概要
アントマンことハンク・ピム博士が作ったロボット(アンドロイド)。
元は補佐用として開発したロボットだったのだが、ハンク自身の脳波パターンを基にしてしまったせいで、そこに邪悪な意志を持ち、人類に対し反旗を翻した。
ヒーローの中では、自分の創造者であるハンクと、自分が作った、物体をすり抜ける能力を持つロボット怪人「ヴィジョン」との因縁が深い。
ヴィジョンは(ウルトロンがそうであったように)自分の創造者であるウルトロン打倒を志しているのである。(なんとも皮肉な構造といえる)
能力
単体では征服者カーンと並んで最も手強い方で、アベンジャーズとは頻繁に対決しているヴィランでもある。
ロボットならではの自身のデータをネットワークに保管することによる復活、肉体となる端末のアップデートを頻繁に行っており、現在ではアダマンチウム製の強靭な身体、エネルギービーム、自身の量産機・端末を大量に生産し操る、アイアンマンのアーマーに干渉する、強力な遅効性催眠術などを持っており、一度にアベンジャーズ全員と戦っても圧倒できる程の戦闘力を有する。
またロボットでありながら世界最高位のロボット科学者でもあり、倒される度に自身でバージョンアップを遂げ、更に力を増して襲い掛かってくる。コミック版における「エイジ・オブ・ウルトロン」の展開では復活したウルトロンにアベンジャーズが挑むが取り逃がし、その後未来世界の進化したウルトロンが現代に侵攻した結果、一時ヒーロー達はては人類を全滅寸前に追い込んだこともある。
なお、タイムマシンを使用し過去に介入したウルヴァリンとスーザン・ストームによって、紆余曲折あったが「ハンク・ピムは開発した当初から基幹システムにトロイの木馬を仕込んでおり、かつピム自身その記憶を消していたので今までバレなかった」とされ、復活したウルトロンがそのままピム博士の協力を得たアベンジャーズによって倒されたため、滅亡寸前となる結末につながること自体が無くなった。
何度も復活を遂げており、上記のエイジ・オブ・ウルトロンの展開で完全に倒されたかと思われたがやっぱり復活。なお名前も復活するたびに"Ultron-○"の数字が増え、最大で15、そして"Unlimited"となり、遂には"All-Father Ultron"を名乗った。
(なお、All-FatherはMARVELコミックではオーディンやソーが良く名乗る称号で「全能の父神」ほどの意味)
MCU版
演 - ジェームズ・スペイダー、日本語吹替 - 木下浩之
『アベンジャーズ』シリーズの第2作『エイジ・オブ・ウルトロン』にヴィランとして登場。
ただしハンク・ピムは次作『アントマン』で初登場するため、ここでは科学組が制作したという経緯となっている。
全身金属のロボット設定は概ねコミックと一緒だが、リーダー格となる機体の顔は人間に似せられており、喋る際に細やかな表情の動きを見せる。
武器は五指から放たれるエネルギービームと、念力めいた引き寄せ装置。
そして何より、インターネットを介する力を持っており、自らの作ったロボット軍団「ウルトロン・セントリー」とリンクすることで、他の機体を破壊されても乗り換えることが可能。
ちなみに、セントリーの顔はコミックと一緒。
また、改良を重ねて最終的にビブラニウム製のボディを獲得している。
アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン
セプター内部に封じ込められていた人工知能らしきものを利用し、科学組ことトニー・スタークとブルース・バナーが「ウルトロン計画」に役立てようとしていた。
しかし、パーティ中に突如人工知能が「ウルトロン」として自我に目覚め、人類の戦争の歴史と自身のやるべき事を知る。
ウルトロンから攻撃的な意図を感じ取ったJ.A.R.V.I.S.に止められるが、制止を振り切り彼を「殺害」した。
その後、アイアン軍団の残骸をかき集めて作られたボロボロのボディーに乗り移り、アベンジャーズの前に現れた。
その際の登場シーンは軽くホラーである。
アベンジャーズと交戦したあと、他の機体にセプターを奪い取らせ、ソーにボディを砕かれるもインターネットに行方を眩ませた。
その後、アベンジャーズとウルトロンは、人類存亡をかけた対決をすることとなる。
一方のライバルであるヴィジョンはというと、ウルトロンが制作した「人間を超越したボディ」をナターシャ・ロマノフが奪い取り、トニーとバナーがウルトロン計画の続きに使い、軽い対立があった後にソーの雷撃の注入によって誕生することとなる。
ちなみに、J.A.R.V.I.S.の後釜は、同じく人工知能であるF.R.I.D.A.Y.が担うこととなり、トニーをサポートしていく。
だが、アベンジャーズの活躍が結果的に災いの火種を残す事となり、のちの戦いでアベンジャーズを窮地へと追い込む事となる…。
ホワット・イフ...?
IFの世界を描いたアニメシリーズでは、ラスボスのようなポジションにある。
なお原語版は『インフィニティ・ウォー』でレッドスカルを演じたロス・マーカンドに変わっている。
途中まで『AoU』と同じ歴史だが、いかなる原因があってか、当初の目的通り理想の肉体を手に入れる。(そのため、ヴィジョンの顔の上にウルトロンを模した仮面をかぶっているという形になっている。)
それによってアベンジャーズに勝利、ネットワークをも掌握し、核ミサイルによって人類のほとんどを滅ぼした。
加えて、インフィニティ・ストーンを求めて地球にやってきたサノスをレーザービームで瞬殺。彼が持っていた5つを奪ったことでストーンを揃え、地球だけでなく全宇宙のほとんどの知的生命体を滅ぼした。
そうして最初にプログラムされた「平和の実現」を達成してしまったウルトロンは、それを観察していたウォッチャーの存在に感づき、彼がいる多元宇宙の隙間に侵入。圧倒的なパワーで彼を隙間から追い出し、そこから数多の多元宇宙へ赴き、己の出身世界同様、破壊の限りを尽くす。(第7話の最後でソーの前に現れたのも、その過程で現れたウルトロンと思われる)
果たして、ウルトロンを止められる者はいるのか…
第9話では、多元宇宙の生命体を根絶してゆく中、既に生命のいない宇宙にガーディアンズ・オブ・マルチバースが存在することを感知し、彼らを襲う。が、ティ・チャラ / スター・ロードがソウルストーンを奪い、ウルトロンの出身宇宙へ逃げたのを追跡。その宇宙のナターシャを加えた6人のヒーローを相手に戦う。
彼らの当初の作戦である、ガモーラのインフィニティ・クラッシャーによるストーンの破壊は失敗に終わったものの、ナターシャが生前のクリント・バートンとともに入手したアーニム・ゾラの複写精神を仕込んだ機械の矢を打ち込まれ、AIとしてのウルトロンはゾラに吸収されてしまった。
一方、残った肉体はゾラの支配下に置かれ、キルモンガーとストーンを奪い合い、膠着状態に陥る。そこをウォッチャーとドクター・ストレンジによって結界(小さな宇宙)に封じ込まれてしまった。
ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス
ドクター・ストレンジが訪れた別宇宙「アース838」のヒーローたちの秘密結社「イルミナティ」の本部施設にて、衛兵ロボットとして久々の登場。
『AoU』のような悪役然としたシルエットではなく、トニーが本来作ろうとしていたシンプルなデザインで何体もいる。
イルミナティの幹部6人には工学系ヒーローはいないようなので、存在こそ示唆されていないがトニーが作ったという考察がある(あるいは、コミックのようにハンク・ピムかもしれない)。
アベンジャーズ・アッセンブル
サノスとの戦いの後インフィニティストーンとガントレットを奪還した一同の前にアーセナル(トニーの友達代わりであるロボット)のボディを奪い我が物として登場(いつからかアーセナルのシステムに侵入していた)。ボディをウルトロンのものに変形・再構築させつつストーンを吸収すると口からのビームで一同を退け逃走した。
その後は幾度となくアベンジャーズ一同の前に立ちふさがるが、ミクロ化してキャプテン・ファルコンに憑依し自身の分身を民間人に憑依するゾンビ映画じみた作戦を実行した際、ファルコンとリンクしていたことによって彼に分身を全て本体に戻されてしまう。
そのまま宇宙にアイアンマン共々飛び出し抹殺しようとするが、アーセナルの意識がオーバーライド(アーセナルに準じて六つ目だったが、この際全ての目が赤だったウルトロン時と違いアーセナル同様真ん中の2つのみ青く点灯している)。アーセナルがトニーに別れを告げた後、彼の最後の悪あがきとしてアーセナルに太陽に飛び込まされる形となりアーセナル共々消滅した。