概要
太平洋戦争中の1943年7月12日にソロモン諸島コロンバンガラ島沖で発生した海戦である。
背景
1943年2月上旬のガダルカナル撤退作戦後、南東方面を担当する日本軍はニュージョージア諸島を防衛線に定めた。アメリカ軍は反攻作戦としてニュージョージア諸島への上陸作戦が始まった。すでに制海権と制空権を失った日本軍は小型艦による輸送作戦に頼らざるを得ない状況にあった。(鼠輸送)
しかしこの事態を見過ごしてくれるほどアメリカ軍は甘くなく日本海軍は小型艦の被害は増大した。後にこの海域は駆逐艦の墓と呼ばれてしまった。
アメリカ軍はニュージョージア島に上陸したものの日本軍の激しい抵抗でさっぱり前進できなかった。日本軍は連合国の横腹を突くためにコロンバンガラ島の兵力を引き抜いてニュージョージア島へ輸送することにしたよしかしその結果コロンバンガラ島の兵力が減少してしまう。そのため第8方面軍は更なる兵力を送り込むことが決定する。一方、クラ湾夜戦でヘレナを失った第36.1任務部隊は軽巡洋艦と駆逐艦を増加させた。
参加艦艇
軽巡洋艦:神通
輸送隊
連合国軍
第36.1任務部隊
駆逐艦:ニコラス、オバノン、テイラー、ラドフォード、ジェンキンス、ラルフ・タルボット、ブキャナン、グウィン、モーリー、ウッドワース
経過
7月12日、日本海軍は神通を旗艦とする第2水雷戦隊をラバウルから出撃させる。そして輸送隊もブインから出発する。しかしこれらの動きをアメリカ側の沿岸監視員により察知されてしまう。
これを受けてアメリカ海軍は第36.1任務部隊に阻止を命じる。
会敵
23時8分、日本側は敵艦隊を捕捉する。すぐさま神通は探照灯を照射する。その5分後、双方とも魚雷戦、砲撃戦が開始した。神通は探照灯を使用したため、アメリカ海軍は神通への集中砲火を開始される。その結果、神通は大破してしまう。その上艦橋への被弾により2水戦の司令部は全滅、艦長も戦死する。さらに艦尾の被弾により舵も破壊される。しかしそれでも神通は2度目の雷撃を展開するなどして抵抗する。その結果後方にいる駆逐艦は砲弾がほとんど飛んで来なかった。この機会を逃すまいと、浜風、清波、夕暮、雪風、三日月などの駆逐艦が魚雷を発射、すぐさま戦場を離脱する。そしてその発射された魚雷は23時22分にリアンダーに命中する。これによりリアンダーは浸水が発生し、戦闘不能になってしまう。そのためラドフォード、ジェンキンスに護衛されながら戦線離脱する。アメリカ海軍はすぐさまニコラス、オバノン、テイラーに日本軍の追撃を向かわせる。しかし日本海軍はスコールを利用したため追跡を振りきられてしまう。しかしその間にアメリカ駆逐艦は神通への攻撃を再開する。これにより神通は23時48分に大爆発を起こし真っ二つに折れて沈没してしまう。乗員のほとんども戦死してしまう。
しかしこの後アメリカ艦隊は深い絶望を味わうことになる・・・・・・
日本軍の逆襲
神通の喪失により2水戦の指揮は雪風に引き継ぐと、僅か18分で魚雷の次発装填を終えて戦場に戻る。
23時56分、ホノルルのレーダーに複数の目標を探知する。しかしこのときアメリカ艦隊はニコラス、オバノン、テイラーを追撃に向かわせて以降所在が掴めていなかった。そのためエインズワース中将は迫ってくる目標が敵か味方なのか全く判断がつかなかったのである。そしてエインズワースは味方だと判断して同士討ちを躊躇していた。そして2水戦がアメリカ艦隊を捕捉すると再びスコールを利用して7㎞近く接近する。そしてなにも戦闘を行わないうちに0時05分に砲撃と雷撃を行う。2水戦の砲撃により敵と判断したアメリカ艦隊は砲撃を開始する。しかし気付いたときにはもう手遅れだった。
2水戦から放たれた魚雷がアメリカ艦隊を襲撃、セントルイスが1本命中し、艦首下部をもぎ取ってしまう。それと同時にホノルルにも艦首と艦尾にそれぞれ1本ずつ命中。艦尾は不発で終わるが艦首は魚雷の爆発により没落してしまう。この結果陣形は崩壊してしまう。0時14分、グウィンに魚雷が命中して大破炎上し、ブキャナンとウッドワースが衝突事故を起こして損傷してしまう。0時30分、2水戦は戦場を離脱する。これを見たエインズワース中将は追撃を命じるが動ける艦艇がラルフ・タルボットのみであった。2水戦は5時15分、ブインに帰投した。大破したグウィンはダメージコントロールに失敗し浸水が増大、結局グウィンは味方により海抜処分される。その後、海戦の隙を見て0時36分にコロンバンガラ島に到着し、輸送物資全ての揚陸に成功する。ブインへの帰還途中、皐月と水無月は神通の捜索に向かうがなにも発見せずそのまま引き返した。輸送隊は11時40分にブインへ帰投した。
結果
日本海軍
日本海軍は旗艦神通を失い、司令部も全滅という損害を出してしまうが輸送隊の被害はなく、その上第36.1任務部隊を壊滅させる戦果を上げた。
第36.1任務部隊
輸送隊の阻止に失敗をした上に中枢の巡洋艦が沈むか損傷などにより事実上戦力外になってしまう。
その後
日本海軍はクラ湾夜戦とコロンバンガラ島沖海戦の結果を受けて、コロンバンガラ島への輸送物資を事前にブインに輸送することとなった。しかし移送作業の最中空襲を受けて、初雪が沈没してしまう。さらに7月18日に第7戦隊と第3水雷戦隊が輸送隊と合流してコロンバンガラ島への輸送物資の揚陸には成功。しかし、艦隊は姿を見せないもののPBYカタリナによって行動が筒抜けであった。そのためガダルカナル島から夜間攻撃機が出撃して、引き上げる日本艦隊はその襲撃に遭遇してしまう。この攻撃で夕暮が轟沈、熊野も魚雷が命中して舵がご招待してしまう。清波は夕暮の救援のため反転するものの消息を絶ってしまうなどの損害を受けてしまう。その結果、輸送ルートをベラ湾、ブランケット水道経由に切り替えることを余儀なくなれてしまう。