紙越空魚
かみこしそらを
CV:花守ゆみり
概要
本作の主人公兼語り部。埼玉の大学に通う、文化人類学を専攻する女子大生。ネットロアや実話怪談を好み、その知識は豊富。平素から廃墟探索を趣味としており、その際に見つけたとある扉を通じて「裏世界」の存在を知った。友達は少ないタイプで、裏世界で知り合った仁科鳥子に誘われ、探検と研究、お金稼ぎのために裏世界に行くようになる。特殊な家庭環境で育ったことからやや鬱屈しており、万事直截な鳥子に対して疎ましさと憧憬の綯い交ぜになった感情を抱く。
人の視覚を侵す「くねくね」との遭遇・接触を経て生還したものの、右目が鉱石のような瑠璃色に変異し、裏世界の怪異を視認、透視、看破できるようになってしまう。
いかれたピクニックの中で鳥子のことを好きになり、「冴月が見つからなきゃいいのに…」という思いに苛まれながらも、彼女の裏世界探索に付き合うことになる。主な武装は鳥子に渡されたマカロフ。
過去に母親が早くに亡くなってから、父親と祖母が怪しげなカルトにはまってしまった。そのために、家庭が崩壊してしまう。廃墟巡りは、入信させようとするカルト教団から逃れるために、潜り込んで寝泊りする事も兼ねていた。
幼少期は家の事もあり、学校生活も彼女にとっては良いものとは言えないものだった。
高校の時の体験から、「人をいじるのが得意な奴は嫌い」。また、カルトに追われた体験から、「自分が知らぬ間に、他者に自分の情報を握られ行動される事」も苦手。
また、猫が好きで、「猫の忍者」の怪異に襲われても、攻撃したり傷つけたりする事を避けようとしていた(理由は「猫かわいいから、撃ちたくない」)。
誕生日は5月5日。好きな食べ物は「アジの南蛮漬け」。
嫌いな食べ物は、「一晩おいてべっちゃりした揚げ物」。
好きな暇つぶしは「ゲームのプレイ動画の視聴」、ひそかな夢は「猫が飼いたい」。
彼女の名前『紙越空魚』は作者が20年前書いていた小説の登場人物から取られたもの。
鳥子というキャラクターはその時点では存在せず、裏世界ピクニックを書く際に空魚と対になるような名前として考えられた。
青い右目
ファイル1で、くねくねと遭遇した際。その様子を見続けた事で、右目が変異してしまう。
この目で目標を見る事で、裏世界の怪異を視認し、透視や看破が可能になる。
正確には、看破するというより、「一つの事象について、いくつもの様相を渡り歩くように『認識』している」と、空魚は自身で仮説を立てている。
この目を用いる事で、裏世界のグリッチを感知するのみならず、他者を見て認識する事で、その者を別の存在に変えたり、他者を狂気に近づけさせて怪異に対抗できるようにしたりと、様々な使い方ができる。更には、呪いや声といった、通常の視力では認識できないものすら、見る事が出来る。
赤い人
空魚の母親の死後、父親と祖母はカルトに入信。神棚と仏壇を捨て、奥羽山脈の田代峠に何度も通う様に。自宅は信者らの集会所となり、空魚の学校でも噂になるのみならず、空魚自身も入信させられそうになっていた。
下校時に誘拐されかけたり、寝泊まりしていた漫画喫茶へ放火もされ、行く当てもなく廃墟でキャンプしていたところ。『柔らかく赤い人』に抱きしめられている夢を見るように。それに心地良さを覚え、空魚は亡くなった母親を思い出していた。
その際に『あの人たち要らない?』と訊かれ、空魚は『要らない』と返答。
やがて、目が覚めた後。食料もお金も尽きたため、嫌々ながら自宅に戻り、灯油を用意して待っていた。
が、数日たっても誰も戻らず、警察から『山中で、窪地に溜まっていたガスにやられ、(祖母と父親を含む)信者らは全員死亡』と連絡が来る(この時に、死体は見せてもらえなかった)。
父と祖母がカルトに寄付したため、家に財産などは残って無かったが、この事件の後に奨学金で大学に進学。
奨学金を返せる当てもなく、悩んでいたところで鳥子と出会い、劇中に至る。
ちなみにこのような壮絶な過去を、本人は「よくある話」と思い込んでいるようで、「たいした話じゃないんで、聞き流して」と、聞かせた小桜に言っている。
(聞かされた小桜の方は、あまりの内容に呆然として、言葉も無かった)
なお、この「赤い人」は、後になって空魚の前に再び現れる。
余談
アニメ版での声優の花守氏は、基本的に明るい少女や少年の役に定評があり、声色もそれに見合った明るいものが多いが、この空魚はそれらとは正反対のややハスキーかつ暗めな印象の強い声色になっており、多くの視聴者を驚かせた。