概要
この書は「ヨハネによる黙示録」、「神学者聖イオアンの黙示録」、「使徒聖ヨハネ黙示録」あるいは類例所がないため単に「黙示録」とも呼ばれる。
なお「新約聖書」で唯一、預言書、すなわち「霊感により啓示された神意を記述した文書」としての性格を持つ。
執筆者
この物語の語り手はヨハネと名乗ることから、伝統的に聖ヨハネ、すなわち使徒でありゼベダイの子であり大ヤコブの兄弟であり「ヨハネ福音書」などを記述したとされるヨハネが記したとされてきたが、他のヨハネ文書、福音書や書簡類などと文体や終末の理解などが異なることなどから、研究者の間では別人、例えば上記の人物ではないヨハネ、またはその名を偽った人物が記述したという意見が少なくとも3世紀から存在し、最近では彼と近い複数の人物の手によるものではないかとも考えられている。
執筆された時期は執筆者から聞いたとされる話や、内容に小アジアでの迫害が含まれることから1世紀の終わりごろであるとされる。
扱い
この書に関しては一部では正典であるか否かということが特に正教会を含むいわゆる東方教会などにおいて問題視されていた時代が存在する。
理由としては、上記著作者の問題、難解であるためどのようにでも解釈ができるため、異端のよりどころとなりやすい点などがあげられる。
ただし、正教会においては聖書の中で唯一奉神礼で朗読されないものとなっている。
なおプロテスタントの祖といわれるマルティン・ルターなどはこの書などを排除しようとした、といわれる。