高校のクラス全員で悪霊と戦った話させてくれ
あくりょうばーさすこうこうせい
概要
2016年にオカルト板にて建てられた、スレ主(以下俺)が語る恐怖体験談。
『俺』の通う高校のクラス36人が、突如として怪異に巻き込まれ、多くの犠牲者を出す大惨事へと発展していく。
この惨劇には、ある男子生徒が行った『儀式』が関係しており...。
なお、『クラス全員で戦った』と書いているが、実際は『俺』を含むクラスメイトが一方的にやられる話である。
あらすじ
話は『俺』が高校時代まで遡る。
田舎のごくごく普通の高校に通う『俺』はイジメもなくそれなりに仲のいいクラスで学園生活を送っていた。
しかしクラスの委員長が、無断欠席をした日から日常が一変する。
委員長は男子バレー部の副部長で、人望があって真面目な生徒なので、彼が連絡も無しに無断欠席する事はあり得ない事だった。
そこでクラスのリア充グループが呟く、「もしかしてあいつ呪われたんじゃね?」と。
話を聞くと、昨日の夜にこっくりさんみたいな儀式を友達数人でやったとの事で、そのメンバーの中に委員長も入っていたという話だ。
しかも委員長は、儀式の終わり際に体調を崩し、ひと足先に自宅へと帰ったという。
それで委員長は『呪われた』とクラス中で噂するも『俺』は笑いながら否定した。
だが翌朝、話は最悪の事態に発展する。
委員長は高校に登校する事なくそのまま亡くなってしまったのだ。
死因は自殺。その事実にクラス全員は嘆き悲しむも、『俺』とクラス全員は、委員長の死を受け入れいつも通りの日常を過ごそうと努める。
しかし悲劇は終わらなかった。
次の日、クラスメイト2名が橋から転落して亡くなった。
突如の事にクラスは騒然となるも、リア充グループの1人が叫ぶ「これは呪いだ!」「儀式はうまくいった!次はきっと俺なんだよ!」と。
続け様にクラスメイトの細木も叫ぶ「俺、見たんだよ!二人が橋から落ちる所を!」「二人が落ちたところに駆け寄って橋の下みたらさ女がいたんだよ!」と喚く細木。
細木の話に女子生徒は否定するも「浮いてたんだよ!橋のすぐ下に!女の幽霊が!」と細木が反論する。
あまりも非現実的な発言に担任は激怒し『俺』達、クラスメイトは強制的に自宅へと帰らされた。
そして翌日、細木が目撃した女は、委員長を亡くしたショックによる幻覚として片付けられた。
その日の放課後、クラスメイトの松坂と細木と一緒に教室に残り、これまでの事件の事を話し合っていた。
話の途中で『俺』はある違和感に気づく、あまりにも教室が静か過ぎる事に。
そう思って『俺』は教室を見渡すと、教室の真ん中にいつの間にか知らない女が立っていた。
その女は白い服に黒いスカートを履いており、両目が異常に離れていて、腕が異常に長かった。
不気味な女が出現した事で、3人はショックで固まって動く事すら出来なくなる。
女が一歩こっちに踏み出した瞬間、松坂の「逃げるぞ!!」の叫び声で、動ける様になった『俺』は全力でベランダに飛び出し、柵を乗り越えた。
しかし『俺』達が居た教室は三階だった。
『俺』は死を覚悟し、そのまま意識を失う。
次に『俺』が目覚めたのは5日後だった。
三階から飛び降りたものの、左手の指の骨折と背中の強い打撲だけで済み、命に別状はなかった。
その後、松坂から5日間の出来事を話す。
あの女が現れた後に、細木は自分の腕をありえないくらい口の中に突っ込んで窒息死した事。
『俺』のクラスの担任が精神を病み自ら命を絶った事を聞かされた。
松坂から語る残酷な現実に『俺』は、ただ号泣するしかなかった。
『俺』が退院した頃、リア充からクラスメイト全員に一斉メール送信が入ってくる。
そこには今回の事件の真相が語られていた。
あの日、委員長と一緒に行った『儀式』は神様を呼び出す降霊術だった事。
その呼び出した神様に代償を支払い願いを叶えてもらう儀式で、リア充は委員長の魂を代償に願いを叶えたというのだ。
リア充の願った願いは「退屈しない刺激的な学校生活」。
ふざけ半分でやった儀式は、本当に願いを成就してしまい、どういう訳か最悪の形で刺激的な学校生活となってしまったのだ。
リア充の軽率な行動に、クラスメイト全員から怒りを買い、全員がリア充を糾弾する。
しかしリア充を責めても、この怪異が収まる筈が無い。
1人のクラスメイトの「メールで話していても何も解決しない、一度全員で集まらないか」という発言で『俺』達クラスメイトは一旦、学校へと集まる事となった...。
主な登場人物
・俺
キョロ充チビの高校二年生で吹奏楽部。このスレの語り手でもある。
クラスではかなり地味な存在だった。
イジメこそなかったけれど周りに見下されてる感じはあった。
ある日を境に怪異に巻き込まれ、友人を失う所か自身も重症を負う羽目になる。
・細木
中学校からの友達で『俺』と同じ吹奏楽部。
ガリガリだけど身長は高い。
クラスメイトが死亡する瞬間に、悪霊を目撃した最初の人物。
突如として現れた悪霊の呪いにより、自死に追いやられ窒息死してしまう。
・松坂
高校で出会った親友で科学部の部長。この話のキーパーソンとなる人物。
顔が不細工だが、それ以外のスペックはなぜか総じて高い。
科学部の部長とであって幅広い知識で『俺』に助言を与える。
非常に冷静沈着で、始めは出現した悪霊に臆するも、すぐに職員室に駆け込み助けを呼ぶ等と行動力がある。
・委員長
『俺』のクラスメイトで、クラス委員長。
真面目な性格だが、彼が無断欠席した事で悲劇が始まる。
呪いの最初の犠牲者であり、リア充に(ふざけ半分だとはいえ)自身の魂を『儀式』の対価にされた事が惨劇の発端となる。
・リア充
『俺』のクラスメイトで、リア充グループのリーダー格。
今回の騒動の全ての元凶であり、ふざけ半分でやった『儀式』により、クラス全員が怪異に巻き込まれる事態に発展してしまう。
罪悪感からメールで事の真相をメールで明かすも、クラス全員から恨みを買う事になる。
本人の弁では『儀式』に願った「退屈しない刺激的な学校生活」というのは、明るい青春のイベントがいっぱいあって、毎日が楽しい生活を想像していた様で、ここまでの事態は想定外だったらしい。
・担任
『俺』のクラスの担任。
一貫してクラスに降り掛かる怪異や、細木やリア充の語る呪いには信用してなかった。
『俺』が昏睡状態になっている頃に、精神を病み自ら命を絶った。
恐らく呪いにより、自殺へと追い込まれたと思われる。
・メガネ女子
『俺』のクラスメイトで、普段静かで声が小さい眼鏡をかけた女子。
陰キャラで普段は目立たないが、終盤で意外な活躍をみせる。
・悪霊
リア充達が『儀式』で呼び出した女の悪霊。
クラスメイトと担任を死に追いやった元凶。
『儀式』の内容通りなら、この女は神様という事だが、そのおぞましい容姿から、とてもそうと思えない。
結末
翌日『俺』達は学校の会議室に集まっていた。
今降り掛かっている、この呪いを終わらせる案として「みんなで口裏を合わせてリア充を殺す」が真っ先に挙げられた。
確かに呼び出した元凶を断てば、呪いが消滅するかもしれない。
しかし「いくら口裏を合わせたところで、どこかで必ずボロは出る」と高いリスクを考慮して、この案は却下された。
その他にも「リア充を退学させる」「リア充に刺激を与え続ける」「除霊してくれる人を探して除霊してもらう」という案が挙げられる中で、松坂が意外な解決策を提示する。
「俺たちが見た女ってのは神様なんだろ?だったらもう一回女を呼び出して、退屈で平凡な学校生活をお願いすればいいんじゃないのか?」と。
松坂の提案に一同は唖然とする。
確かにみんなの挙げた提案は具体的だが、どれも決定的な解決策にはならない、ならもう一度『儀式』あの悪霊を呼び出して、リア充の『願い』をキャンセルしてもらう方が良いのでは?と松坂は述べる。
リスクは高いがやる価値はある松坂がそう説明する中で、事件の元凶であるリア充が遅れて会議室にやって来た。
リア充の顔を見るな否や、クラスメイトの何人かで殴る蹴るの暴行を受け、怨み節をぶつけられる。
しかしリア充は黙って受け入れ、クラスメイト全員に軽はずみで『儀式』を行いクラスを巻き込んだ事を涙ながらに土下座で謝罪した。
謝罪した所で『俺』達クラスメイトは、リア充を絶対に許す事はなかったが『俺』だけは、悪気のなかったリア充に同情すらしていた。
取り敢えずリア充を責めるのは辞めにし、松坂の案を前提に話を進める。
もう一度『儀式』をして願いを取り下げる、代わりに何を『代償』にするかを?。
真っ先にリア充が「俺の魂を払ってもいい」と提案するも、松坂にあっさり却下される。
仮にリア充の魂を代償にして平穏な生活が戻ったとしても、そこでリア充が死んでしまったら、それはもう平穏な生活とは言えないからだ。
そうなれば神は平穏な学校生活という約束を守れなかった事になる。
そうなった時に何が起こるかは見当もつかない、少なくとも今ここにいるクラスメイトは全員生き残った状態で卒業しなければならないとの事だ。
じゃあ何を『代償』にするか、松坂はとんでもない提案をする。
100年分の『寿命』をクラスみんなで割り勘して、『代償』を支払うそれが松坂の案だった。
この案に『俺』達はピンと来ない物の、松坂は話を続ける。
この場にいるクラスメイト31人で1人3年ずつ寿命を差し出す。
でもリア充が多く代償を払ったほうがみんな納得できるだろうから、リア充だけ差し出す寿命は10年。
30人で90年と、リア充で10年。俺たちの寿命合計100年を代償として払う。
寿命は魂に比べればランクが落ちるかもしれないが、キャンセル料としては十分なんじゃないかと松坂は言った。
これが成功すれば、ほぼ間違いなく卒業まではこれ以上犠牲を出さずに過ごせるだろう。
また、高校生の『俺』達にとって老後の3年なんて想像できなかったこともあり、クラスの全員がこの案に乗る事にした。