ニヒリズム
にひりずむ
あらゆる存在に価値を認めない考え方。虚無主義。
ニヒリズム(虚無主義)とは、あらゆる存在に客観的な価値を認めず、あらゆる宗教的・道徳的・政治的権威を否定する立場を表す。ニヒリズムを奉じる人間をニヒリストという。
哲学的な意味での虚無主義を確立したのはフリードリヒ・ニーチェである。ニーチェは、自分自身の存在を含めたすべてが無価値であり、偽りであるということを前向きに捉えた上で、自ら積極的に「仮象」を生み出し、一瞬一瞬を一所懸命生きることで逆説的に生を肯定しようとする(能動的ニヒリズム)。
ニヒリズムは、世の中をいやなもの、悲惨に満ちたものだと捉えるペシミズム(厭世主義、悲観主義)とはしばしば混同されるが、全くの別物の思想であることがおわかりいただけるだろう。
ニヒリストはあらゆる権威や秩序を否定する。表面上、権威や規範を尊重しているように見えても、それは便宜上に行う身振りにすぎない。能動的ニヒリズムのこのような態度は、あらゆる権威を破壊しようとするアナキズムや、逆に極端な権威主義であるナチズムのような過激思想と結びついた。