概要
『ルパン三世』シリーズでお馴染みの峰不二子が主役となった新シリーズ。
テレビアニメ『ルパン三世 (TV第1シリーズ)』の放送開始から2011年で40周年になったことを記念し、27年ぶりに連続テレビアニメシリーズとして作られることとなった。前年のテレビスペシャル『ルパン三世 血の刻印 〜永遠のMermaid〜』で一新されたキャスティングでのテレビシリーズであり、栗田貫一はルパン役に就任して初の連続テレビシリーズとなる。ルパン三世連続テレビシリーズ初のハイビジョン制作・ステレオ・完全地上デジタル放送でもある。
本作は従来のシリーズと異なり、峰不二子を主人公とし、ルパン、次元、五ェ門、銭形警部ら5人の若かりし時代の危険で熾烈な戦いを描いていく。そのためルパン三世のアニメシリーズでは初めてルパンが登場しないエピソードも存在する。プロデューサーの浄園祐によると、本作の設定は原作漫画が連載された「1960年代後半から1970年代前半」をイメージしているとのこと。
また、シリーズ初の深夜アニメとして制作される事から、原作版をリスペクトした、前衛的かつエロティシズムにあふれたアダルトテイストの作風となっており、従来の作品では少なかった乳首の露出も頻繁に行われている。またルパン三世のアニメでは初めて、原作漫画にある「♂マークと♀マークを絡ませた濡れ場表現」が登場している。
本作のタイトルは「Lupin The Third」と英語表記であり、通常の「ルパン三世」ロゴは使用されていない。また、劇伴担当者が菊地成孔のため、これまでのシリーズで大野雄二が手がけた「ルパン三世のテーマ」も登場していない。その他のメインスタッフも大幅に刷新され、ルパンシリーズ初の女性監督が起用された。
本作のアイキャッチは毎回異なっており、エピソードに準じたイラストが登場する。
登場人物
本作の主人公で、『ルパン三世』シリーズを代表する稀代の美女にして悪女。その本心は常に秘密のベールに覆われている。
『ルパン三世』シリーズの主人公。世界一の大泥棒。当人は厄介な物専門のプロの中のプロの泥棒を自称する。本作では、緑ジャケットを着用している。不二子に惹かれ、様々な事件に巻き込まれる事にもなる。
本作では不二子のことを「俺の退屈を殺してくれる、とびっきりのいいオンナ(或いはお宝)」とみなして狙っている。
暗黒街屈指のガンマン。殺し屋であったが、ある事件を期に廃業。ルパンとは張り合ったり、協力したりの関係。当人曰く宿無しの文無し。
古風な男を自称しており、元々女性は苦手。本作では特に不二子のことを「性悪女」とみなして敬遠している。
石川五右衛門を先祖に持つ和装の男性で、まだ駆け出しの暗殺者。斬鉄剣を使った居合い斬りでありとあらゆるものを一刀のもとに斬り捨てる。
本作では不二子のことを「自分と同じで、居場所のない、それを捜している女」とみなして好意を抱いている。
名は銭形幸一。本作での所属は警視庁でもICPOでもなく「SPECIAL POLICE(詳細不明)」。
ルパン逮捕ではなく「ルパン一族を根絶やしにする」ことを人生の宿願とし、手加減なしでの発砲も辞さない。本作では原作に近い非情でやり手の警察官として描かれている。
本作では不二子のことを「安い泥棒」とみなして軽蔑しており、不二子の色仕掛けにも応じはしたが動じなかった。
今作オリジナル
今作で銭形の部下を務める青年で、中性的な容姿をしており右肩に入れ墨がある。気性の荒い一面を持ち、時として自身の感情から暴力的な激しい言動に出る。天涯孤独の身であったが、年少の頃に銭形に拾われ、警部補の地位まで上り詰めた。
恩人である銭形への敬愛や思慕が強い愛情へと変わり、銭形と情交した不二子に激しい嫌悪と憎悪を抱くようになる。遂には不二子を貶めるために犯罪にまで手を染め、梟頭に持ち掛けられた計画の中で橋を爆破しようとするが、オスカーの所業に気づいた銭形の言葉で我に返り、爆弾を抱いたまま川に飛び込んだ。しかし、死んではおらず、梟頭の集団に連れ去られ、アルメイダの部下として不二子、そして銭形の前に現れる。
ルイス・勇・アルメイダ伯爵
声 - 古舘寛治
医療マフィアの顔を持つグラウコス製薬の老伯爵。白いフクロウの頭をした男として描写される。ルパンに不二子を盗むように依頼。
梟頭
声 - 長克巳、真田五郎
伯爵の執事を名乗る人物。茶色いフクロウの頭をした男として描写される。伯爵の命を受け各地に赴き、ルパンや関係人物と接触する。
各話主要ゲストキャラ
第1話「大泥棒VS女怪盗」
教祖
声 - チョー
「フロイライン・オイレ教団」の教祖でフラフラ様と呼ばれる。本拠地のフロイライン・オイレ島で精製した麻薬を「秘宝フラフラの灰」と称し、信者を薬漬けにしていた。それをルパンと不二子によって盗まれそうになり、島を爆破して逃亡しようとしたが、駆け付けた銭形によって逮捕された。
第2話「.357マグナム」
チッチョリーナ
声 - 田中敦子
マッケローネの未亡人にしてイタリアン・マフィアのボス。カジノ勝負で不二子に勝ち、夫を殺して裏切った次元のマグナムを盗んで誘い出すように依頼する。マッケローネの生前から、自殺未遂を繰り返していた。そしておびき出された次元を自ら始末しようとして逆に殺された。しかしそれは自分が次元に殺されるように最初から仕組んだ事だった。
マッケローネ
声 - 内田直哉
回想シーンに登場。イタリアン・マフィアのボス。次元を用心棒として雇っていた。チッチョリーナを深く愛している。次元とチッチョリーナの仲を妬んで次元を殺そうとしたが、誤ってチッチョリーナに殺され、次元がその罪を被る。
ペンネ
声 - 勝杏里
マッケローネの部下。チッチョリーナの愛人であり、組織を乗っ取るために彼女とマッケローネ殺しを共謀した。用済みとなった次元を殺そうと待ち構えていたが、返り討ちにされる。
林沈々
声 - 多田野曜平
マッケローネの死後、その縄張りを奪ったチャイニーズ・マフィアのボス。マッケローネの組織を抜けた次元を用心棒として雇った。次元からマグナムを盗むため、不二子が愛人として取り入った相手。
第3話「淑女とサムライ」
トランク・ゲオルク
声 - 立川三貴
アストリア公国の国王。王位を狙うシュメイト男爵に命を狙われる。
フランク
声 - 牛山茂
トランク国王の執事。国王を守る警備兵の指揮を任されている。
マルコ
声 - 小林由美子
トランク国王の孫。両親は三年前に自動車事故で亡くなっているため次期国王候補となる。日本のサムライに憧れている。姉にルイーズ(声 - 武田華)とグレース(声 - 津村まこと)がいる。
シュメイト男爵
声 - 野中秀哲
次期国王の座を狙い五ェ門にトランク国王の暗殺を依頼する。口封じのために五ェ門諸共トランク国王を殺そうとするが失敗し、フランクによって逮捕された。
シュメイト夫人
声 - 山崎美貴
トランク国王の娘でシュメイト男爵の妻。亡き兄夫婦の子供たちの身を案じている。
第4話「歌に生き、恋に生き」
支配人
声 - 山野井仁
舞台の支配人。由緒あるオペラ劇場「ゲルニラ宮」に巣食うと言われる怪人「幽霊」のことを「験担ぎ」と言い、全く信じていない。
ノーラ
声 - 東條加那子
5年前まで小道具をしていた女で、アイヤーンに歌の教育を施されアイヤーンに成り代わっており、作中の舞台ではスカルピン(声 - 高階俊嗣)を相方として主役を演じた。
アイヤーン・マイヤー
声 - 深見梨加(クレジットでは「真アイヤーン」と表記)
仮面のオペラ歌手。ソプラノ・ドラマティコ・アジリタ(速く、軽やかで劇的なソプラノ歌手)。熱狂的なファンの暴挙により顔が焼け爛れており、それ以来宝石を散りばめたアジリタの仮面をつけて舞台に出ている…とされていたが、実際はダレンゾと恋に落ちた後自ら薬品で顔を焼き、その火傷を口実に仮面をつけたノーラに影武者をさせて、自身は地下のカタコンベで密かに暮らしていた。
ダレンゾ
声 - 仲野裕
ゲルニラ宮の「幽霊」はいると主張する大道具。「幽霊」を演じ、地下迷宮さながらのゲルニラ宮で暗躍する。
第5話「血塗れた三角」
少年
声 - 矢島晶子
エジプトの少年。次元に露天のゲームで死者の審判を持ちかけ、その間にペットの猿を使って次元の荷物を盗んだ。
老婆
声 - 京田尚子
質屋の老婆で、次元に紅羽の笑孔雀を探す仕事を持ちかける。
第6話「愛の牢獄」
イゾルデ・ブラッハ
声 - 慶長佑香(クレジットでは「真イゾルデ」と表記)
女学園の転入生。教師として女学園に潜入した峰不二子に憧れ、亡父が遺したペンダントを狙っている不二子は彼女と親しくなるが、嫉妬にかられたアンゼリカたちからイジメを受ける。
しかし、その正体は本人に変装して学園に潜入したオスカー警部補であり、本物のイゾルデは回想シーンにしか登場しない。
アンゼリカ
声 - 桑島法子
不二子に憧れる女学園の生徒たちのリーダー。イゾルデが不二子と親しくなったことに嫉妬し、彼女の髪を切るが逆に篭絡され、イゾルデの命令によりルパン逮捕に協力する。
第7話「音楽と革命」
フィラデル・ケスト
声 - 東地宏樹
中米の小国カリーブで新政府を樹立した革命組織「血染めの契り」のリーダー。国連演説へ向かう途中、搭乗機を旧政権の残党にハイジャックされ命を狙われるが、不二子と五ェ門に助けられる。自らの暗殺を謀った不二子の企みを知ったうえで側に置くなど、肝の据わった人物である。
大統領
声 - 有本欽隆
超大国ヤメリカーナ合衆国の大統領。共産陣営の増強を防ぐためハイジャック機ごとケストの暗殺を図って戦闘機を出撃させるが、本人は暗殺という汚い手段に乗り気ではない。
書記長
声 - 宝亀克寿
ヤメリカーナと対立する超大国ロニアニア連邦の書記長。共産政権となったカリーブに核ミサイル基地を建設しようとしており、ケスト暗殺を防ぐために戦闘機を出撃させ、全面戦争の危機を招く。
第8話「命日」
シトト・チャンドラ
声 - 谷口節
命日を記した石版の世界樹で、依頼人の命日を当てる占い師。命日を言い当てられた人物は皆、ルパンの犯罪の被害者達だった。かつては本当に命日を見ることの出来た占い師であったが、能力が衰え石版が読めなくなりアルメイダ伯爵と契約し、その意を受けて依頼人達の命日を指定するようになっていた。終盤で力が復活したものの、不二子に殺される。
依頼人
声 - 島香裕
次元に仕事を依頼した人物。シトトに命日を占われていた。死亡した時はシトトの石版を破壊して欲しいと依頼し、占いのとおりの命日に死亡する。実は効果時期をコントロールできる毒薬カプセルを飲まされていた。
第9話「湯けむり慕情」
万華鏡女
声 - 嶋村侑
天才画家ナールタールエイデンによって幼少時に全身に入れ墨を入れられ、「生きた絵画」にされた女性。成長とともに色と構図が変化する「芸術品」として扱われてきたため、言葉さえしゃべれず反応は幼子と変わらない。
端海温泉街の見世物小屋で闇オークションにかけられ、ルパンに拉致される。不二子に強い殺意を向けられるが、ルパンと次元により阻まれ、入れ墨を隠されて解放される。
第10話「死んだ街」
Dr.フリッツ・カイザー
声 - 高岡瓶々(クレジットでは「博士」と表記)
13年前に薬品流出事故で壊滅した街オイレンシュピーゲルにあるグラウコス製薬の研究所に勤めていた科学者。後に不二子を名乗る自分の娘をフロイライン・オイレの試験体として人体実験していた。
第11話「愚か者の祭」、第12話「峰不二子という女(前篇)」
ゲストキャラクターの登場はなし。
スタッフ
原作:モンキー・パンチ
監督:山本沙代
シリーズ構成:岡田麿里
キャラクターデザイン・作画監督:小池健
美術監督:田村せいき
音響監督:清水洋史