主人公(HollowKnight)
ほろうないとのしゅじんこう
概要
作品の主人公。ボロくなった釘を手にハロウネストに現れた空ろの騎士。
名前も性別もなく口も利けない。
容姿は半円を描く曲がった角を持った、兜みたいに頭部全体を包む仮面を被った、灰色のボロボロなマントを着た真っ黒のちまちまボディのムシ。
デフォルメな見た目もあってその仕草ひとつひとつが愛くるしい。
知恵を持つ(話が通じる)生き物の中で一番小さく、他の登場人物から「ちっこい」と言われることが多い上に一部の者から「振る舞いは完全に手馴れの戦士なのに甲殻はどう見ても発育不全」と心配の目まで向けられる。
なんのためにハロウネストに来たのは最初説明されることはないが、
ホーネットからは宿命を全うするために来たと思われており、
また夢見の守護者からはとある人物の「呼び声」に反応して来たと推測される。
能力
初期装備は古びた釘、マスク五つ、そしてフォーカスという自己回復の魔術のみでプレイヤーの対応しきれない状況に陥るとあっさり死んでしまう。
しかしライフが尽きると死んだ場所に未練の具現化と言われるカゲ(Shade)を落とし、最後に休んだ場所もしくはチェックポイントに再生する。
ソウルのゲージが割れて所持金はカゲが持っているままでカゲを倒して再び体内に取り込むまでフル魔力と所持金を取り戻せないが、それ以外のペナルティはない。つまりどんな障害物に当たっても乗り越えられるまで何度でもチャレンジできる。
(但しカゲを取り戻せる前にまた力尽きると前のカゲが持っていたお金は失われてしまうため道のりに死んでしまうプレイヤーは泣き目を見るだろう)
小柄な分とても身軽でボタン押しの長さに応じてジャンプの高さが変わる。最大で身長倍以上の高さまで跳べられる。
初期装備の状態でもジャストタイミングのジャンプだけで戦闘や探索のピンチがなんとかなる場合も多い。
そして探索の道のりやボス戦の勝利品に手に入るアイテム「蛾の羽根の衣」でダッシュ、「カマキリの爪」で壁ジャンプ、「水晶の心臓」でスーパーダッシュ、「統治者の翼」でダブルジャンプ、「影の衣」でカゲダッシュという様々な能力を得られる。
それらの能力と身の小ささを上手く利かせると、同時に受けるダメージを減らして攻撃のチャンスを増やせる。
それに加えて仮面やソウル器の欠片を集めてライフと魔力ゲージを伸ばしたりすることで防御力をアップできる。
また、釘を釘鍛冶に強化してもらって釘師に奥義を教えてもらったり、
カタツムリの塚などにて新しい魔法を覚えたり・知っている魔法を強化させたりすると攻撃力も多いに高められる。
初期の貧弱で決意だけでどうにか前に進めた生き物から徐々にタフな騎士に成長できる。
人物像
無口の上に無表情なので、
プレイヤーが顔色を伺って考えていることや感じていることを当てることが極めて難しい。
なので感情も思考も持たない、文字通り空ろな存在だと思うプレイヤーは少なくはない。
しかし相手の話を聞く以外に、他者と触れ合う際にとなりに座ったり、本人が可哀想だと思った相手に花をあげたりする選択も出てくるので、実は誰かを思いやって行動することが多い。
狩猟者の書では倒した敵の簡単な紹介(狩猟者のノートではない部分)は主人公が書いたものではないかという説も存在する。
またプレイヤーのプレイスタイル次第に物を壊しまくったり人を困らせたり弱い敵をあらゆる手段で虐めたりする、あの厄災リンクを思わせるやんちゃっぷりを演じることができる。
それだけではなく、とある条件を満たして友好的になった敵キャラクター(カマキリ、ハチなど)を攻撃したり、完全に無害な生き物(子供のキノキンなど)を殺しまくったり、さらに助けられるNPCを見殺しにすることも自ら手をかけることも、残酷なプレイも可能である。
二次作品における描写はプレイヤーそれぞれの印象によるもので、
プレイヤーの思ったことを語るためのプレイヤーの分身として描かれることもあれば、ゲーム以内の行動によって考察に基づいた描写もある。
ただただ世界に憂さ晴らしをしたい問題児、好奇心で動く無邪気な子供、味方から敵まで洞窟の住人を全部助けたいのにコミュニケーションの手段が少なさ過ぎて暴力でしか解決できず内心苦しい思いをしている心優しきキャラクターなど、様々な主人公が見られる。
『Hungry Knight』
実はTeamCherryの処女作ブラウザーゲーム『Hungry Knight』の主人公役をも務めている。
そこで主人公はゲームの操作説明でプレイヤーに話しかける台詞がある。
自分は騎士で、任務は果たさなければいけず失敗は許されないと語る。
そのゲームで主人公の目的とは三人の敵を倒すことで命を落とした同胞を助けること。
Hollow KnightとHungry Knightの直接的な関係は全然ないが、ネタバレ防止のためにナニかとは言わずとも、再利用された要素がある。知ってる人なら多分既に気づいていることであろう。
そのために「騎士の自覚」「強い覚悟」「大切な人を大事に思う気持ち」の性格設定も同じなのではないかと考察するプレイヤーもいる。
ちなみにとある隠しクエストにて、Hungry Knightの話を掘り出してくるメタ発言するキャラクターが存在する。
余談
Kickstarterでクラウドファンディングが行われていた時、つまり制作の初期段階ではもともと男性という設定だったのだが、
TeamCherryの方々が作品の世界観や主人公の正体など細かい設定を練っているうちに無性別に変更したのだ。
そのため制作の初期段階あたりの文章を掘り出せば主人公を「he」など男性的な三人称で呼ばれることが目立つが、作品以内の文章や発売後の作者たちのブログなどでは主人公は「they」や「it」など中性的な三人称でしか呼ばれない。
(ちなみに作品のタイトル同名のホロウナイトも無性別である。)
関連タグ
プレイヤーの呼称(非公式)
放浪者 (WandererKnight/WanderingKnight)
小さき亡霊 (リトルゴースト/LittleGhost/Little_Ghost/Ghost)
以下本編のネタバレあります
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正体
少しずつ明らかになる主人公の正体とは、蒼白なる王と白いレディの実子であり、アビスの入り口の石碑の言うところの「純粋の器の制作でできた副産物のゴミにして我々の後悔」。
つまり失敗作の器。ホロウナイト、古代の穴で戦う壊れた器、緑の道やノスクの素で遺体となった器たち、アビスにいる同胞たちとはきょうだいにあたる。
またホーネットは主人公の異母の姉か妹である。
そして蒼白なる王がラディアンスを殺すだけのために作った道具。
蒼白なる王は白いレディが産んだ卵をアビスに巣くう虚無の闇に染めることで生き物としての性質を根本から変え、「思考できる精神」も「破られる意思」も「苦痛の悲鳴を上げられる声」もない、ラディアンスを体内に閉じ込めて消せるような完全に空っぽな存在を作り上げようとした。
その役目に選んだ個体は「純粋な器」としてアビスから連れ出されたが、他の器は欠陥品として蒼白なる王自らの手で命を奪われ、残りの生存者はアビスの中の閉じ込められ見捨てられた。
今もアビスの底は子供の遺体に埋め尽くされ、その落としたカゲたちは劣化しつつある形で恨みと苦痛の塊となってさまよい続ける。
まさにホラーな光景である。
主人公及び一部のきょうだいはなんとかアビスから脱走できたものの、ハロウネストに残る器たちはみんな物言わぬ遺体となっている。
そのほとんどはなんらかの野生生物、もしくはこれ以上に状況をあわ立たせて悪化させられることを許さないホーネットに殺されたか自殺したのだと仄めかされている。
主人公はハロウネストの外に逃げたことでなんとか命は助かったらしい。
その戻るきっかけになった「呼び声」の正体とは、今もホロウナイトの中で閉じ込められて戦っているラディアンスの悲鳴である。
しかし主人公もクィレルみたいに記憶になにかの障害が生じたらしく、ハロウネストにいた頃及び己の正体をも思い出せない可能性がある。
そこで腹を痛めて産んだ子供たちを犠牲にしたことを恥じて更なる器の誕生を阻止するために夫の元を離れた白いレディは、
主人公にハロウネストを守るために限界を迎えつつあるホロウナイトに代わってラディアンスを再び封印することを頼むと同時に、
「王の魂」の半分を主人公に授けては蒼白なる王が持つもう半分を手に入れるように仕向ける。
そして「王の魂」を完全にした主人公にまたアビスに赴かせて、かつて「生まれては死んだ」経緯を思い出すようにその好奇心を刺激する。
アビスで主人公が思い出す過去とは、
きょうだいの遺体の山からなんとか抜け出して、殺されたばかりのきょうだいが上から投げ出される地獄を目に焼き付けられながらも、父の声を辿ってやっとアビスの天辺へとよじ登る。
しかしようやく天辺にたどり着いた先は、蒼白なる王はもう純粋の器を選んだ後だった。
まだ主人公と同じ小柄なサイズの幼いホロウナイトは主人公に気づくも、手を貸せずに見捨てて父の後を追う。
そして主人公は天辺から滑り落ちる。
過去のトラウマを思い出した主人公は虚無とその生き物、そして同胞たちに仲間として認識されるようになり、虚無の触手や同胞に攻撃されることはなくなる。
そして新しいホロウナイトにならずに、ホーネットの協力で直接ラディアンスと戦う解決法を挑戦するようになる。
ちなみに他の器たちはみんなわずかだけでも主人公より成長している。
ホロウナイトと壊れた器の場合は一番わかりやすいが、緑の道やノスクの素にいる器たちもよくよく見れば主人公より体が大きく背も高い。
なぜ主人公だけ生まれたままのサイズなのかはまったくの謎で、様々の考察がある。
以下全エンディングのネタバレあります
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主人公に待ち受ける宿命
悲劇なことにどのエンディングにも主人公は、自分でいられなくなってしまう。
一番と二番目のエンディングにて主人公はホロウナイトを殺し、
体内にラディアンスを取り込んで黒卵の神殿の中に永久に閉じ込められてしまう。
三番目のエンディングにてラディアンスを殺害することで汚染を終わりにするも、
その代償に己の甲殻を破壊したことで元に戻れなくなり、ホロウナイトをはじめ他のきょうだいたちと一緒にカゲとして虚無に還る。
四番目のエンディングにて影の王・虚無の分身となった主人公の力が暴走して神を求む者と洞窟のほとんどを取り込んでしまう。
そして五番目のエンディングで神を求む者と絆を築いた主人公は、影の王として神を求める者たちの新しい神として迎え入れられて洞窟から姿を消す。
その後を描いたゴッドシーカーモードにて主人公はムシの姿に戻っては神の家を自由に歩けるが、 神の家から出ることはもうできない 。
どのエンディングにもホロウナイトの苦しみを断ち切ることに成功するし、
さらに三番目以降では汚染に終止符を打つ主人公だが、
閉じ込められたり事実上死んだり虚無と一体化したり神になったりとどの道でも自由を犠牲にしてしまう。
これはクィレルの死並びに多くのプレイヤーにショックを与え、
「救いがねえ」「バッドエンドとメリーバッドエンドしかなかった」「MERCYコマンドどこだよおい」など、絶望に満ちた声はネットに轟いた。
なのでクィレルや他に助からないキャラクターと同じように、
主人公を弔うファンワークや、もしも主人公が生存して大きくなったらのIFを描いたファンワークが多く存在する。