概要
『八潮と三雲』とは、LaLaおよびLaLa DXにて2009年から2014年に掲載されていた「草川為」による人間社会の隣にある不思議な猫社会を舞台にした少女漫画。全7巻。
あらすじ
A cat has nine lives.〜猫に九生有り〜
人間社会の隣にある特殊な猫社会。そこには「九生の猫」という九つの命を持っている猫たちが残りの命の数に応じた名を持ち暮らしている。
九生の猫たちは命を落とすたびに「名前の更新」が必要になり、それを怠ると理性を無くした異形の姿に変わってしまう。
名前への思い出や愛着、仕事でハクが着いた名を変える躊躇い…など様々な理由で更新を怠る者たちが多く、その更新を催促する「取り立て屋」という稼業がある。そんな取り立て屋である主人公、八潮と三雲が奔走する話である。
設定
- 九生の猫とは普通の猫と違い九つの命があり、命を落とすたびに残数に応じた名前を命名される。
- 名は天から与えられ命を落とした本人と、本人が居住するエリアのボスだけが知ることができる。
- 名前の更新を怠ると時間経過で狂い異形の姿となる。見た目は巨大な九尾の猫のような姿。
- 九生猫、普通猫ともに人間社会では猫の姿、九生猫社会では人の姿に変化する。
- 九生猫が人間社会で人の姿になるには一つ命を消費する。
- 普通猫が九生猫社会に入るには特別パスが必要となる。
主な登場キャラクター
- 三雲
- 白い雌猫。人の姿では十代後半くらいの少女。交通事故に合いそうな所を八潮に助けられる。恩を返すために八潮の取り立てを半ば強引に手伝い、そのまま事務所へ所属し八潮とコンビを組む。自他共に認める美猫でターゲットを誘き寄せるためにハニートラップをよく利用する。名前の通り既に6回命を落としており、この若さで「三」の名は早すぎるのこと。無鉄砲な性格なのもあるが、決して命を疎かにしているわけではなくどうしても必要な時に使用している。一目惚れした八潮に日々猛アタックするも全然なびいてくれない。…がそこも好きなポイントらしい。
- 八潮
- 取り立て屋を生業にしている黒い雄猫。人の姿では二十代中盤くらい。車に轢かれそうな三雲を庇い命を落とすが、超がつくほで偏屈な性格で三雲の恩返しを中々受け入れなかった。前の名は九曜。聞くものは必ず観念するほどの鬼の取り立て屋として名を轟かせていたが変わった途端無名となってしまったため業績はいまいち。飼い猫だった時期もあるが、飼い主を不慮の事故で亡くし再び野良となった。飼い主に大切にされたことに恩を感じ、命を疎かにすることを酷く嫌う。そのためか三雲と逆の意味で八潮の年齢で「八」の名は珍しくある。飼い猫時代の名残りもあり煮干しが大好物。三雲の猛アタックに素っ気ない態度を取りつつも無意識に気にしてる。
- 一色
- 八潮が取り立てを担当する縄張り(エリア)のボス。九生の猫が命を落とした際には命を落とした本人とエリアのボスである彼にのみに新しい名が伝わる。几帳面な性格のため取り立ては絶対でエリアの秩序を常に守っている。見た目はインテリ眼鏡で普段はデスクワークばかりなため戦闘が起こりやすい現場に不向きだと思われがちだが、昔は闘神と呼ばれるほど喧嘩好きでかなりの戦闘力がある。しかし、名前が既に「一」であるため三雲や部下達に心配されがち。
- 四束
- 以前八潮とコンビを組んでいた取り立て屋。現在は七瀬とコンビを組んでいる。ナンパな理由で命を浪費するため八潮とは意見が合わないが仲は良い。
- 七瀬
- 四束とコンビを組んでいる取り立て屋。ドジでよく転んでおり、あまりのダメっぷりに情けで更新するターゲットもいるほど。
- 白
- 雄の超美猫。人の姿、猫の姿共に白く少しウェーブがかった毛並みをしている。九生ではなく普通猫なため名前に数字が無く命も一つしかない。基本的に普通猫は九生猫社会に入る門をくぐれないのだが、特別パスである両手のリングを装着してきた。三雲が人間社会で野良生活をしていた時に一緒に過ごしていた子猫で現在は飼い猫。血は繋がっていないが弟分なようなもので三雲からは「しー君」と呼ばれている。普通猫は九生猫より成長が早いため別れ際には子猫だったが成猫となって現れた。三雲の命が少ないのは幼かった彼を危険から庇い守り続けていたのもある。最後も命を一つ犠牲にして人間社会で人型となり今の飼い主に預けていった。重度なシスコンのため三雲が好意を寄せている八潮にはあたりが強い。