姫草ユリ子
ひめくさゆりこ
夢野久作の小説『少女地獄』の登場人物。
概要
臼杵の前に現れた「19歳の美少女」で看護師(原文では看護婦)。
横浜に構えた臼杵の病院に仕事を求めてやってきた。このときユリ子は自分のことを「青森の裕福な家でうまれ女学校卒業後長野のK大の看護師として働いていたが、自分の運命を切り開くため上京した」と言っている。臼杵らは彼女の身元を確かめず雇う。
ユリ子は瞬く間に人気者になり、病院のマスコット的存在となる。
ある日、ユリ子は臼杵のことを「白鷹先生」にそっくりだという。聞けばユリ子の前の職場にいたという白鷹先生は、臼杵の母校の大先輩で、臼杵は白鷹先生に会いたいとユリ子に言うが、なぜかいつも間が合わず接触できない。
他にも、不可解で矛盾したことが彼女のまわりで起こるが──
真実(ネタバレ)
実は、彼女は月経の憂鬱症からくる発作的精神異常者で、不安を感じると虚栄心が起こって事実無根の嘘を言ってしまう性質だった。つまり彼女の言ったことはほとんどが嘘だったのだ。
本名は「堀ユミ子」であると作中で明かされている。また、実際の彼女は貧しい家庭の生まれで、彼女の話とは全く異なっている。
「姫草ユリ子」は自殺したが、「彼女」が本当に死んだかどうかは定かではない。