概要
2003年の宝塚記念。
そこは文字通りのドリームレースだった。
前年の年度代表馬シンボリクリスエス、当年の二冠馬ネオユニヴァース、天下のオールラウンダーアグネスデジタル、菊花賞と春の天皇賞を制したヒシミラクル、悲願のGIを狙うタップダンスシチーと主役級がずらりと揃い(ここまでの5頭が全てウマ娘になっている)、ディフェンディングチャンピオンのダンツフレームが脇役扱いされるほどだった。
なお他にもデジタルと同じく芝とダートのGⅠを勝った経験のあるイーグルカフェ、
ツルマルボーイ、サンライズジェガー、ファストタテヤマ、サイレントディールと言ったGⅠ2着経験馬(なおサイレントディールは翌年のフェブラリーステークスで2着))、共に重賞5勝以上のマイソールサウンド・バランスオブゲーム、前走の春の天皇賞で1番人気(3着)のダイタクバートラム、のちの10歳重賞勝ち馬アサカディフィートと脇役も豊富であり、史上最高のメンバーである事は間違いなかった。
その中でヒシミラクルは土曜日朝の時点では単勝33倍台とあまり人気がなかったが、そこで馬券売り場に一人の男性が現われた。
「このアグネスデジタルの安田記念単勝当たり馬券130万円を、そのままヒシミラクルの宝塚記念にしてくれ」
デジタルの安田記念の単勝倍率は9.4倍。つまり1222万円だったのだが、それをそっくりそのままヒシミラクルに注ぎ込んだのだ。
なおデジタルに突っ込んだ安田記念の130万円の原資についてはウインクリューガーのNHKマイルカップの5万円説とネオユニヴァースの日本ダービーの50万円説があるが、いずれにしてもとんでもない賭け方としか言いようがない。
これにより一時的にヒシミラクルの単勝倍率は1.7倍になったが、最終的には16.3倍で落ち着いた。
そしてレース。直線に向いてなおまだ中団だったヒシミラクルだったが、そこから角田騎手が外に持ち出し、ステイヤー特有のロングスパートを発揮。前を行くタップダンスシチーやネオユニヴァースを抜き去り、ツルマルボーイを抑え込んで見事GI・3勝目。
そして1222万円、と言うか5万円or50万円はおよそ2億円に化けたのである。
ダービーで儲けさせてくれた(かもしれない)ネオユニヴァースでも、安田記念で儲けさせてくれたアグネスデジタルでもなく、ヒシミラクルを選んだ彼が何者なのか。
なおネオユニヴァースもアグネスデジタルも着外(と言うか4着だったネオユニヴァースはともかく、アグネスデジタルは13着)だった事を思うと、ますますその慧眼に感服するより他ない。
その凄腕の馬券師の正体は、マジで誰にもわからない……。
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120億円事件 同じ宝塚記念と言うレースで12年後に起きた事件。ウマ娘世界でこの事件の首謀者とこちらの事件の当事者の絡みはあるのだろうか。