概要
オルドビス紀の南半球の浅い海に生息していたとされる、細長いおたまじゃくしのような体型をした海洋生物。体長は約25センチ、名前の意味は「サカバンビラの甲羅」。サカバンビラ(Sacabambilla)とは、本種が最初に発見された南米・ボリビアの村の名前。
正面についた目と、そのすぐ下の口が弧を下にした半月状になっているのが特徴。口の下半分は細かい鱗に覆われており、柔軟に動いたと考えられている。骨でできた楕円形の甲羅が背中とお腹を覆うようについており、なかなか防御力の高そうな姿をしている。近縁のアランダスピスより平坦な体つきで、化石の分析により3枚の尾びれを持つことが判明している。
無顎類に属する絶滅した一群である、甲冑魚と通称されるグループの一種。現在生息している無顎類にはヤツメウナギ、ヌタウナギ等の円口類がいるが、サカバンバスピスは彼らとそれほど近い存在だとはみなされていない。口に顎(あご)がなく、同時期の近縁種と同様に海底付近で泥をかき散らしたり、水中を漂う有機物やプランクトンを探したりして食べていたと考えられている。
ボリビア以降、アラビア、オマーン、オーストラリア中央部から化石が発見されており、その各地は当時浅い海であったことから、この生き物は大洋には出られなかったと考えられている。
なお、直接の関係はないが、1億年ほど経ったデボン紀に彼らのように体の前半を鎧で覆った板皮類というグループが現れた。
あの模型
フィンランドにあるヘルシンキ自然史博物館ではこの魚の模型が展示されているが、
- やけに小さく下に尖って微笑んでいるように見える口
- 口角部分の横にある生気のない丸い目
- 窪みもないため際立つ虚無顔
- 鱗及び背びれ以降の部分をカット
- 全体的に太短い体
といった点が何とも言えない造形を生んでおり、展示位置もオルドビス紀ではなくデボン紀にされたため、地元民からの評価は低い。
しかし、あまりのシュールな見た目から2023年にふたば☆ちゃんねるでひとしきり流行ったあと、6月中盤にTwitterで爆発的な人気となった。
翼甲類の特徴をまるで再現できていない一方、実はちゃんと鼻腔があったり鱗を思わせるギザギザが下唇にあったりと、この種の特徴である顔は化石標本を十分に再現できている。
関連タグ
水を吐くフグ IKEAのサメ チンアナゴ:Twitterの魚ブームのある意味先輩
ボクカワウソ くちくいきゅう マムル:フォルムや顔のバランスがヘルシンキ自然史博物館の模型と似ている。
皇帝ペンギン シマエナガ:・◆・の顔でバズったゆるキャラつながり。
キリストの絵:元々の状態からかけ離れた復元がなされたものつながり。