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センシティブな作品

サイコドリーム

さいこどりーむ

「サイコドリーム」とは、1992年に日本テレネットから発売されたスーパーファミコン用のゲームである。

概要

作中の世界で氾濫している精神を作品にダイブさせて楽しむ映像ソフト、「Dムービー」に

入り込んだまま現実に帰還しない少女・柚木沙耶香を帰還させるべく政府組織の男女が

映像作品「廃都物語」に入り込み駆け抜ける。

用語

・Dムービー

実体験と仮想世界を行き来するマシン。これと専用の薬剤・Liピルを用いる事で作品に入り込む事が可能となる。しかし、精神遊離剤のLiピルと感覚接続器の併用が当初から危険視されていた。

ハード性能の向上により、安価なマシンが急速に広がった事で若者達のステータスの一つとなっていった。

似たような概念の映像作品が普及している例としては「DETONATORオーガン」のP.A.S.F.U.(パスフー。使用者の夢に干渉し使用したソフトの夢を見られる)か。

・ブレインアウト

Dムービーに接続しLiピルを摂取して作品内に入り込む事。

・シンカー

Dムービーに入ったきり帰還しない者を指す。生命活動に必要な食事も排泄もされない為衰弱していき、この状態に陥ると生命活動はもって一週間。生命維持装置をつけたところで植物状態に代わりはなく焼け石に水。

・『ダイアモンドの犬』

Dムービーに入ったきり帰還しない「シンカー」を帰還させるために政府が設立した組織。

組織名は記章から呼ばれている。

・デバッガー

『ダイアモンドの犬』に所属する、Dムービーに耐性のあるメンバー。

作中の主人公二人が該当する。

・「廃都物語」

作中世界で最も流行し、最も危険な幻想作品と言われている。

監督は鬼才デヴィッド・ヴィスコンティ。

登場人物

シジマ・リョウ(男主人公)

『ダイアモンドの犬』に所属するデバッガーで、ゲームでは赤いマントを着こんだ騎士然としたキャラクター。

トバリ・マリア(女主人公)

センシティブな作品

『ダイアモンドの犬』に所属するデバッガーで、ゲームでは黒いボンデージ風の服を着たキャラクター。

柚木沙耶香

今回の救出対象。映像作品の中でも没入度が高く危険な「廃都物語」にブレインアウトしシンカーとなった。元々病弱な身体故に救出までの猶予はないと思われる。

彼女が13歳の時に父親が愛人と共に失踪。後に離婚し母子家庭となっており、母親から男女交際を引き裂かれた事でDムービーに没入していった。

母親もその母の私生児として産まれ旧家の血筋を絶やさない為に望まぬ結婚をしたので、拠り所が娘の沙耶香しかなく過保護。沙耶香はそんな母親の愛情をただの抑圧と感じていた。

ゲームシステム

残機制なし・体力制、時間制限あり。コンティニュー可能(パワーアップ・得点リセット)。

十字キーで移動、Yボタンで攻撃、Bボタンでジャンプ、Aボタンでファイナルアトラクション。

Rボタン押しっぱなしで移動がダッシュになり、ジャンプ力も上がる。

モンスターを倒すことで出てくる5色の「プロテイン」を獲得する事でパワーアップ。

  • イエロープロテイン:標準攻撃の近接攻撃がフリークアウト(強化)されていく。
  • ブループロテイン:通常攻撃にショットが追加、続けて取ることでフリークアウト(強化)されていく。
  • レッドプロテイン:ブルーかイエローのフリークアウト3段階目で取るとミューテーションを起こしグラフィックが変化、各形態の攻撃能力が強化される。
  • グリーンプロテイン:獲得すると3回攻撃に当たるか画面を切り替えるまで残るバリアを貼る。
  • パープルプロテイン:ファイナルアトラクション(ボム)の回数が増える。

主人公二人の性能もフリークアウトの分岐で変化。

リョウの近接攻撃フリークアウトは肘や膝の骨を伸ばして攻撃するフレイムフリーク。

遠距離対応フリークアウトは腕に寄生させた生物からレーザーを放つパラサイトフリーク。

ミューテーションでマントは着こんだまま外骨格を纏い、より刺々しくなる。

マリアの近接攻撃フリークアウトは爪が鋭利に伸びるネイルフリーク。

遠距離対応フリークアウトは腕を銃に変化させて追尾光弾を撃つキャノンフリーク。

ミューテーションで蝶の翅を背中から生やし、攻撃の際に回転するようになる。

ファイナルアトラクションの性能は微妙にリョウ・マリアで異なり、リョウの「モゼイックディジーズ」は攻撃判定の出が速い代わりに無敵時間が短め。マリアの「ブラッディレイン」は攻撃判定の出が少し遅めだが、無敵時間は長め。

まさかのNintendo switch Online配信

2021年2月のスーパーファミコンソフト配信のラインナップに登場し、作品を知る人から非常に驚かれた。

…知る人もいるかどうかわからないほどのマイナー作品であり、且つゲームの評価もそれほど高く評価されていなかった(発売当時のファミ通レビューで18点)為である。

エピローグ

エンディングは割とあっさりしており、彼女が帰還出来たかどうかはゲーム中だけではあまり推し量れない。しかしソフトの取り扱い説明書にはエンディングのその後が描かれており、購入した人を驚かせた。

以下、取り扱い説明書に記載されたエピローグ。

季節は春になった。

陽気がふわりと溶け出した天気の日に、久しぶりの休暇をとったリョウとマリアが桜並木の通りを歩いていた。

「いい天気ね」

「うん」

二人は神社に向かってゆっくりと散策を続けている。

日頃のきつい任務から解放されて穏やかな気分に包まれた静かで平和な休日の午後を満喫していた。

「あら、あの子……」

急に立ち止まってマリアが一人の少女を指差す。

鳥居の下で若い男の子と話していた少女がマリアに気付いて明るい笑顔で会釈した。

若くて健康な礼儀正しい女の子がするように。

はにかんだ表情を浮かべた少女は傍らの少年と手を組んで表通りの雑踏の中へ消えていった。

爽やかな風が桜の花の積もる石畳の上に翻る。

「誰、今の女の子?」

リョウが不思議そうな顔でマリアに尋ねる。

「なあに、わからなかったの? 沙耶香ちゃんよ、あの子。いやねえ」

信じられないといった風にマリアがにらむ。

「髪がショートになったぐらいで気づかないものかしら」

「いや、随分と印象が変わっていたから…」

リョウは少し狼狽して言い訳をするように答えた。

「まあいいけどね」

柔らかな春の日差しに目を細めてマリアはそっとリョウにもたれながら腕を絡める。

「あの子も元気になったみたいで本当に良かった…」

うららかな表通りにあふれる花見客に紛れるようにリョウとマリアは再びゆっくりと歩き始めた。

季節は春も盛りの頃である。

編集者:B.A.D.
編集内容:親記事追加