探照灯とは、照明の一種である。
pixivにおいてはもっぱら『艦隊これくしょん』関連で用いられる。
解説
いわゆるサーチライトのこと。
「探照灯」の呼び名は、第二次世界大戦時までの日本海軍での呼び名である。
日本陸軍では「照空灯」と呼ばれた。
……陸軍と海軍で呼称が異なるのは、当時の日本軍にはよくあることである。
もっとも、陸軍が「爆撃機への警戒」や要塞の監視用途等に利用した固定式の防御兵装だった(そもそも探照灯自体が人員が持って運べるようなサイズと重さではない)のに対し、海軍は「夜間の敵艦への照準」と攻撃的な用途(軍艦というのは高速で動ける要塞でもあるのだ)のため、使用目的そのものが異なっている。名称がわざわざ異なるのは日本的な傾向だが、陸海それぞれの用途としては世界的におおむね一般的であった。
なお陸軍でも陸軍船舶部隊は探照灯と呼称しており、名称の違いも陸海の文化というよりは、基地に置くのか艦船に積むのかの違いだった可能性もある。
第二次世界大戦では、各国で夜間戦闘の必需品として用いられ、特に日本海軍は「夜戦はお家芸」とまで言われるほどに夜戦バカな一面があったことから、この探照灯を積極的に使用している。
探照灯には夜戦での敵艦の照準の他、旗艦が指揮下の艦艇に対して射撃目標を指示するという重要な役割があり、敵に対して自らの位置を晒す「俺を撃て」と言わんばかりの危険な行為である事は十分承知の上であった。旗艦による探照灯照射は日本海軍の標榜する指揮官先頭を体現する、文字通り夜戦での花形的場面とされていた。これはレーダーが開発される以前の世界の海軍にも共通する認識である。よほどの月明かりでも無い限り夜間の海上は一面の漆黒の闇であり、レーダーが無い限りは探照灯以外に遠くを見る手段が無いため、文字通りのサーチライトであった。
一方、日本海軍の電探に対する無理解と開発技術の未熟により、探照灯のデメリットに目をつぶり第二次大戦でも多用した結果、大切な艦船をみすみす轟沈させる憂き目に幾度となく遭ってもいる。
この探照灯照射を原因として神通・霧島・暁・古鷹等が、敵の集中砲火に遭って沈んでいる。
特に暁は第三次ソロモン海戦の第一戦にて、探照灯を米軍艦隊に照射した結果、集中砲火によってわずか15分で轟沈という悲劇に見舞われている。
これらは米軍のレーダーが優れていたから探照灯に勝った、というような話ではなく、たとえ相手もレーダーを持っていなかったとしても探照灯を照射した艦は良い的になってしまう危険があるという事例である。
ちなみに現代ではレーダー装備が普及した結果、レーダーで照らした奴は他のレーダーから位置がモロバレ、肉眼では見えないだけでレーダー照射が探照灯照射と全く同じ意味を持ってしまうこととなり、敵に見つからないためにはレーダー波も出せないという、探照灯と全く同じ状況に陥りつつある。自分だけ見つからないというのは今も昔も難しいのだ。
陸上での防空用途も各国共通であり、照らせば自分の居場所を晒す欠点も同じだったが、ひとたび爆撃コースに入れば真っ直ぐに進むしかない大型爆撃機は照らされても反撃手段が無く、照らされた爆撃機は敵の迎撃機や対空砲火に集中して狙われてしまうため照空灯が特に有効であり、敵の空襲に対してはレーダーと併せて頻繁に使用され、大きな戦果をあげている。
また照空灯を防御したい所以外から照射するおとり的用途に使われる場合もあった。どこに爆弾が当たっても痛い艦船と違って、何も無い陸地に爆弾が落ちてきてもサーチライトが壊れる以外の被害は無いのである。
探照灯・こぼれ話
- 青葉がモールス信号に用いたのは直径30~60cmの小型の“信号探照灯”というもので、後述の『艦隊これくしょん』の装備として出てくる探照灯はより大型の“110cm探照灯”と推察されている。
- 戦艦大和には九六式150cm探照灯という、特大サイズのものが配備されたという。のちに艦これにも装備として実装された。
- 神通が「美保関(みほのせき)事件」(島根県美保関での訓練中に起きた艦船同士の衝突事故)で艦首を大破させた原因の一つとして、龍田が照射した(砲撃判定の代わりとして探照灯を照射する形式となっていた)探照灯に乗員の目が眩んだ事が挙げられている。距離が近ければ攻撃にもなり得る凶悪な明るさだったのだ。
- 明るさは約10万カンデラ。10km先でも本が読めるほどの光量だった。
- 探照灯の中には炭素棒のフィラメントがあり、ここに高圧電流を流すことで白熱化したフィラメントが強力な光を発した。
- 夜戦の際は一瞬のチャンスに敵を照射後すぐに照射を止める必要があるため、タイムロスを防ぐために戦闘中は常にフィラメントに通電・点灯させて、シャッター状の蓋を閉じた状態であった。電流のOn/Offではなく、シャッターの開閉で照射・消灯を切り替えるのである。
- 一方でフィラメントの寿命は、わずか15分。つまり戦闘が始まったら照射しようとしまいと15分ごとに取り替えなくてはならないのだが、これを交換するためには、触れれば制服さえ熱で焼けてしまう凸面鏡内に体を突っ込まなければならなかった。よってフィラメントの交換は灼熱にさらされる壮絶な苦行であり、もっぱら新兵に押しつけられていた。
- 駆逐艦秋雲の乗員・中島斎は、艦長命令で米空母ホーネットのスケッチを、探照灯の明かりを盛大に利用して行った。当然、夜戦場のど真ん中でこんな蛮行に出たものだから、僚艦だった巻雲からは信号灯で「お前は何をしている!?」と言われてしまった。
- 雪風は探照灯による目晦ましで敵航空機を3機撃墜させた記録を持つ。……つくづく規格外な駆逐艦である。
艦隊これくしょんにおける探照灯
DMM.comの配信するブラウザゲーム『艦隊これくしょん』では、艦娘の装備アイテムとして登場している。
空母系には装備できない。
効果としては……
- (+)味方艦隊の夜戦における命中率の増加
- (+)味方艦隊の夜戦におけるカットイン発生率の増加
- (+)敵艦隊の夜戦におけるカットイン発生率の減少
- (-)探照灯を装備した艦への攻撃の集中の可能性
- (-)探照灯を装備した艦の被弾率の増加
となっている。
注意すべき点として、夜戦開始時に耐久値が1以下だと発動しない(そして、そもそも0だと撃沈状態になってしまい、艦娘が轟沈・ロストしてしまう)。
敵艦で探照灯を持つのは異様な硬さを持つ軽巡棲姫だけであり、轟沈しても表記上の耐久値が0にならない演習でしか見ない装備である為、気づきにくいデメリットなので注意が必要。艦これアーケードでは効果が異なり「夜戦時の砲撃サークルを見やすくする」というものに変更。ブラウザ版のデメリットはあってないようなものなので安心して装備しよう。(検証により装備数が多いと照射範囲が広くなる。この理由から霧島改二の実装が遅れたのと第肆回期間限定海域開始前は鹿島改のカードの値段が高騰していた)
現時点では開発による入手は不可能だが、神通改二・霧島改二・綾波改二・川内改二・山城改二・古鷹改二・鳥海改二・暁改二・加古改二・鹿島改など多くの艦娘の初期装備にラインナップされ、『新編「第六駆逐隊」を編成せよ!』の任務達成報酬として入手出来る上に、数を必要とする装備でもないので練度の高い鎮守府では逆に余りがちになるというやや特殊な位置づけの装備である。
神通は左足の、川内は右足のふとももという、大変すばらしい場所に艤装として装着しているが、霧島の方はどこに装備しているかは現状では不明。
綾波は肩から紐を付けて下げ、暁は左肩に装着して探照灯を光らせている。鳥海は頭部右側に装着している。
また、装備としては持ってこないが那珂ちゃんが改二になるとマイクの様に右手に持っていたり、三隈が腰に下げていたり、朝潮型の一部が改二になると背部艤装のベルトに小さなものを防犯ブザーのように付けている。
さらに陽炎型の嵐は、ベルトのバックルが探照灯という男のロマン溢れるアレンジで艤装化している。
いつか改二になったら赤いマフラーをたなびかせたりするんだろうか…
運用方法としては、夜戦での攻撃性を上げるほか、旗艦に装備させて後続の艦船への被弾率を抑える「弾除け」としての使用が、今のところ最も効果的とされている。
ただし、俗に『夜戦マップ』と呼ばれる5-3『第一次サーモン沖海戦』や、Extra Operation海域の2-5/3-5など接敵時から夜戦になるポイントでは、逆に旗艦が痛打を食らって大破撤退になりやすいため、そうしたマップの攻略の際には、二隻目以降の回避率の高い艦娘(特に六隻目で軽巡・駆逐)に装備させるのが良いとされる。
2015年5月29日のアップデートで、暁改二の実装に合わせてか改修工廠で探照灯の改修が可能になった。改修には明石を旗艦とし、二番目の艦に神通または暁を配置することが条件だが、よりにもよって探照灯がもとで沈んだ艦というのが何とも言えない。★6以降の改修には、更に探照灯が必要になる。探照灯は量産が難しいので、改修は確実化しておいた方が良い。
更に★MAXの後は、新しく実装された上位装備「96式150cm探照灯」に更新が可能だが、その更新には熟練見張員が必要になる。熟練見張員は現状では鳥海改二、高波改、風雲改からしか入手できない。鳥海改二は改装設計図を必要とし、高波は期間限定海域のみでのドロップ、風雲は3-5ボスS勝利でドロップ可能。貴重な装備なので、更新するならばこちらも確実化しておこう。
2020年3月27日のアップデートで、神通を筆頭に一部の艦娘にステータス補正が発生するようになった。特に神通は【火力+8/雷装+6】の強烈なアッパーチューンが可能となり、回避-1のデメリットを呑んでもお釣りが来るレベルとなっている。同時に「熟練見張員」の補強増設スロット装備が解禁されたことで、より強力な夜戦火力を叩き出せるようにもなった。
後日、さらに「雷装+2」の補正が加わり、【火力+8/雷装+8】とますますパワフルに。
さらに6月19日のアップデートで、神通改の初期装備が零式水上偵察機から探照灯へ変更され、探照灯の量産がかなり楽になり、大型探照灯の改修MAXも狙いやすくなった。
なお、改二前では装備としては反映されていないが、古鷹の色が違う左目は探照灯をデザインに組み入れたものとする説が有力である(公式webコミックでもこの説が採用されている)他、天龍の眼帯も海戦で破壊された探照灯をデザインに組み込んだものとする説がある。
関連イラスト
第一弾を神通改二が持ってきたことから、彼女のイラストでもよく描かれる。
のちに暁改二が史実準拠で持ってきたことから、占有率を一気に逆転している。
ほか艦隊一の夜戦バカや、優しい鬼神、新三川艦隊の頭脳派リーダーなど、夜戦で功績を上げた艦歴を持つ艦娘のイラストも増えている。
……多分、こういうことではない……はず……
あと、多分これも違う……はず……
秋の秋刀魚祭りにて探照灯・熟練見張員・ソナー・爆雷による相乗効果でサンマ獲得率が向上したため、それを一隻で詰める夕張や大淀を漁船に改装する提督も多かった。
ちなみに
艦これ以外の作品だと、横山信義氏の「海鳴り果つる時」「巡洋戦艦浅間」シリーズなどで活躍を見せる。
浅間の場合、艦橋上部に装備しており、敵船団への夜襲時、これで敵船を片っ端から探し出しては叩き沈めたので、「サイクロプス」と呼ばれて恐れられた。