視界内にマノーボを捉えた瞬間、マノーボを睨み付けながら再加速しているため、彼にとっては明確にトリガーとなっている。
因みにステイゴールドはこれに加え、鞍上ランフランコ・デットーリに対する特攻スキルも持っている。デットーリ自身が「二度とこの馬と戦いたくはない」というほど強力なスキルである。
排泄物
ここからは下品な話題になるが、ステイゴールドは、種牡馬入り後の放牧中に自分の糞便の匂いを嗅いで悶絶したような声を上げる様子が動画に収められたことがある。
擁護すると馬に限らず哺乳類は他者の排泄物を警戒する習性があり、これは他者が自分の縄張りに侵入した痕跡と捉えるからである。動物界で排泄物は相手の健康状態や距離を推察する上で貴重な情報源の塊であり、捕食対象となりうる草食動物ならばなおさら匂いには神経質にもなる。
サラブレッドは闘争本能を刺激することで鍛え上げられたため(かつ世紀の気性難と言われるサンデー血統ならば余計に…)得体の知れないボロ(馬糞)に出くわしたらとりあえず嗅いでおくのは決して理解不能な行動ではない。
問題は周囲を柵で取り囲まれ明らかに自分の物であろう糞便に自分から嗅いで自分でブチ切れる様である。…これが余りに臭かったのか思いっきりディクタスアイをキメており、かつ二度も嗅ぐという謎の行動にまで出た…なにとぞ子孫に、特に女の子たちには受け継がれて欲しくない奇行なのだが、どうやら既にこの癖も遺伝してしまったらしく
- オルフェーヴル:父と同じく悶絶したような声を上げる(この時柵を蹴る)
- オジュウチョウサン:自分の馬糞を人間や他の馬に向かって蹴飛ばして、その反応を見て楽しむ。
- ゴールドシップ:自分の出した糞便を嗅ぎ、何故か小便をかける
など、産駒たちも排泄物関連のエピソードが出ている。
なお、動画ではよく聞くと撮影者と思しき一般の方が「オルちゃんイメージ壊れるよ…」と注意した上に「ステイゴールドも嗅いでた…」と引き合いにまで出されている。
愛さずにはいられない
なぜだか独特な特徴を持ち、ファンから愛されやすいのも一族の特徴。代表産駒からして三冠馬なのに騎手をぶっ飛ばしたり変顔・奇行何でもござれ。他にも父に似て勝ちきれない戦績から人気を集める馬も居れば、馬体はデカいのに愛称が「マメちん」だったり毛の抜け方のせいで眉毛が出来上がった芦毛の馬だったりtwitterやったりだの、各々個性的な方法で人気を博している。
主な産駒たち
(※は現役、★は種牡馬入り)
GⅠ馬
- アドマイヤリード(牝)
- ★インディチャンプ
- ★ウインブライト
- エルドラド(セン)
- ※オジュウチョウサン
- ★オルフェーヴル
- ★ゴールドシップ
- ★ドリームジャーニー
- ★ナカヤマフェスタ
- ★フェノーメノ
- マイネルネオス
- ★レインボーライン
- レッドリヴェール(牝)
GⅡ馬
- ※アフリカンゴールド(セン)
- エムエスワールド
- ★オーシャンブルー
- クロコスミア(牝)
- シルクメビウス
- スティッフェリオ
- ステイフーリッシュ
- ナカヤマナイト
- パフォーマプロミス
- フェイトフルウォー
- マイネルメダリスト
- マイネレーツェル(牝)
- ルックトゥワイス
GⅢ馬
- アルコセニョーラ(牝)
- ウインガニオン
- ウインプリメーラ(牝)
- エクスペディション
- グッドスカイ(牝)
- ★グランシルク
- クレッシェンドラヴ
- ケイアイチョウサン
- ココロノアイ(牝)
- コスモプラチナ
- サンライズマックス
- ステイインシアトル
- ソリッドプラチナム
- ツクバアズマオー
- トゥインク
- ※マイネルファンロン
- マイネルミラノ
- メイショウヨウドウ(セン)
- ワンブレスアウェイ(牝)
地方重賞馬
オープン馬
その他
- ハルノナゴリ(牝)ステイゴールド最後の産駒
孫世代
ナカヤマフェスタ産駒
- ※バビット
ドリームジャーニー産駒
オルフェーヴル産駒
ゴールドシップ産駒
関連イラスト
pixivでは、メディアミックス作品「ウマ娘プリティーダービー」に登場する、ステイゴールドをモチーフにしたと推測されるアニメオリジナルウマ娘と、その産駒をモチーフにしたウマ娘たちや明言こそされていないもののモチーフとされているウマ娘の集合タグとして使われている場合が多い。