獣人は折り紙を折る。何を折るかに気をつけろ。
『猫』は気ままに遊ぶ。
『鶴』は物語を紡ぐ。
そして『人鳥』は──────
データ
身長/187cm
体重/78kg
概要
『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』に登場する勢力の一つ。脳人と同様に「獣人」と書いて「ジュート」と呼ぶ。
その具体的な姿や一部個体の行動原理など、未だ明らかとなっていない点は数多い。
元々は脳人世界・イデオンにて、イデオンを維持する資源としてより効率の良い存在を求めたドン王家によって創られた人工生命体。
しかし結果は失敗に終わり、「人間をコピーして成り代わり世界を侵食する存在」になってしまった。成り代わられるために襲われる人間はもちろんのこと、その人間達の持つ波動に支えられている脳人にとって人間を減らす獣人は「人間、脳人の世界双方を滅ぼす恐れがある」と恐れられ、ヒトツ鬼と共に人間と脳人共通の脅威となっている。
コピーの手段は基本的に適合した人間を拉致し、後述の折り紙を飲ませることであり、ドン17話において、一部の個体は本編開始1年前から既に暗躍を開始していた可能性が浮上している。この回では「適合者」なる人間を物色したり翼と謎の取引を行うなど明確な知性を持つ存在がいることが示唆されている。また個体のコピー元である人間とは一蓮托生となっており、ドン30話及びドン45話において、獣人またはコピー元の人間の何方かが死んだ場合、もう片方も死ぬことが明らかになっている。裏を返せばソノイも言及している通り、拉致された人間は生存はしているということが登場初期から明かされてはいたが、彼らは皆、別次元にある獣人達のすみかである『眠りの森』において、眠らされた状態で拘束されている(獣人の種類は関係なく同じ森にて)ことがドン35話にて明らかになった。
また最大の特性は、ドンブラザーズはおろか脳人の干渉でさえ、接触した感覚だけはあっても傷一つ与えられない「不可殺の者」であるという点である。後述の例外を除き、一切始末することができないことから獣人と人間界を繋ぐ「扉」であった場所にアバター刑務所を設置、「守護人」として桃井陣を収容することで封印していたのだが、それとは別の抜け道「華果村」ができたことで人間界に侵出してしまった経緯がドンブラザーズ設定用語攻略本ペディアで明かされている。
ドンブラザーズは長らく獣人の存在すら察知しておらず、辛うじてイヌブラザー/犬塚翼がドン11、23話で人間態の獣人と接触した程度であったが、ドン27話で初めてドンブラザーズとも交戦したものの、やはりドンブラザーズも獣人を傷つけられなかった。その後、桃井タロウがソノイからその存在と素性を知らされたことで他のメンバーへは僅かに知らされたようであろうが、ドン28話までは、同じ獣人による攻撃しか通用する描写がなかった。
だが、ドン29話でドンムラサメ(ニンジャークソード)が獣人を撃破、その後ムラサメ自体が「獣人を倒せる兵器として創られた」事実が明らかになり、それを獣人への唯一の対抗策と見た脳人側が動きを見せることとなるが、対する獣人側も自分達の命が脅かされる危険性が生じたことから、牽制のために動き始めることとなる。
またドン36話で、もう一つ獣人を倒す方法として「コピー元の人間が眠りの森から脱出して人間界に帰還すれば、その獣人は不可殺ではなくなる」という弱点が明らかになった。こうしてコピー元が人間界に帰還した場合、コピー元とのリンクも途切れ、獣人が死んでもコピー元が死ぬことはない。
なお、その存在は下級クラスの猫獣人が正体の秘匿に無関心であったがゆえに、獣人とアノーニの騒動に鬼頭ゆり子が巻き込まれたことをきっかけに、王苦市の警察にも噂となっている程。
習性
食性は肉食獣らしく、チャーシューや生姜焼きなどの肉類を好む。
「人目を一切気にせず料理を犬食い・手づかみで貪る、他人の食事も容赦なく略奪する、自分への視線に気づくや暴れ出す」等、その動物としての本能に基づいたかのような、非常に獰猛な振る舞いは正しく獣そのもの(後述の折り紙も含め傍から見ると明らかに異常者にしか見えない)。
加えて、捕食対象にはアノーニも含まれることがドン21話で明らかとなった。
尚、通常の食物は普通に貪るのに対し、アノーニに対しては吸い込むようにして吸収する形で捕食する。また、こうすると眠りの森に住む同族達の下へ獲物のアノーニを転送することもできる。
なお、肉食とは言っても野菜は食べられないわけではないらしい(鶴やドン36話の彼は野菜も食べている)。
また、ある人物は自身がかつて追っていた人物を見るや執拗に追跡する、ある人物は料理への拘りが強く出された料理が気に入らなければ自分で作ってしまう等、擬態主の以前の生活や行動パターン、思考をある程度模倣できる模様。だが後者に対して桃井タロウが「腕が落ちた」と語っていた事から、完全な再現とまではいかないようだ。
基礎的な身体能力も並外れており、生身(人間態)の状態で高速で移動するバイクに追いつけるだけの脚力や、数メートル以上もの高さを軽々と跳び上がるだけの跳躍力、成人男性を片手で掴み上げるだけの膂力等、その名を呼んで如く『猛獣が人間の皮を被っている』も同然の生態・習性を見せる(ドン10・11話を見る限り、上記の身体能力を発揮する前に、好物の肉を貪る様子から前述のそれを発揮するには、相当量のエネルギーを摂食する必要がある模様)。
また、怪人態に変化すると瞬間移動の如き速さで、地上からビルの屋上まで退避する等身体能力も更に高くなり、加えてドン27話では脳人レイヤーとは似て非なる亜空間を利用した瞬間移動術を有していると思しき描写が描かれていた。
獣人の間には「目立つ行動をしてはいけない」と言う掟があるらしく(ドン30話で発覚)、それを犯せば同族から制裁が下されることになっており、彼等なりに秩序を構築して生きているのが窺える。
もっとも劇中描写を見る限り、最低ランクの猫獣人はその掟を遵守しているとはお世辞にも言い難く、まともに守れているのは鶴以上ランクの獣人くらいであり、逆説的に彼等が相応に理知的な存在であることの証明になっている。
折り紙
公式曰く「獣人には共通して『折り紙を折る』習性を持ち、『何を折っているか?』で個体毎の強さが分かる」らしい。劇中で明かされた折り紙の種類は猫(=Bランク)、鶴(=Aランク)、ペンギン(=Sランク)とされる。
動物で言う所のマーキングのようなもの(人間で言えばストリートギャングがスプレーで落書きするような感じか)であり、最低ランクである猫の獣人でさえも、ひとしきり暴れた後に折り紙を折っている間だけ、笑顔を浮かべ、平穏な状態を保つ様になる。
また、この折り紙には獣人の思念が宿っているのか、口に放り込まれた人間に病などの災厄を引き起こしている(口から取り除けば何事もなくなる模様。作中では翼が2回口から折り紙を取り出されている)ほか、飲み込ませることで対象をコピーできるようにしている。
また、個体によっては、手裏剣の様に投擲したり、戦闘用ドローンのように敵の周囲を旋回させて、牽制・撹乱する為の武器とする事もある。
また、鶴獣人がネコの折り紙を握り潰した様子から、獣人同士でも対立関係がある模様(恐らく、“獣人だから縄張り意識が働いている”と推測されるが、実際、ドン30話では鶴獣人に対して猫獣人達が反抗していた様子から、獣人同士でもランクごとに相応の反骨心や対抗意識がある事が窺える。「私は猫共に嫌われているらしい」とは本人の弁)。
個体一覧
怪人態は青色の衣服の上に陣羽織のような黒い装甲を着用し、六つの青目を備えた銀色のマスクを付けているような顔が特徴。
猫(Bランク)
※メイン画像の怪人
獅子の鬣を思わせる白いフリルを持つ頭部が特徴であり、戦闘時には腕に、背伸びをした猫の意匠がある白色のクロー・「ネコクロー」を装備する。
名称の初出であるドン9話のラストで、観光バスが事故を起こし乗客・乗務員が1人残らず消滅する怪事件が発生しており、被害者の1人を代表として、被害者はこの猫獣人に成り代わられていたことが、ドンブラザーズ設定用語攻略本ペディアにて判明している。
最低ランクである為か知性はほぼ動物同然で、唸りや咽ぶだけでほぼ喋らず(コピーされた人物の一人は、しばらくの間元来の職務を続けられていたのだが、『既に何件か問題事案を起しているのにそのお咎めは受けていないのか?』等の疑問が残る)「気ままに遊ぶ」という特性のもと本能のままに活動する。なおドン30話において、喫茶どんぶらに現れてドンブラザーズにムラサメを要求するなど片言ではあるが一応人語を話す程度はできる事が判明した。
また、該当者は複数存在するが、これが同一個体が複数の変化態を持っているのか、各自同一種による別個体であるのか、長らくはっきりとした事がわからなかった。ドン27話で複数の個体が同時に登場(ただしメタ的な話スーツが一体分しか用意出来なかったのか同乱戦において怪人態になったのは一体のみであった)した事から後者の説が確定する。
該当者
作中で最初に登場した獣人。バス事件の被害者の1人。
何度も翼と対峙するが、ドン40話でニンジャークソードを手にした翼の手によって誤って斬られてしまい、絶命した。
- バスガイドの女性
同じくバス事件の際に獣人化。
ドン27話においては猫獣人達のボス的存在として他の獣人達を統率していたものの、ドン29話でドンムラサメに倒され絶命。
ドン35話で迷いの森に迷い込んできたことから捕縛・コピーしたが、ある理由で本物が覚醒して森から帰還したため、不可殺の特性がなくなり本人との決闘の末に消滅した。
鶴(Aランク)
頭部の白いフリルが鳥の嘴を思わせる縦長のフォルムになっている他に赤目であり、鶴の姿を模した片刃剣・「ツルサーベル」を武器とする。
犬塚翼が巻き込まれたおいやま山荘での劇団員昏倒事件について、鶴の折り紙による干渉とともに唯一の適合者が拉致され、同じ顔をした鶴獣人が活動を開始するに至っており、翼の不幸の元凶である点が示唆されている。
平時においては獰猛な性質を完全に抑制し、完全に人間社会に溶け込めるほどの知性を持っている。
なお鶴獣人の言によれば、「気ままに遊ぶ」猫獣人と異なり「物語を紡ぐ」習性があることが明かされている。
該当者
普段はつよしの妻として人間社会で静かに暮らしているが、本能のままに暴れ掟を乱す猫獣人に手を焼き、彼等を抑えるべく獣人の狩人として活動を開始するようになった。
なおみほとして活動していたのは、コピー元であった夏美の「夢」に基づいた「物語を紡ぐ」習性によるものであると本人の口から語られている。翼との邂逅を機に、「夏美」と「みほ」を行ったり来たりしている。
アノーニが討伐対象として上げた獣人のリストの中に名前が連ねられていた事や、息子の意味深な失踪や、劇中における行動や態度(生肉を貪る、平時は普通に会話や調理といった事ができる)から、彼女が本当に獣人であるなら、鶴獣人ではないかと考察する声が多い。
ペンギン(Sランク)
2023年のアイキャッチ映像にて、一足先にその姿が明らかとなった。
獣人共通の頭部の白いフリルは両翼を広げたような形状となっているほか、顔面には真っ青な冠が付加された、皇帝にも見えるフォルムが特徴。固有武器は無し。
「眠りの森」の管理人を務める存在。
該当者
ドン家の生き残りにして、森の扉を守っている獣人。
100年生きてきた最高齢の獣人で、コピー元の人間の寿命が尽きたことから自身の死も近づいており、華果村で後継ぎを育てていた。
ちなみにこれは余談だが、彼が後継ぎとしようとしている戦士は初登場からこれまでドンブラザーズメンバーで唯一、OP映像以外でただの一回もアノーニと戦ってもいなければ一瞥の接触すらしていないが、それも彼の意図が絡んでいたのかは不明。
ペンギンの折り紙を自ら食べることで、「後継ぎ」の代わりにペンギンの獣人と化した。
余談
上記の獣人の特性は簡単にまとめれば「眠りの森(違法サイト)に迷い込んだ不特定多数の人間(アカウント)から情報を盗んでなりすます」、「やたら大量に折り紙(チェーンメール)を作る」、「肉(データ)やアノーニ(セキュリティ)を食い荒らす」、「コピーされたまま安易に討伐(削除)しようとするとコピーした人間(乗っ取られたデータ)ごと死亡(BAN)してしまう」等といった具合に、いわゆるスパムやコンピュータウイルスのそれに近いものがある。
『じゅうと』の他に『ジュート』とも表記されるが、これはドン11話のテロップが初出。
なお怪人態モチーフは、ドン35話オーディオコメンタリーにてライオン丸であることが明かされている。
関連タグ
暴太郎戦隊ドンブラザーズ 脳人レイヤー 第三勢力 戦隊怪人 ハッキング コンピュータウイルス(余談参照)
- 獣人(仮面ライダーアマゾン):名前繋がりのライダー怪人。
- ワームオルフェノク:鶴と頭部のデザインと似ている。
- バスジゲン:最初に起こした事件のセルフオマージュ元
- シンケンジャー:"おりがみ"で戦うスーパー戦隊。
- ケムール人:液体で人間を消失させる怪人の元祖
- ノスフェル及びビーストヒューマン:上記の事件の不気味さに加え、再登場した狭山の異常な言動から、一部の視聴者から連想されたとか。
- 改造実験体トライアルシリーズ:本来の敵怪人とは毛色が異なる第三勢力的な立ち位置の敵キャラで、当初は通常の方法で倒す手立てが存在せずに対策に難儀する事となった人造生命体。
- ワーム(仮面ライダーカブト):「人間をコピーする」という点が共通している。獣人と異なり「死ぬと同時にコピーされた人間も死ぬ」ということは無いが、基本ワーム自身がコピー元を殺害して成り代わるためあまり変わらない。
- セレブロ(ウルトラマンZ):「獣人が人間に寄生する存在なのではないか?」とする説や、ドン11話で獣人の疑惑がある人物が見せた首を回す動きが彼に似ていた点などから、一部の視聴者に連想された。
- ウルトロン(アーセナル憑依状態):目の配置と形が似ている(特に赤目の鶴獣人)。