曖昧さ回避
- ゲーム『ファイナルファンタジー8』(FF8)に登場する悪役。本項にて解説
- ソーシャルゲーム『魔法使いと黒猫のウィズ』の登場人物。→アルティミシア(黒ウィズ)
FF8
「……eeD…」
「SeeD……SeeD……」
「SeeD、SeeD、SeeD!!」
「気に入らない……なぜ魔女の邪魔をする! なぜ私の自由にさせない!?」
「もう少しで完全なる時間圧縮の世界が完成するというのに……」
『魔女』と呼ばれる存在の1名であり、主人公のスコール達の時代よりはるか未来に存在する。イデア・クレイマー曰く「私の何代も何代も後の、遠い未来の魔女」。
なお、魔女は(瀕死の状態となっても)誰かに力の継承を行うまでは決して死ぬことができないという設定があり、アルティミシアがどの程度生きて来たのかは不明である。
「ジャンクション・マシーン・エルオーネ(以下J・M・E)」という機械を用いて過去の世界へ自身の意識を飛ばす。そしてJ・M・Eの原理の元となったエルオーネの力を利用して更なる過去へと遡ろうとスコールたちの時代に干渉し、『時間圧縮』を用いて過去・現在・未来を繋ぐ膨大な時間を圧縮し、自分だけがその中で唯一の存在になろうとした。
その能力と目的ゆえか、ラストバトルの際の彼女は、時の流れの儚さや残酷さを嘆くような感傷的な台詞を口にしている。逆にラストバトル前はSeeDに対する怒りで激昂しており攻撃的な口調となっている。
本編では当初魔女イデアに憑依してエルオーネの情報を引き出そうとする。しかしイデアは自分の意識からエルオーネの情報を引き出されないように自らの身体を空の器として明け渡す事で、アルティミシアの思惑を防いでいた。イデアからエルオーネの情報を引き出せなかったアルティミシアはガルバディアを掌握してその巨大な軍事力を使い、世界中を対象にエルオーネ探しを行う。それは奇しくも、かつて魔女大戦を引き起こした「魔女アデル」の行動をなぞる行為であり、世界に恐怖と混乱をもたらした。イデアが倒されると、魔女の力をイデアから受け継いだリノアに憑依し、封印された魔女アデルの復活を目論んだ。
また一方で、自身の行動をことごとく阻もうとするSeeDに対して嫌悪・憎悪を向けており、一度スコール達を捕えた際に「SeeDは何故魔女の邪魔をするのか」、その真の目的を知ろうとしていた。スコールに対し「伝説のSeeDとはお前の事だったのか」と意味深な台詞を投げかけており、スコールの本編EDに至るまでの活躍が伝承レベルでアルティミシアの時代にも語り継がれている事を匂わせていた。
戦闘
「さあ、最初に来るのは誰だ!? 誰が私と戦うのだ!?」
「ふ……誰であろうと結果は同じこと! 私が選んでやろう!」
シリーズのラスボスとしては驚異の4形態に及ぶ連戦が繰り広げられる。
最初はアルティミシアとの直接対決となる。戦闘メンバーをアルティミシアから強制的に選ばれてしまうので、サブメンバーをロクに鍛えていなかったプレイヤーは泣きを見ることになる。しかも倒れたメンバーは時空の彼方へと消し飛ばされるため二度と復活ができない。
こちらの魔法をドローで奪って来ることがあり、ステータス系にジャンクションしたものを奪われるとエラい目に遭う。奪われるのはランダムなので出来る限りたくさんの魔法を所持しておきたい。
アルティミシアは時折双翼を展開させて飛行状態に移行することがある。
「おまえの思う、最も強い者を召喚してやろう」
「おまえが強く思えば思うほど、それは、おまえを苦しめるだろう」
第二ラウンドではステージが崩壊し、スコールの心にあるもっとも強い者=グリーヴァをガーディアンフォースとして具現化させけしかけて来る。
5ターン経過するか、その前に体力を0にされた際のFINALアタックとして「ショックウェーブ・パルサー」を放って来る。無対策で喰らうと全体に7000もののダメージを叩き出す凶悪な性能を持つ。
「わざと体力を減らして特殊技を連発」して来たプレイヤーは元より十分に育っていないキャラはこれで退場させられる。しかもこれを撃つ際にBGMが変化し、アルティミシアの台詞が入るので「これ絶対ヤバい技」と恐怖したプレイヤーも多いだろう。実際に威力は最終形態の「アポカリプス」を上回るというトンデモ性能(正確にはアポカリプスの方が基礎威力は高いのだが、グリーヴァの魔力が高過ぎるためこの逆転現象が起きる)。
こいつに苦戦するようでは、この後の連戦で大苦戦を強いられる。
「前置きは終わりだ! 今度は私がグリーヴァにジャンクションしよう!」
第三ラウンドではグリーヴァをジャンクションした合体形態になる。ダメージをある程度受けると胴体が千切れて上半身のみになる。
爆発四散して光の粒子となって消滅するが、この後で最後の一戦が待っているので大団円だと思ったプレイヤーを驚愕させた。
「わたしはアルティミシア」
「すべての時間を圧縮し」
「すべての存在を否定しましょう」
いよいよ最終形態との戦い。一見すると上半身が本体のように思えるが、下側には逆さまになったアルティミシアの姿がある。
アルティミシアを名乗っているが、描写からしても喋っているのは怪物部分であり、しかも言葉遣いまでガラリと変わっている。まるでアルティミシアが怪物に乗っ取られた(あるいは彼女から分離した怪物が主導権を握っている)ように見える。
演出的にもこいつのオマージュだろうか(リンク先ネタバレ注意!)。
一定のダメージを与えるたびに台詞を発し、すべてを聞き終えるまでトドメを刺すことが出来ない。スコールのエンドオブハートなどでで即死級のダメージを与えたとしても台詞が表示されるのみで、またダメージを与えて台詞を出す必要がある。
スコールたちに敗れた後は、瀕死のまま過去の時代のイデアと接触。居合わせたスコールは構えるが、子供たちを魔女にはできないとイデアが力を受け取り、アルティミシアは消滅する。
こうして未来に生きた魔女は、過去の時代に消滅した。
DFFシリーズにおける活躍
CV:田中敦子
ディシディアとその続編では、カオス陣の一人として参戦する。
原作では相手を威圧するような口調だったが、こちらでは一部を除き丁寧な口調となっている。
主に皇帝と行動を共にしており、その目的も原作と同様に全ての時間が圧縮された世界を手に入れる事である。
何気にカオス陣営の中では割と積極的にコスモス陣営のキャラ達にちょっかいをかけており、皇帝と共にフリオニールを襲う、コスモスに化けてスコールを単独で行動させるよう誘導をかけるなど、抜け目のない暗躍をこなしている。
最終決戦ではスコールと対決するも敗北、最期は彼に一瞬で無慈悲に斬り捨てられて消滅した。
コスモス陣のジタンからは「レディ」と呼ばれるが、クジャ、ティファからは「おばさん」呼ばわりされている。前者に対し「戦いにも礼儀がある」と注意している事から年齢を気にしているようであり、上述の「おばさん」呼ばわりの他にケフカやバッツに「時間使って若返るのか?」、ヴァンに「あんたって何歳?」と問いかけられて機嫌を損ねるほど。
同作品に参戦している暗闇の雲に対して「私と張り合う気ですか?」「楽しませてくれるかしら?」と嫌味を言う辺り犬猿の仲である模様。
戦闘における性能は、遠距離攻撃に完全特化した『マジックシューター』。
技のほとんどはボタン連打か溜め撃ちのどちらかによって性能が大きく変化していく。
近距離向けの攻撃はほとんど使えず、移動速度も遅めで、狭いステージとの相性が悪いなどカオス陣営のキャラの例に漏れず上級者向けの性能だが、技を発動させながら移動できるという特徴を活かす事で敵の接近を一切許さないシューティングゲームさながらの戦法も可能となる。
また、ブレイブ技の全てに「騎士の○○」という名称が用いられているのも特徴。
リノア=アルティミシア説
FF8は多くの謎を残したまま終了している為、ファンがその後の展開やストーリーの謎を考えることが多い。その中でも特に有名で多くの議論が交されているのがリノア=アルティミシア説である。
公式ではなく、あくまで一つの想像にすぎないのでその点に注意。
説の根拠や議論などについては、こちらのリンクを参照されたし。→https://wikiwiki.jp/ffex/%E3%80%90%E9%AD%94%E5%A5%B3%E8%80%83%E5%AF%9F%E3%80%91#g0eb26ae
……リノア=アルティミシア説専用のサイトも存在し、YouTubeなどでも肯定を前提とした考察動画も散見される。
しかし、肯定の根拠となる部分は別の解釈も十分に可能なものが多く、それぞれにFF8を独自に解釈しているファンがいるため、この説はいまだに決着がついていない。
公式が発表してしまえばあっさり解決するのかもしれないが、謎のままでストーリーを楽しんでおくほうが良いのかもしれない。
制作者側の声を記しておくと、
2020年、本作のディレクターを務めた北瀬佳範氏がインタビューにてこの説を否定した。その後別の動画で、「シナリオの最終稿に記載はなかった」という北瀬氏自身の認識は変えず、シナリオを回していた他のスタッフ(野島氏、野村氏)がそういうニュアンスを含んだかもしれない、余地を残しておきたいという意図で、先のインタビューでの答えを撤回してる(ただし、北瀬氏自身の認識は変わっていないというのは留意すべきだろう)。
参照動画:
41:10辺り
また、メインライターの野島氏はインタビューにおいてリノアル説について質問された際「ファンの想像で繋がったシナリオは、自分のよりも出来が良いと思う事がある」という趣旨の答えを残しており、あくまでファンメイドのシナリオとして認識している事が窺える。
野島氏のインタビュー:https://www.finaland.com/?rub=site&page=news&id=6355
このように、ファンの考察や二次創作の範囲に留めるなら優れた解釈と言う事が出来るが、公式からの扱いは微妙なところである。従って、「これが公式の解釈」として流布することは控えるべきである。