長瀬透
ながせとおる
概要
2巻から登場する主人公『僕』とかつて交際していた同級生。
語尾に「~ッス」という単語をつけた口調で喋る(これは相手と友好的な関係を築くためのものであり、落ち着きを失うと普通の口調になる)。
マユには劣るが、なかなかの美少女で、作中では何度か告白された経験がある。
不器用で、日本語がローマ字に見えるほど字を書くのが下手。
少年のような自身の名前を嫌っており、初対面の時に「僕」の名前をちゃん付けで呼んだところ、くん付けで言い返され、それがきっかけで互いを良くも悪くも意識しあうことになった。
互いに自分の名前を嫌っていることから「名前を交換すればいい」と思いつき、「僕」のことを「透」と呼んでいる。ただし「僕」の方は諸事情から彼女を自分の名前では呼んでいない。
交際中はバカップルと言っていいほどベタベタの関係だったが、人伝に『僕』の過去を知ったことで破局。
彼女から一方的に別れを告げたものの、今でも嫌ってはいない。
一方、「僕」側はこれを機に人並みの幸せを得ることを放棄し、まーちゃんのために生きることを決めた。
以下重要なネタバレがあります。
実は彼女が8年前の誘拐事件の元凶。菅原とは幼馴染みで、彼女が最初に彼のことを「みーくん」と呼んでいた。
菅原に片思いをしていたが、彼と交際を始め、自分だけの特別な呼称だった「みーくん」を使って彼を呼ぶマユに激しく嫉妬するようになる。そんな中で偶然知り合ったおじさんと親しくなり、菅原と遊ぶ代わりに、よく話すようになる。
そのおじさんを慕っていたが、実は彼こそが「僕」の父にして誘拐事件の犯人である天野南だった。天野は誘拐するターゲットを探しており、長瀬の話でマユをそのターゲットに決める(皮肉なことにマユの両親と仲が良かったことも決定打となった模様)。
長瀬はマユの誘拐の後で、自分が元凶であることにきづき、口を噤むことに決める。事件後は、天野が死んだことや菅原が記憶喪失、マユが精神異常になったことで彼女の関与は発覚しなかった。
「僕」と距離を置いたのも、彼が事件関係者だと知り、自身の罪を暴かれることを恐れてのことである。2巻では入院した「僕」とマユの見舞いに訪れるが、それも自分のことを気付いているのか探りをいれるためだった。そして相変わらずみーくんにべったりのマユに怒り、彼女を花瓶で殴った。
「僕」はその最中に父の言葉で長瀬の関与を思い出すが、それを周囲に話すことはなく、長瀬に「家族を大切にね」とだけ告げ、決別した。
しかし、3年次には同じクラスになり、更に「僕」が入院した際には見舞いに行くなど、やはり彼が忘れられないでいる模様。
以下、さらなるネタバレ*
8巻にて脱走した菅原により惨殺され、主要登場人物の中では唯一の死者となる。
「僕」は9巻で文体が支離滅裂になってしまうほどの多大なショックを受ける。犯人の菅原によると最期まで「僕」に助けを求めていたとのこと。
不遇な最期であるが、好意を抱いていた「僕」からその死を心から悲しんでもらえたことや、10巻では菅原の夢に現れ、彼を嘲笑うなど、後の展開を考えれば溜飲を下げるかのような場面があることは幸いかもしれない。