概要
ハシュマルとの戦闘で大破したガンダム・バルバトルルプスを、テイワズの技術部門が改修したモビルスーツ。
機体名の「レクス」とはラテン語で「王」の意。オルガ・イツカは、火星の王を目指す自身の右腕である三日月・オーガスの振るう力としてこの名前に運命的な物を感じているが、その一方で「長い」と苦言も呈している。
阿頼耶識システムによる機体との一体化の一途を辿る三日月の戦闘データを元に、機体の反応速度を理論値の限界にまで高めており、ガンダム・フレームの各関節の挙動もパイロットの肌感覚に一致させる等の繊細な調整が行われた。
外装は、三日月の戦闘スタイルをより直感的に実現させる事を目的に一新。近接戦闘に特化した機体構成に見直された結果、腕部はバルバトスルプスよりも大型化され、更に装備の一部には撃破したハシュマルのパーツも活用されており、背部テイルブレードにその名残を見て取る事が出来る。
また、肘部には大型化したマニピュレータの運用を補助する為のサブアームが内蔵されている。
なお、三日月が右半身不随となったため、搭乗させやすいようにコックピットハッチは胸部前面を開放する方式に改められ、バルバトスルプスでは肩部に描かれていた鉄華団のエンブレムはコックピットハッチ上面の首元に移された。
単なるハイスペック機体というだけでなく、三日月の戦闘スタイルも相まって対戦相手に恐怖すら呼び起こさせる挙動は「心理的なプレッシャーを与える」という副次効果もあり、アリアンロッドのMSパイロットですら「悪魔」と恐れ怯える者が出るほどだった。
その一方、自立すらままならない状態で投入されたパイロット、初陣が主要キャラの命を多く奪われた直後である事、最終話での壮絶な最期など一期のバルバトスやルプスの頃に比べどこかせつなさや悲愴感も漂わせている。
劇中での活躍
42話のジャスレイ軍戦で初の実戦投入。理不尽な殺され方をした仲間の弔い合戦であり、敵を「黄金のジャスレイ号」ごと叩き潰した。
最終決戦では非戦闘員を中心とする鉄華団のメンバーをクリュセに逃がすため、時間稼ぎの囮となる。戦闘から間もなくクリュセ脱出用のトンネルが完成したため、副団長のユージン・セブンスタークら他の戦闘団員も逃し、昭弘・アルトランドのガンダムグシオンリベイクフルシティと二機だけで殿を務めた。
しかし、「モビルアーマーを単機で仕留めるなど人間の所業ではない」と判断したラスタル・エリオンの指揮により軌道上のダインスレイヴ隊から斉射されたダインスレイヴの直撃を受け中破、左腕部を喪失。
尚も止まらない三日月の意思を受けて再度立ち上がるが、その際ツインアイが赤く光るだけでなく、獣が咆哮するような(その名の通り狼の遠吠えのようにも聞こえる)音声を上げている。
残った右腕とテイルブレードを使いアリアンロッドのMSを次々と撃破し、レギンレイズ・ジュリア以外の機体には終始圧倒的な強さを見せた。
レギンレイズ・ジュリアと対峙するも流石に満身創痍の機体とパイロットでは五体満足のエースパイロットが操る最新鋭機相手に如何ともし難く、次第に追い込まれていった。それでも戦うことを止めず、近付いてくる他の敵機を倒し続けたが機体と三日月双方の限界が近づき、右腕部もジュリアの銃撃を受け破壊された。
もはや攻撃を避けることもなくジュリアに突進し、コックピットハッチを破壊された時には既に三日月の意識は混濁し事切れる寸前であり、レギンレイズ・ジュリアに倒れかかる形で力尽きた。
その頭部は戦闘後ジュリエッタ・ジュリスにより勝利宣言のため首級として掲げられ機体は全壊、三日月も同時に死亡した。
機体データ
形式番号 | ASW-G-08 |
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動力源 | エイハブ・リアクター×2 |
全高 | 19.0m |
本体重量 | 32.1t |
使用フレーム | ガンダム・フレーム |
武装 |
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パイロット | 三日月・オーガス |
武装
超大型メイス
対艦戦闘も視野に入れてテイワズ技術部門が開発したバルバトスルプスレクスの主兵装。
ガンダム・バルバトスが第1~第5形態まで使用していたメイスと似た形状を持つが、サイズはそれよりも2倍近くに巨大化している。
先端部と柄の底部にパイルバンカーを備えており、柄の部分は状況に応じて伸縮が可能。
非使用時は腰部にマウント可能。
両腕レクスネイル
改修に際して、フレーム構造の見直しを行った結果大型化したマニピュレータ。
より先鋭化した指先のカバーはヴァルキュリアブレードと同じ黄金の希少超硬合金製となり、大質量の腕自体が敵を貫く武器として使用される。
超硬合金製のネイルカバーは爪先にも装備。
腕部200mm砲
手首部分に内蔵されている射撃兵装。
バルバトスルプスの射撃兵装が外装式オプションだったのに対してこちらは埋め込み式のバルカンのような完全な固定武装となっている。
ヒールバンカー
踵部に増設された小型のパイルバンカー。
レクスネイル同様に武器を内蔵した事で三日月の直感的な戦闘を支えている。
テイルブレード
ハシュマルの超硬ワイヤーブレードを転用した特殊兵装。
阿頼耶識システムで特殊粘性合金製のワイヤーを操作する事によって、変幻自在な攻撃が可能。
ブレード自体は超硬合金製のため、重MSの装甲をも容易に突破する。
三日月の感覚通りに動く武器の為使い勝手が良く、使った本人も「今まで自分に尻尾がなかったのが不思議なくらい」と述べている。
余談
なお、「ルプスレクス」は「狼の王」と意訳でき、つまりは北欧神話に登場する史上最強の狼であるフェンリルを想起させる事も可能で、アリアンロッドの保有する、フェンリルを倒した神の名をもつガンダム・ヴィダールとは対を成す機体と言えるかもしれない。
また、マクギリスを養ったファリド家の紋章も、フェンリルである。
50話でバルバドスルプスレクスの首が掲げられるシーンの原画は大張正巳が本作への思い入れ故に「いちアニメーターとして誰にも渡したくなかった」との強い意向で担当している。参照