老子
ろうし
古代中国の思想家の一人。
すべてを自然のままに任せる『無為』を主軸とした【老荘思想】の開祖であり、のちに道教で神格化され『太上老君』の尊称を得て崇められている。
概要
本名は李耳(リ・ジ)、字は耼(タン)。「老子」は本来、権威ある年長者への尊称である。
一応は孔子から儒学を教わったとされることから紀元前5世紀前後の人物と推察されるが、生年をはじめ、出生や経歴のほかあらゆる情報が不明瞭なため、一部の歴史研究家の間では「架空の人物ではないか」と疑問視されている。
あらゆることを「自然な流れに任せる」ことを旨とする【老荘思想】の開祖であり、のちに道教が興隆した際には開祖として崇められ、『太上老君』という尊称とともに神格化されることとなった。その影響か、後世の中国伝奇小説で伝説の仙人として『太上老君』の名前で登場している。
『無為』の思想
老荘思想の根幹を支える教え。
『何も為さない』という意味で、余計な手を加えず自然に任せることを意味する。
よく誤解されるが「ほったらかし」にするのとは違うので注意。
どちらかと言えば、
在りのままに捉え
在りのままに考え
在りのままを受け入れる
……と、いう自然主義的な考えに近いだろう。
逆に私利私欲で物事を強引に推し進めたり、大義名分を盾に物事を抑え込むような人為的な作用を嫌う思想でもある。