「‥‥人は見かけによらない、
と申しますよ。」
声:横島亘(TVアニメ版)
演:ムーディ勝山(舞台『逆転のパラレルワールド』)
概要
『逆転裁判2』第4話『さらば、逆転』で初登場。『逆転検事2』で再登場し、複数エピソードに跨がって暗躍する。年齢不詳。身長184cm。
依頼者の目的や人間性を問わず、依頼されれば如何なる人物であろうと、情け容赦なく確実に殺害する、凄腕の殺し屋。殺し屋は約100年以上前の先祖より代々、伝わる家業であり、彼は3代目に当たる。特別捜査課が何年にも渡って追跡している、凶悪殺人鬼だが、その足取りは一向に掴めずにいる。
恐るべき職業に反して、虎狼死家の外見や態度や言動は、いずれも「柔和温順」を彷彿とさせるものである。細目で温和な表情を浮かべる、顔の中心部には額から顎にかけて、縦一文字の縫い目が走っている。左目には銀のチェーン付きのモノクルを掛けている。ショートヘアの前髪の中心部には白髪が混じり、真っ白な口髭を生やしている。老人らしからぬ、長身痩躯で引き締まった体の持ち主で、歴代の依頼の数々を経て、屈強な肉体へと転じて行った事が窺える。
常に穏やかで紳士的な態度を保ち、礼儀正しさや丁寧な言葉遣いを心がけている。物の名前を短縮して呼ぶのを嫌い、どんなに長くとも正式名称で呼ぶ事を好んでいる。例えば「パソコン」なら「パーソナルコンピューター」と言い換えている。一定の怪しさが漂うものの、外見だけなら落ち着いた好々爺にしか見えないが、「殺し屋に相応しい冷酷さ、狡猾さ、卑劣さ」を兼ね備え、それを作中の関係者やプレイヤーに、まざまざと見せつける。
虎狼死家本人は「依頼者との信頼関係、義理人情を重んじる」と強調して語るが、あくまで「彼にとって都合の良い、自分なりの流儀」に過ぎず、真っ当な人間の考える、それらとは乖離している。作中では、御剣から「虎狼死家は義理人情を何よりも重んじる」と、説明された成歩堂が「殺し屋に義理も人情もあるかよ‥‥」と胸中でツッコミを入れていたのに、頷いたプレイヤーも多いだろう。
何が起きようと、虎狼死家自身は四六時中、ポーカーフェイスを保っているが、その心境は彼の私物が代弁している。『裁判2』ではトランシーバーが、『検事2』ではアイスクリームが、持ち主の心境を感情豊かに表現している。
主にターゲットの周辺を探る目的で、各地に潜伏しており、多種多様な職業の人物に成り済ましている。偽名は常に「田中太郎」を用いる。個性的な外見の持ち主なのに、何故か時と場所と場合を問わず、周囲に溶け込める擬態能力を有する。その上、不思議と出会った人々には妙に印象の薄い人物として記憶される傾向にある。プレイヤーの視点からは「どう見ても怪しい」としか思えないというのに。
『裁判2』ではホテルのボーイや黒いスーツの執事、『検事2』では「サザエのマーク付きのピンクの法被」を羽織ったアイスクリーム売りを装っている。この法被のサザエのマークは、彼のシンボルでもあり、後述のカードにも描かれている。『検事2』では、負傷した左腕に三角巾を着用していて、職業柄、満足な治療が出来ていないのか、腕からは時折、血が滲み出る。
職業
自他共に認める、凄腕の殺し屋で、単独の戦闘力は作中でもトップクラスに入る。互角に戦えるのは、かつては同業者ライバルであった鳳院坊了賢、虎狼死家のターゲットのボディーガードで、彼を返り討ちにした挙げ句、負傷までさせた外城涯位しかいない。『検事2』での怪我は外城に負わされたもので、彼に関しては、虎狼死家自身が「この名前は生涯、忘れない」と、実力を非常に高く評価していた。
どんな武器も自由自在に使いこなすが、中でも射撃の腕は突出しており、狩魔冥を標的とした、狙撃に使用したのは拳銃(形状からしてルガーP08)であり、遠距離から彼女の右肩を一発で撃ち抜くという、殺し屋としての高い技量を見せつけた。冥の父・狩魔豪は過去の事件で、右肩に一発の弾丸を撃ち込まれて怪我を負い、休職する羽目になった事がある。彼女を父親と同じ目に遭わせて、トラウマを植え付ける事で、事件への関与を妨害するという、虎狼死家の冷酷さ、狡猾さが如実に表れた犯行の1つと言えよう。
殺害現場には「サザエモン」という名前に因んで、「ピンクのサザエのマークが描かれたカード」を必ず置いて立ち去る。この行為によって、殺人は殺し屋である自身の犯行と明かす事で、依頼者に嫌疑が掛かるのを阻止しようとしている。
今までは三代にも渡って、一子相伝で殺し屋家業を継承して来たが、現在は後継者捜しに難航しており、素質があれば血縁者でなくとも、後継ぎに迎え入れようと思案している。法廷では何かと成歩堂に、自分に依頼する様に勧めて来るが、大慌てで断固拒否され、一連の話を真に受けた裁判長が「成歩堂は私の命を狙っているのか」と疑念に駆られるという、ちょっとした騒ぎが起きた。
基本的には、信頼に足る人物のみ依頼を請け負う為、一度は直接対面して、ある程度の話し合いを経てから、殺害任務に向かう方針を取っている。だが最近は仕事数が減少傾向にある事で、インターネットを経由しての依頼も引き受けたり、一般人への擬態も兼ねて、アイスクリーム屋等の副業もこなす事で収入を得ている。
姿勢
義理人情に生きる殺し屋らしく、依頼人との信頼関係を何よりも重んじるとの事。依頼人以外には義理人情が全くなく、お金をくれた人に対して優しいだけとも言える。
また、その気になれば、その場の人間を皆殺しにして証拠隠滅する能力がありながらも、ターゲット以外の人を殺す様な真似はしない(依頼達成の為に関係者を負傷させたり、人質を取ったりする事はある)等、仕事に対する徹底ぶりは尋常ではない。
信頼関係を大事にしている分、“裏切り者を最も憎む”とも語っており、裏切り者に対して、自身の名にかけて、命に代えても、追い詰めてみせるという言動も確認出来る。
問題点
そんな彼だが、幾つか問題点もある。身も蓋も無い事を言えば「アニメや漫画の悪役は、登場人物のみの力で倒せるが、ゲームの悪役は、プレイヤーが操作キャラを通じて、自らの力で倒さなくてはならないので、ある程度の隙を見せて貰わないと、倒せないという事情」あっての事なので仕方ない面もある。
- 依頼人のアリバイの無い時間に犯行を行う(しかも依頼人が昼寝をしていた為に細工され、余計な疑いがかかる結末になってしまっている)
- 事故か自殺に見せかければ、警察の犯人逮捕を目的とした捜査すら起きないというのに、殺人バレバレのやり方で警察の捜査を促し、依頼人が逮捕されない様に対処していない。プロとしては、依頼人と自分の安全を最大限、配慮していないという点で、失格と言える行為である(たとえ依頼人が殺人のやり方に対して口出しをして来たとしても、自殺にしない理由はないので、虎狼死家の方が止めさせるべき、グランプリでの敗北という自殺理由もあった)
- 依頼殺人であれば普通、警察は実行犯のみを探す筈なのに、カードを残して依頼殺人である事を明らかにして、依頼人に疑いが向く様にしている。これがなければ、御剣が虎狼死家の存在を認識する事すら出来なかった(虎狼死家の全ての殺人にカードを置く必要はない)
- 人を殺せば遺族から恨みを買う。それが大スターなら尚更、ファンからの反感は途轍もなく大きくなる。段々、自身が活動しにくくなってしまう。
- 担当検事を狙撃(普通なら裁判は延期になり、被告人に余計な疑いがかかる。殺すなら証人の霧緒の方である)
- 誘拐した女性を依頼人の家で監禁する(バレたら依頼人は有罪になる危険性のある、最悪の行為でもある)
- 金の受け渡しを犯行現場で直接行い、他人に目撃される(この点は成歩堂にすら呆れられていた)
- 重要な証拠品であるクマのアクセサリーを依頼人の家に残しておく。
- 依頼人の許可なしに真宵誘拐、冥狙撃などの数々の犯罪行為を犯す(もしも依頼人だけ逮捕されて、その罪が依頼人に及んだらどうするつもりなのだろうか?また真宵はパーティの参加者でもあるので、依頼人の友人である可能性すらあった)
- 誘拐するとしても、最終的な判決を下すのは裁判長なので、成歩堂より裁判長の身内をさらった方が効果的(事実『検事2』では、裁判長の息子を誘拐した事により、無罪判決を取る寸前まで行った悪人がいた。実際は人違いだったが)
- 逮捕されてしまった依頼人との連絡手段を確保しておかない(成歩堂に頼めば、殺人を隠した上での伝言位は出来る筈)
暗躍
依頼を受けて藤見野イサオの暗殺を実行。さらに、綾里真宵を誘拐して担当弁護士・成歩堂龍一を脅迫する。担当検事・狩魔冥を狙撃して出廷不可能にする。警察から逃げおおせた上で、無線機ごしに法廷で嘘の証言する……といった具合に、依頼人に有利となる様に立ち回る。その他、執事の田中太郎として、成歩堂一行と直接、接触する様子も見られる。
大統領・王帝君暗殺の依頼を受けて行動開始。
演説会場のひょうたん湖公園にて、アイスクリーム売りの田中太郎を装い、暗殺の機会を窺っていた所を、検事・御剣怜侍と対峙。2日前にも、ボディガードに扮して標的への接近を試みており、その際に左腕に怪我を負ったと語られる。
標的を生かしたまま、現場から逃げおおせる形で、第1話での出番は終了。その後のエピソードでは、一連の事件の裏で暗躍する《黒幕》が、自身の依頼にも一枚噛んでいたとして、その正体に迫ろうとする様子が窺える。
関連タグ
リモート:「無線機を通じて証言」という行為は、ある意味でこれに該当する。