概要
雇用者から賃金が支払われない残業のことを指す。違法行為であり、罰則が存在しているにも関わらず、水面下では常態化していると言われている。
背景
正規雇用を減らし、残業させられない非正規雇用が増えたために、正規労働者が時間外の労働を強いられていることが多い。ただし、場合によっては時給制のアルバイトですらサービス残業を強いられる職場がある。
当然ながら、正規の雇用時間では出来ない仕事を遂行しなければならないので、時間外の労働、つまり残業を行う事になるのだが、前述の通り、雇用者側としては人件費を抑えるために残業を認めたくないというのが本音である。その結果、労働者側が「自主的に」サービス残業を行わざるを得なくなる。
前述のようにサービス残業そのものはたった1分であっても違法であるため、労働者は権利としてはサービス残業を拒否できるし、強いられた場合には会社側を訴えることも可能であるが、実際問題、雇用者や他の社員との関係を考えればそのようなことは退職でもしない限り困難である。
「30分単位で記入すること」と定められることもあるが、それは違法である。なぜなら、29分の残業を毎日していても、残業代はもらえなくなってしまうからである。ただし、1か月の合計が29分以下の場合は切り捨てられる。
こういったわけで、サービス残業を取り締まる立場の公務員ですらサービス残業が日常化しているのが実態であるが、度重なるサービス残業の結果、過労死、過労自殺などを招くこともあり、社会問題の一つにもなってしまっている。
対策
労働基準法の規定により、労働者は労働基準監督署へ賃金不払いの申告をすることができる。サービス残業が常態化している職場では、日々の勤務時間を記録しておき、退職時に残業代を請求しよう。
なお現在日本経団連は、残業代支払いで利益が圧迫されないよう残業という概念自体をなくすことを提唱している(何百時間働いても残業にはならないので、月給は変わらないわけである)。
これを受けて検討されているホワイトカラーエグゼンプションが制度化されると、労働者の未払い賃金請求やサービス残業などのブラック企業を取り締る根拠がなくなり、実質賃金水準の低下や過労死が今以上に横行することが懸念されている。