インビンシブル
いんびんしぶる
概要
ロバート・カークマンとコリー・ウォーカーによって『インビンシブル』のシリーズとして2003年から2018年まで全144号が出版された。
2021年にアニメ化され、日本ではAmazonプライム・ビデオにて『インビンシブル ~無敵のヒーロー~』のタイトルで配信されている。
駆け出しのヒーローであるインビンシブルこと17歳の青年マーク・グレイソンの活躍と成長、そしてそれを無視するかのように事態が悪化していくハードな物語が特徴。アニメではスプラッタ要素が増している。ヒーローは他作品のパロディが多数登場する。原作コミックではスパイダーマンとクロスオーバーしたことがある。
プロフィール
本名:マーク・グレイソン(Mark Grayson)(吹き替え:KENN)
ヴィルトラム人と地球人のハーフ。マークが7歳の時、ノーランは自身が人類を助けるために地球にやってきたヴィルトラム人という平和的な宇宙人であること、そしていつかマークが同じ超能力を身につけることを明かす。マークが17歳になるとアルバイト中に超能力が発現し始め、怪力・耐久力・スピード・飛行・治癒の能力を得た。
オムニマンとして活躍するノーランのもとでトレーニングを受け、若いスーパーヒーローグループ「ティーン・チーム」と出会う。マークはスーパーヒーローの厳しい現実を知り、自分を見極めるために奮闘していく。また、戦いの中で戦闘狂としての一面を見せるが、これはヴィルトラム人の特徴であることがノーランから明かされる。
趣味はコミック集めで、コミックを買う為のお金を稼ぐ為にハンバーガー屋でバイトをしている。部屋の中はオタクグッズが沢山ある。
学業の成績はあまりよくないらしく、特に地理についてはあまり得意でなさそうな描写がいくつか見られる。
登場人物
グレイソンファミリー
ノーラン・グレイソン
マークの父。小説家であり、スーパーヒーローのオムニマン。(吹き替え:黒澤剛史)
デビー・グレイソン
マークの母。不動産業を営んでいる。
ごく普通の一般的な人間だが、過去にオムニマンことノーランに命を救われて、恋に落ち結ばれる。
ノーランとマークを心から愛する、優しく真の強い女性で、異星人のスーパーヒーローの妻として、地球人の価値観を理解できなかったノーランに物怖じすることなく、地に足のついた人間の生き方を教えていく。
何かと瀕死になって帰ってくる家族に涙を流すシーンも少なくはないが、ヒーローでいる事に反対をすることもなく、献身的に支え続けている。
(吹き替え:阿部彬名)
ティーン・チーム
アトム・イヴ
意志によってエネルギーを自由自在に操る能力を持つ女性ヒーロー。
あまりにも自由自在すぎて、思いのままに何でもできすぎてしまう、オムニマンとは別のベクトルのチート能力の持ち主。
(例:何もない空間にエネルギーのバリアを張る、エネルギーの槍を生成して投げる、土砂災害を地形を変えて無理矢理とめる、枯れた大地の作物を一瞬で成長させる、汚れたコスチュームや体も一瞬で綺麗に戻してしまう等々……)
マークと同じ学校に通っており、ヒーローであることは公にはしていない。
レックス・スプロードと交際していたが、彼の浮気が原因で破局している。その為、ティーンチームでも唯一、新生ガーディアンズ・オブ・ザ・グローブのメンバーになっていない。
ヒーローとして活動したい自身と、人並みの幸せな人生を歩んでもらいたい両親とは意見が対立している。
ロボット
ルディ・コナーズの無人機。ティーン・チームの参謀。
本体は生命維持カプセルの中でギリギリ生存している状態。
セシルの命を受けて、新生ガーディアンズ・オブ・グローブに加入後も、チームのまとめ役として奮闘する。
その境遇からモンスターガールに想いを寄せる。
レックス・スプロード
触れた物体を爆発させる能力を持つ男性ヒーロー。
口を開けば次々に失礼な物言いが飛んでくる、超がつくほどの毒舌家。
自意識過剰で軽薄な行動も目立ち、顔立ちは端正なのも相まって、女性関係にもだらしがなく、マークから受けた第一印象はサイテー。
彼の浮気が原因でアトム・イヴとは破局、彼女がティーンチームを離脱するきっかけにもなっている。
一方で、実力を認めた者にはそれなりの敬意を表し(減らず口は相変わらずだが)、仲間には親しげに話す。また、ヒーローとして現場に赴けば真面目に活動を行うなど、根からの悪人というわけではない。
普段はあまり表に出さないが、過去はそれなりに辛い経験もあった事が仄めかされている。
デュプリケイト
自身を複製し増殖させる能力を持つ女性ヒーロー。レックス・スプロードの浮気相手。
戦闘になれば、次々に分身を生み出しては、次々にエグイ殺され方を披露してくれる。
人がたやすく死んでいく容赦ない世界の作品であるということを実感させる事に大きく貢献しているキャラクター。
分身した体が一体でも無事ならば完全に死にはしないものの、やられ役としても考えても、結構気の毒なポジションにいる。
ガーディアンズ・オブ・グローブ
オリジナルメンバー
インモータル
超人的な怪力と耐久力そして不老、飛行能力を持つスーパーヒーロー。
かなり過去の時代から生存しているようで、作中でもその記憶の一端が描写されている。
ダークウィング
様々なガジェットを使って犯罪者と戦うスーパーヒーロー。元ネタはおそらくバットマン。
孤独を好んでいたとオムニマンが語るように、何かと情報の少ないヒーロー。
ウォーウーマン
メイスと超人的な身体能力で戦う女戦士のスーパーヒーロー。元ネタはおそらくワンダーウーマンもしくはホークガール。
ヒーロー活動外での立場は不明瞭な部分が多いが、同じ会社のコニーという女性には正体を明かしている。
オムニマンから「別時代の人」と少しだけ正体が語られている。
グリーンゴースト
緑色の無形で透過能力を持つスーパーヒーロー。元ネタはおそらくキティ・プライド。
ヒーローであることは隠している様子で、モデルのカメラマンとして仕事をしている様子が描かれている。
高速で空を飛ぶ描写もある。
レッドラッシュ
超人的な高速移動能力を持つスーパーヒーロー。元ネタはおそらくザ・フラッシュ。
オルガという女性と交際しているが、ヒーロー活動と、彼女との付き合いの板挟みにあい、公私ともに中々うまくいかない様子。
高速移動の代償として、周りの時間の流れが遅く感じてしまい、穏やかな時間は退屈に感じてしまうのが悩みの種。
アクアラス
ハイドロキネシスの能力を持つ魚人のスーパーヒーロー。元ネタはおそらくアクアマンもしくはネイモア・ザ・サブマリナー。
普段は海の中で暮らしているが、海の世界は平和なようで、退屈そうにしている様子が描かれている。招集があった際には嬉々として地上にあがる描写がある。
マーシャンマン
シェイプシフトの能力を持つ火星人のスーパーヒーロー。元ネタはおそらくマーシャン・マンハンター。
ニッキーという名の少年と、廃屋で能力の訓練を行っている様子が描かれている。飛行能力もある様子。種族から追放された過去があることを、オムニマンから語られている。
再編以降のメンバー
モンスターガール
怪物へと変身する能力を持つ女性ヒーロー。元ネタはおそらくハルク。
能力の代償として変身すればするほど、素体状態時の体がどんどん若返っていってしまう。
素体の状態だと幼い少女の見た目をしているが、実年齢は25歳とのこと。肉体のみ若返っているようで、知能に関しては年相応。
シュリンキング・レイ
身体を縮小させる能力を持つ。元ネタはおそらくアトムあるいはアントマン。
再編メンバーの中ではスポットを当てられて描写されているシーンは少ないが、相手の体内に侵入して嘔吐させる、首を絞めた状態で縮小することで急激に頸動脈を圧迫してシメ落とす、狭い場所にいる被災者を救助するなど、所々で応用力の高さを見せている。
ブラックサムソン
ガーディアンズ・オブ・グローブのメンバーだった過去がある経験豊富なベテランヒーロー。
何らかの原因で能力を失って、メンバーから離脱していた。
周りのメンバーが若い為か、何かと口うるさくなりがちなのがたまにきず。
強化スーツを纏い戦う。
GDA
セシル・ステッドマン
GDAの指揮官。
テレポートの能力を持つ。
ドナルド・ファーガソン
GDAのエージェント。
何の能力も持たないごく普通の人間だが、セシルへの忠誠心は確かなもの。
その他
アンバー・ベネット
マークと同じ学校に通っている、彼が想いをよせている女子生徒。
真面目な性格で学業優秀、ボランティア活動なども精力的に行っている優等生。一方で非常に強気な性格で、不良男子生徒に絡まれれば金的を入れるなど肝も据わっている。
怒ると怖いが根は優しい性格で、アトム・イヴにとっては彼女との交流は、なりたいヒーロー像の形成に大きな影響をあたえる人物となっている。
(吹き替え:東内マリ子)
ウィリアム・クロックウェル
マークの友人の男子高校生。
マークの趣味のコミック集めをくだらないと発言したりもしているが、自身の趣味はビデオゲームだったりする。
時折言い合いをするものの、アンバーとの恋愛の相談にのって協力してくれたりと、基本的に関係は良好、お互い親友と認め合っている。マークの正体がインビンシブルだとわかってからも、親友として付き合い続ける。
大学生の恋人(♂)がいる。
(吹き替え:虎島貴明)
オルガ
レッドラッシュと交際しているロシア人女性。故郷はモスクワ。
ある出来事がきっかけでデビーに住まいの売却を依頼して、帰郷を決意する。
アート・ローゼンバウム
ヒーローのスーツを扱う仕立て屋。
オムニマンの紹介でマークのヒーロースーツをデザインする。
(吹き替え:ふくまつ進紗)
アレン
一つ目の異星人の調査員。惑星連合なる機関に所属している。
テレパシー能力を持ち、宇宙空間でもこの能力で相手と対話が可能。
宇宙空間を自由自在に飛び回り、人工衛星を放り投げる程の怪力の持ち主で、戦闘の実力も確かなもの。3年前にオムニマンらしき人物とも交戦した事をにおわせている。
なんだかんだで善人が多い今作の中でも、とりわけ超が付くほどの善人で、マークに敵意がないとわかれば腰を落ち着けて対話をする、話のわかるアンチャン。
「トキュウ」という星と「地球(チキュウ)」を間違えて調査しにくるなど(アルファベット表記では「URATH」と「EARTH」を間違えている)、ややオッチョコチョイな部分も愛嬌がある。
ダミアン・ダークブラッド
悪魔の探偵。元ネタはおそらくロールシャッハもしくはヘルボーイ。
見た目はいかにもな悪魔そのものであるが、身だしなみはそれなりに整えており、性格も紳士。
タイタン
岩の殻を全身に纏って戦う黒人男性。岩の殻は銃弾などの強い衝撃を受けると破損してしまうがすぐに再生可能。
パワーもかなりあり、フォークリフトを軽々と放り投げ、投擲したハンドガンで人間の頭をカチ割ったりもしている。
歯向かってくる者には容赦なく、場合によっては人殺しも厭わないが、根は慈悲深い性格で、余計な殺生は出来る限り避けようとする。
妻子持ちで、妻は事情を知っているが、子供は幼い為、能力は知っているが詳しい事情までは知らない様子。
悪行から足を洗いたがっているが、マシンヘッドに借りがあり、家族を盾にいいように扱われている為に抜け出せずにいる。その事で、当初は敵対していたマークに助けを乞い、事情を知った事で和解する。
マシンヘッド
頭が機械でできている、タイタンの雇い主。
身体能力は自身でも力不足と認めているが、様々なデータを取り込む事で、超人的な予測能力を身に着けている。
高層ビルにオフィスを構え、軍隊あがりの武装兵隊を警護に大量につける大富豪。
家具に高級なものを使用しているらしく、タイタンに破壊されては怒鳴りつけている。
アイソトーク
マシンヘッドの側近的立場にいる悪人。
転送能力で自身のみならず、マシンヘッドの雇った、特殊な能力を持った傭兵をもどこからか転送してきている。
D・A・シンクレア
ウィリアムの恋人と同じ大学に通っている学生。
大学から奨学金を貰う程の秀才だが、極度の科学主義者で、自分の考えにそぐわない講義には、わざわざ出席しておきながら堂々と教授の前で全否定するなど、かなり傲慢な性格。
その自尊心の高さたるや、まだ仲間と言える存在のいるレックス・スプロードがマシと思える程で、大学内でも誰からも理解されずに孤立している。
人を攫っては人目のつかない下水道にあるラボで、改造人間にする人体実験を行い続けるマッドサイエンティスト。皮肉にも研究の成果はそれなりに出ているようで、依然改良の余地はあるものの、とある人物からも後に評価を受ける事になる。
当然ながら、人の尊厳を踏みにじるような人体実験を行っている事に対し、良心の呵責を微塵にも感じていない、むしろ崇高な使命で、研究材料になる事は誇らしいとまで感じている、作中でもトップを争うレベルのサイコパス。