クラ湾夜戦
くらわんやせん
背景
日本軍のガダルカナル島撤退後、アメリカ軍は次の作戦目標としてニュージョージア諸島を選んだ。
1943年7月4日にニュージョージア本島へ上陸を果たしたが、日本軍の激しい抵抗により作戦は進まず、増援を送ることになった。護衛はヴォールデン・L・エインスワース少将指揮のホノルル、ヘレナ、セントルイスの三隻の軽巡洋艦を中心とする第36.1任務部隊が務めた。このうちヘレナはサボ島沖夜戦、第三次ソロモン沖海戦に参加した武勲艦であった。軽巡洋艦ホノルルはもともとは重巡洋艦を中心とする第67任務部隊の所属であったが重巡洋艦4隻がルンガ沖夜戦で壊滅し、艦隊が再編された際に第36.1任務部隊の旗艦を務めることになった。
一方、日本軍も鼠輸送により増援を送ることになり、第三水雷戦隊の駆逐艦新月を中心とする駆逐艦四隻がニュージョージア諸島へ向かった。駆逐艦新月は当時竣工から三カ月程度しか経っていなかった。
第三水雷戦隊の旗艦は元々巡洋艦川内であったが、旧式化が進んでいたため臨時に駆逐艦新月が旗艦になっていた。
第一夜戦
7月4日夜、上記の二つの艦隊はニュージョージア本島とコロンバンガラ島の間にあるクラ湾でばったりと遭遇した。
アメリカ艦隊は駆逐艦ラルフ・タルボットが日本艦隊を発見し通報したが旗艦ホノルルの反応は鈍く、ラルフ・タルボットに聞き返す前に日本艦隊はすぐさま反転しつつ魚雷を発射した。一発が駆逐艦ストロングに命中した。
さらにニュージョージア島の守備隊が戦艦伊勢、日向から下ろした14センチ砲で砲撃をおこなったため、駆逐艦ストロングは誘爆により沈没した。
ともあれ日本軍はニュージョージア島への輸送作戦を断念し、アメリカ軍側もなんとか上陸作戦を成功させた。
第二夜戦
日本側は翌日夜、第三水雷戦隊司令の秋山輝男少将の直接指揮の元、駆逐艦十隻で改めて輸送作戦を行うことになった。
当初夕張が旗艦を務める予定であったが直前に機雷で損傷したため、新月に秋山少将が座乗し、旗艦を務めた。
日本艦隊はクラ湾で軽巡洋艦三隻(ホノルル、ヘレナ、セントルイス)と駆逐艦四隻からなる艦隊と遭遇し、新月、涼風、谷風がアメリカ艦隊に突っ込んでいった。
新月は旗艦として先頭で探照灯を照射したため集中砲火を浴び、沈没した。秋山少将は新月と運命を共にした。
一方でヘレナは発砲炎の少ない新型の装薬を他艦に譲っていたため、良い目標となった。
アメリカ艦隊が新月に気を取られている間、駆逐艦涼風と谷風がアメリカ艦隊に突進し雷撃を行い、ヘレナに命中。これによりヘレナは沈没した。
日本軍は新月らが戦っている間、輸送隊の駆逐艦が増援の陸兵と補給物資の揚陸に成功しそれが終わると輸送隊の駆逐艦がアメリカ艦隊に突っ込んでいき雷撃を行った。命中弾は無かったがアメリカ艦隊は撤退していった。
こうしてクラ湾夜戦は新月とヘレナが合い討ちになって終わった。
なお海戦の途中、輸送隊の駆逐艦長月が座礁により失われた。