概要
pixivのタグとしては、「懐かしい」と違って描き手の年齢に左右されず、「昭和」や「レトロ」よりも範囲を限定することが出来る。
日本は高度経済成長をなしとげ、貧困と戦争の記憶は遠くに去った...ように思われた時代である。実際には貧しいところはまだまだ貧しく(刑事ドラマの犯人などにもサイコキラーはほとんど登場せず、貧しさから金のために犯罪を犯した者はこれでもかというほど多く登場している)、都会化洋風化が一気に進んだ1980年代と比べると日本の伝統的な生活様式も多く残存していた。ドラマに和装が普段着の女性、魚屋の御用聞きなどが普通に登場するのはその一例である。
また海外旅行はまだまだ高根の花で、舶来品というだけでブランド価値があった時代であり、外国ではという言い回しが魔法のように通用するなど洗練されない面も多くあった。
外国語慣れしていないためかシティーをシチー、ケニアをケニヤ、アラビアをアラビヤ、アジアをアジヤ、ディクソンをジクソンと表記するなど外国語のカナ表記がイモかつあいまいであるのも特徴である(こうしたあいまいさは80年代にもかなりの時期まで残存する)。
また国民一般において専門知識が少なかったことからトンデモ、言葉の誤用が横行しており、創作の世界でも科学忍者隊ガッチャマンにおける「サイボーグだ」(いえ、アンドロイドです)、タイガーマスク二世における真空と無重力を間違えるなどというトホホ、あるいは悶絶ものの間違いがしばしば見つかる。
生命尊重思想、動物愛護やコンピューターがやたらと前面に押し出されてくるのもこの時期あたりからである(それまでは動物特に肉食獣に関しては動物愛護どころか害獣駆除キャンペーンなるものまで存在した)が、一方で蛮性を剥き出しにした捜査や爆破、射殺が売りの刑事ドラマが大人気だったり1990年代序盤などと比べると別の国かというほどバイオレンス、残酷さそして荒々しさに対して寛容だった。うどん粉で宇宙人の頭脳破壊光線に打ち勝つなどという精神論がまかり通っていたりとなかなか優しくなく、コンピューターや文明の利器を貶めて精神力を持ち上げるような創作も多い。
要は、まだまだ発展途上の時代だった。
政治的には国内国外とも激動の時期で、東側陣営、左翼の大攻勢期であり、国内ではテロが横行し(間抜けにも自分の作った爆弾で爆死したテロリストもいた)、国外ではインドシナ三国が相次いで赤化するなど本当に危ない時期であった。
漫画やテレビアニメが大人にも受け入れられはじめ、70年代も末になるとオタクが登場する(この時期はマニアと呼ばれることが多かった)。