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第一号型海防艦

だいいちごうがたかいぼうかん

大日本帝国海軍の建造した海防艦のグループのひとつ。通称「丙型海防艦」。
目次 [非表示]

概要

大日本帝国海軍により太平洋戦争中に南方航路の船団護衛向けに建造された海防艦。同時期に建造された第二号型(丁型)海防艦とは艦形・兵装ともに近いものの、搭載している機関の種類が異なる(第二号型が蒸気タービン機関なのに対し、第一号型はディーゼル機関を搭載)ため、速力や燃料搭載量などに違いが見られる。


経歴

日振型鵜来型といった量産性・対潜戦闘能力に秀でた海防艦の建造を開始していた日本海軍であったが、戦況の悪化に伴い、船団護衛に供用する護衛艦艇を揃えるにはこれらだけでは不足する事となった。そのため、これらと同時並行でより小型で設計の簡略化された海防艦を大量増産する事となった。こうして生まれたのがこの第一号型海防艦である。


特筆すべき点は主機(エンジン)の変更である。本級の主機はそれまでの甲・乙型海防艦の艦本式22号10型ディーゼルエンジンから、23号乙8型に変更されている。23号はやや設計の古い商船的なエンジンで、重量がある割りに出力が低く、効率が良くなかったが、構造が単純で生産性が高いという特徴があった。甲・乙型の22号10型エンジンは潜水艦用としての需要も多く、海防艦向けに十分な量を回せないため、数を揃えられる23号に切り替えたのである。


主機の変更に伴い、「心臓にあわせて体を絞る」格好で、第一号型は鵜来型の“簡易縮小版”的な船型となった。船体は全長にして10m以上も短くなり、排水量も200t近く小さくなっている。それでも出力の低下はカバーできず、速力は16.5ノットと格段に鈍足化してしまっている。当然ながら居住スペースに充てられる分も少なくなっているため、居住性は著しく悪化している。(大戦末期には、武装の追加などで、さらに厳しい状況となっていたらしい)

ただし、航続距離は6500海里と鵜来型に比べて延長されており、当時最重要の東・南シナ海の“南方航路”には十分な足を確保している。


対艦・対空兵装もスペースの都合上抑え気味となっている(12cm単装高角砲2基2門および25mm三連装機銃2基)が、一方で、対潜兵装はソナーが日振型と同一、爆雷投射機が三式投射機(K砲)12基と日振型と鵜来型の中間程度の装備が奢られている。前投兵器としては陸軍の九七式曲射歩兵砲を流用した三式迫撃砲を威嚇用音響弾発射用に新たに装備している。が、低威力のため、後期では省略した艦も多い。


各種の努力が実り、船体の工数は24,000~20,000まで減少し、建造期間も初期で4~5ヶ月、後には3ヶ月まで短縮された。

期間短縮だけでなく、同時多数の建造も量産性を向上させた。それまでの甲型海防艦は、船体規模や複雑な工作から、民間の造船所(海軍工廠以外)では数社しか建造できなかったが、第一号型、第二号型は船型が小さい分、小規模な造船所でも建造できる強みがあり、より多くの民間企業が参加できたのである。特に第一号型のディーゼル機関は艤装が容易で、不慣れな造船所でも手に負えたという。中には新潟鐵工所のように、それまで戦闘艦艇の建造経験がほとんどない造船所や、海防艦の建造のみを目的に起ち上げられた協和造船(完成艦なし)のような例もあった。

ただし、生産容易な23号機関をもってしても必要量を確保できなかったため、本級と兵装などを共通化させつつも機関を蒸気タービン式に変更した第二号型海防艦も同時に建造される運びとなった。

(主機の確保は、戦時急造に当たってはどこでも悩みの種であり、圧倒的工業力を誇るアメリカですら、護衛駆逐艦の建造ではディーゼル、ディーゼルエレクトリック、ターボエレクトリック、ギヤードタービンと、様々な動力の艦を並行して建造している)


戦歴

こうして生産された第一号型海防艦であったが、ディーゼルエンジンの非力さによる鈍足が仇となり、一度対潜掃討で船団を離脱すると再び輸送船のもとに戻るまでに大幅な時間が掛かるなど、護衛艦艇としては力不足な面が否めないものであった。それでも大量増産による戦力増強という点では一応成功し、133隻の建造が計画されたうち、実際に終戦までに53隻が就役するに至っている(他に戦後復員船に充当させるため建造停止となっていたうちの3隻が追加で就役している)。

特筆すべき戦績としては、駆逐艦・時雨千振(御蔵型)とともにSS-215・グロウラーを沈めた第十九号や、御蔵とともにSS-237・トリガーを沈めた第三十三号、五十九号、六十五号がある。


戦後は復員輸送や掃海任務に従事、その後は中国やソ連に賠償艦として渡ったものを除けば、日振型や鵜来型のように巡視船として再就役するなどという事もなくすべて解体されている(第57号のみ宇部港にて防波堤に転用されたものの、1985年に撤去)。


同型艦

艦名の番号は奇数が割り振られている。

戦中に就役


戦後に就役


関連項目

海防艦

丙型海防艦(表記ゆれ):タグ登録数としては本記事のものよりこちらの方が多い。

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