ロスト・ユニバースとは、
概要
原作および原作執筆・神坂一、挿絵及びコミカライズ・義仲翔子。
人類が広く宇宙で活動するようになった超未来の世界を舞台に、やっかいごと引受人(トラブル・コントラクター)と呼ばれる何でも屋稼業を営む青年ケインとその仲間達の冒険を描くスペースオペラ作品である。
富士見ファンタジア文庫刊、全5巻。コミックスは角川コミックス・ドラゴンジュニアレーベル、全3+1巻。
また、本作をベースとしたテレビアニメ作品も発表されている(1998年4月~9月にかけて放送。テレビ東京系、全26話)が…
登場人物
主人公。
遺失宇宙船「ソードブレイカー」を駆る厄介ごと請負人。
時代錯誤な黒いマントを好んで身に着けており、それを馬鹿にすると激怒する。
小説版の初期では切り裂きジャックを心の師匠とする刃物マニアだったが、アニメ放送以降はその設定には作中で触れられてはいない。
精神力を物理的なエネルギーに変換して刃を生成するサイ・ブレードを所持しており、一瞬だけなら精神力の増幅器を用いなくても刃を具現化させることができる。
なお、ソードブレイカーは祖母であるアリシアから譲り受けたものである。
ヒロインの一人。通称「ミリィ」。
元々は探偵だったのだが、ケインに関わったことによって会社を首になり、彼の助手になる。
射撃の腕は凄まじく、ソードブレイカーの砲撃手を務めている。
料理も得意で、その味は並みのレストランでは太刀打ち出来ないほどなのだが、何故か料理を作るたびに調理器具が破壊される。
実は犯罪結社「ナイトメア」の首領アルバート・ヴァン・スターゲイザーの孫であり、本名はミレニアム・フェリア・スターゲイザー。
ヒロインの一人。
ソードブレイカーの中枢制御システムであり、その姿は実は立体映像。
バストサイズが95(アニメ版設定)となかなかの巨乳だが、作中では殆ど触れられない。
やたらと人間臭い性格で、ネット上のオカルト情報を読み漁ったり、デザインが格好良いという理由で必要の無い武装を買ったりするのが趣味。
また、不当な仕事を押し付けてきたレイルに対して交渉(脅迫)で法外な依頼料をふんだくったこともある。
なお、彼女の姿はソードブレイカーの開発スタッフをモデルにしており、名前の方は作中の神話で魔王を魔王自身の武器「烈光の剣」で滅ぼした天使の名前からとっている。
その設定上、原作及びコミカライズ版ではソードブレイカー船内から出ることは出来ない。テレビアニメ版では限定的ながら船外活動も出来るようになっていた。
レイル・フレイマー
宇宙警察(ユニバーサル・ガーディアン)の警部。
ケインとは腐れ縁でいくつかの事件で関わることになる。
実はナイトメアと内通しており、敵対する組織を潰すために見知らぬ他人を利用したりもしていたが、最終巻での事件をきっかけにナイトメアと決別し強制捜査をおこなう。アニメ化されたことで原作での扱いに補正がかかったらしく、作者曰く、「アニメがなければ、最終巻には出番があったかどうかすら怪しかった。あっさり出てきてあっさり死んだ、以上。てな扱いになっていたかも」とのこと。
ニーナ・メルキオーレ
宇宙警察の巡査でレイルの部下。
長いポニーテールとそばかすが特徴。
手に触れた機械品をことごとくショートさせる特異体質を有する。
レイルにホの字であり、よくお茶を汲んでいるがその度にレイルの膝にこぼしている。
アニメオリジナルキャラクターであり、原作には登場しない。
アルバート=ヴァン=スターゲイザー
銀河最大の犯罪結社「ナイトメア」の首領。
ケインと同じく時代錯誤な黒いマントで身を包み、常人を寄せ付けない威圧感を放っている。
遺失宇宙船「ソードブレイカー」を狙って、刺客としてガルヴェイラ等の遺失宇宙船をケイン達に差し向ける。
アリシア・ブルーリバー
ケインの祖母であり、ソードブレイカーの元所有者。
自分が死ぬ間際にケインにソードブレイカーを託す。
アルバート=ヴァン=スターゲイザーの妹であり、本名はアリシア=ツォン=スターゲイザー。
アニス / R-20
漫画版に登場するロスト・シップの運転ユニットとしてナイトメアに作られた合成人間。アリシアのクローンであり、ケインたちを救うため、精神エネルギーを極限まで使用したために消滅することとなる。
コミカライズ版のオリジナルキャラクター。
遺失宇宙船
210m級宇宙船ソードブレイカー/195m級戦闘封印艦ヴォルフィード
遺失宇宙船「デュグラディグドゥ」を倒すために先史文明が製造した船。その名前は神話において魔王と対立する存在である漆黒の竜神「ヴォルフィード」からとられたものである。
精神力を物理エネルギーに変換して撃ち出すサイ・ブラスターや敵を空間ごと抉り取るリープレールガン等の超兵器を満載している。
必殺武器は増幅チップによってエネルギーを増幅して発射するプラズマ・ブラストで、これを応用してデュグラディグドゥらのエネルギーを相殺することもできる。
小説版では普段は現文明の装甲や機材で船体を覆い、正体が遺失宇宙船であることを隠し、最終決戦で装甲を外しその真の姿と実力を発揮している。
アニメ版では肉体を破壊して絶大な精神エネルギーを生み出すサイ・システム・コード・ファイナルが搭載され、漫画版では最強の兵器プラズマブラストの負担が使用者の命を脅かすほどのものとなっている。
300m級攻撃艦ガルヴェイラ(颶風弓)
デュグラディグドゥの護衛艦の一つ。
シリーズ後半に出てくる遺失宇宙船のような特殊な武装は持っていないが、エネルギー出力が半分にも満たない状態でも火星の衛星フォボスを一撃で粉砕し、ソードブレイカーと互角に渡り合う程の性能を誇る。
また、デュグラディグドゥ側の船にしては、バリアを展開しながら体当たりをかましたり、至近距離で心中覚悟の攻撃を仕掛けようとするなど人間臭い戦い方をする。
アニメ版では未登場。
300m級機動殲滅艦ネザード(毒牙爪)
デュグラディグドゥの護衛艦の一つ。
火力と防御力ではソードブレイカーに及ばないものの、機動性に優れており、速度ならソードブレイカーを上回る。
広範囲を攻撃するニードルレーザーやリープレールガンを搭載している。
アニメ版では、原作とは逆に火力と防御力でソードブレイカーを上回っているが機動性は低いという設定になっている。
410m級重砲撃艦ゴルンノヴァ(烈光の剣)
デュグラディグドゥの護衛艦の一つ。
船体の周囲に浮かべた6つの銀色の球体で空間を歪めることができ、相手からの攻撃の大半を無効化する。
また、船体各部のエネルギー砲を空間を歪めて一点に収束させたり、逆に無数に分裂させて撃ち出すこともできる。
このように、攻撃力・防御力はソードブレイカーを凌駕するが、機動性は劣る。
空間ごと相手を抉り取るリープレールガンを苦手とする。
アニメ版では、ナイトメアの幹部「闇を撒くもの」が搭乗する船となっている。
170m級機動駆逐艦ラグド・メゼギス(瞬撃槍)
デュグラディグドゥの護衛艦の一つ。
船体の大半を占めるエンジンとバーニア、そして船体の周囲に展開した慣性中和チップによって桁違いの機動性を誇る。
反面、火力と防御力は遺失宇宙船にしては貧弱。それでも、現文明のバリアや対戦闘機用の装備等はものともしない。
アニメ版では、空間を操って敵の攻撃を反転させる位相反転フィールド・惑星をも一撃で破壊するグラビトン砲などの兵器を搭載しており、火力・防御力・機動力の3拍子が揃った万能の船となっている。作中では「二等辺三角形」のような形と描写されており、アニメでもそれに準じたデザインになっている。その為、作者は後書きで「まんま二等辺三角形かぁぁっ!?」と視聴した際の感想を述べている。
550m級超長距離砲撃艦ボーディガー(破神槌)
デュグラディグドゥの護衛艦の一つ。
五つ一組の照準チップをあらかじめ標的のいる宙域にばら撒いておき、チップで標的を捕捉して高出力エネルギー砲を発射、砲撃の軌道をチップによる干渉で修正して命中させる超長距離砲撃を得意とする。
照準チップを応用することによって敵からの攻撃の軌道を曲げて無効化することも可能。
エネルギーの消費が激しいため、連続しての射撃ができないことが弱点。
アニメ版では未登場。
生体殲滅艦デュグラディグドゥ(闇を撒く者)
恐怖の感情をトリガーにして生体エネルギーのやり取りを阻害して生物を死に至らしめる「システム・ダークスター」を搭載した船。
元々は先史文明において戦争をしていた勢力のうちの片方が開発したものだが、原因不明の暴走を起こして敵味方の区別無く先史文明の人類を絶滅に追い込んだ。
対人殲滅能力は凄まじいものの、船自体の戦闘能力は高くないためにガルヴェイラ等の五つの護衛艦が製造された。
アニメ版ではシステム・ダークスターは搭載していないものの、全長1000mもの巨体と無数の砲門を持っており、ゴルンノヴァを取り込むことで空間レンズも扱うことができる。
漫画版ではヘカトンケイルが姿を変え、デュグラディグドゥとなった。
巨大戦艦ヘカトンケイル
デュグラディグドゥとスターゲイザーが先史文明のデータを利用して現文明で製造した巨大兵器。(曰く、『現代の科学が作り出した魔王の第六の武器』)
巨体ゆえの無数の武装と莫大なエネルギーを持ち、それに加えてゴルンノヴァ等の能力を複合した機能を持つチップを保有している。
なお、デュグラディグドゥの戦闘ユニットとして建造されたため自我は無い。
スレイヤーズとの関連
遺失宇宙船の船名の元とされる神話の『闇を撒くものデュグラディグドゥ』などの名前は、同じ作者のスレイヤーズにも異世界の魔王の名前として登場する。
スレイヤーズ世界から見た異世界がロスト・ユニバース世界とも取れる。
しかし、原作5巻にて遺失宇宙船の船名は伝説にちなんだ命名に過ぎないと説明されている他、原作者の神坂一は「基本的には別々の作品」と述べており、「(世界同士の繋がりは)ほとんど無い」「なんとなく響きがいいので使ってみただけ」といったような内容の発言をしている。
その一方で、スレイヤーズのテレビアニメ3作目であるスレイヤーズTRYでは意図的に関連を匂わせている感がある。
そもそもTRY以降のスレイヤーズのテレビアニメは原作のスレイヤーズとはパラレルであるのだし、好きに解釈してみるのもいいのではないだろうか。