サパティニスタ民族解放軍
さぱてぃにすたみんぞくかいほうぐん
サパティニスタ民族解放軍とはメキシコで活動しているゲリラ組織である。
概要
メキシコ一の貧困州であるチアパス州。その地で1994年に武装蜂起したメキシコ先住民主体のゲリラ組織である。
組織の行動理念は先住民に対する構造的な差別の糾弾、農地改革修正など政府の新自由主義政策の反対、農民の生活向上、民主化の推進の要求である。
その背景として同年1月1日に発効された北米自由貿易協定(NAFTA)が原因である。その同日に武装蜂起した。
当然メキシコ軍は武力鎮圧し、チアパス州のインディオ居住区を中心に空爆を行なったため、サパティスタ側に150人近くの犠牲者が出た。これを受けてサパティスタ側は対話路線に転換し、結果的にそれが奏功して、以後メキシコ国内外から高い評価と支援を受けることになる。
組織のリーダーは元大学講師とされているマルコス副司令官だが、彼は自分はあくまでも代弁者であり本当の司令官は人民であると言っている。なお、彼は彼が先住民ではなく、メキシコの階級社会で上の方に位置する白人系の人物である。したがって補佐役にとどまる意味を込めた「副」司令官なのである。
評価
コロンビア革命軍のような暴力などで解決する左翼組織とは一変しており、マルコスの戦略は、チェ・ゲバラに象徴される「古き良き正義の左翼ゲリラ」のイメージを喚起しつつインターネットを通じた広報活動を展開したり、世界的な「反グローバリゼーション運動」の流れの中に自分たちを位置づけたりすることで、国際的な支援も集めることに成功した。
サパティスタのこうした特質は、メキシコや欧米のマスコミや活動家、政治家などの有識者から好感を持たれた。どこの国でも有識者の多くは「抑圧された貧しい人々が立ち上がらなければ、真の改革は成し遂げられない」と考える左翼的な傾向がある。