概要
東京駅を21時44分に出発し、上野、大宮、宇都宮、新白河、郡山、福島、白石蔵王に停車し、終点仙台駅に23時46分に到着する。
2022年福島県沖地震による脱線事故
やまびこ223号は、2022年3月16日に発生した福島県沖地震により脱線した。
営業運行中の新幹線が地震により脱線したのは、新潟県中越地震による上越新幹線・とき325号の事故(日本初の新幹線脱線事故)以来、国内では2例目である。
2004年の上越新幹線脱線事故では走行中に脱線したのにかかわらず、奇跡的に死傷者は0名であったが、本件では列車は完全に停止した状態だったにもかかわらず、強い揺れにより列車が浮き上がり、6名の負傷者が発生、「地震による脱線で初めて負傷者が出た新幹線の事故」となった。
事故の経過
2022年3月16日23時34分、M6.1の地震が福島県沖で発生し(前震)、走行中だった東北新幹線のやまびこ223号(H5系H2編成+E6系Z9編成)は、福島駅〜白石蔵王駅間で緊急停車した。
しかしその2分後(23時36分)、前震とほぼ同じ場所でM7.4の本震が発生、停車中のやまびこ223号は轟音と共に激しく揺れ、17両編成のうち16両の車両が脱線(車内の映像)。ほぼ全ての車両が脱線するという経験のないような脱線事故となった。また、一部車両はレールから約1mも横に逸脱した。
非常ブレーキを使用しての停車中だったのに関わらず、強い揺れにより、列車が1~4km/hで動き、ドアも一部で開閉した記録が残っていた。
事故による影響
この事故で6人の乗客が負傷。当時新幹線の車内にいた人は「新幹線がとんだ」「そのまま車両ごと落ちて死にそうだった」などと証言している。
地震で被災した東北新幹線は、鉄道施設の被害が約1,000ヶ所にもおよび、福島駅〜仙台駅間は約1ヶ月間にわたって不通となった。
脱線したやまびこ223号の車両は、現場での調査後にジャッキを使ってレールへ戻し、1両ずつモーターカーや別の新幹線車両に牽引され、仙台にある新幹線総合車両センターへ移動された。
調査の結果、車両に歪みが生じており、H5系H2編成は同年9月16日に、E6系Z9編成は翌年12月18日に全ての車両が事故廃車とされた。
なお、H5系6両(1~4、9、10号車)と、E6系3両(15~17号車)は解体されずに残され、訓練や社員研修などに活用されることになった。(他の車両は解体。)
事故の原因
事故から2年後の2024年3月28日、国の運輸安全委員会は事故の調査報告書を公表、激震で車輪が浮き上がり「ロッキング脱線」が発生した可能性を指摘した。
また報告書は、前震のおかげで本震発生時に新幹線が停止できていたことや、逸脱防止機能の多くが機能したことなどが、脱線に伴う被害の拡大防止に繋がったとした。