概要
長年ルパン三世を演じていた山田康雄の死去を受けて映画「くたばれ!ノストラダムス」では栗田貫一が代役としてルパン三世を演じた（そのため、同作のクレジット上は山田のままである）が、そのまま後任として「栗貫ルパン」として活躍していくことになり、その栗貫ルパン第一号のTVスペシャルが本作である。
TVスペシャルに珍しくルパンがワルサーを一回も撃たないことから肉弾戦が多い珍しい作品でもある。
また、アニメ第2シリーズから続いていた「東京ムービー新社」名義で製作された最後の作品でもある（その後「キョクイチ東京ムービー」を経て「トムス・エンタテインメント」となっている）。
2020年1月24日にはYouTubeの「TMSアニメ55周年公式チャンネル」にて本編の無料配信（21時からのプレミア配信→アーカイブ配信）が行われた。
あらすじ
第二次世界大戦中にマレー半島を拠点に暴れまわった大盗賊ハリマオは莫大な財宝を残して死んだとされ、その財宝の在り処は熊・鷹・猿の三体の像が揃ったとき、明かされるとされた。
そんなお宝を狙ったルパンはまず熊の像を盗み出す事に成功する。
その頃、不二子が忍び寄っていた007のモデルとされる元イギリス諜報部員にして貴族のアーチャー卿はユーロトンネルの爆発落盤事故によってロイド保険に70億ドル以上の負債を払わなければならない危機に直面していた。そして、彼がその返済の為に目を付けたのはルパンと同じく、ハリマオの財宝だった。
彼の孫娘にして考古学助教授のダイアナはルパンと鷹の像を盗みあうが、勝利し鷹の像を手に入れる。ルパンはそれを奪い返そうと追いかけまわすが、そこにカルト軍団ネオ・ヒムラーが像を狙って乱入し、ダイアナと像を強奪していってしまうが、ルパンがどちらも救い出す。
この一件からルパン一味はアーチャー卿と手を組むことになり、共に残された猿の像を探しに行く途中、アーチャー卿は大戦中にハリマオから直々に宝の秘密を聞いた事を語り始める。
果たして、ハリマオの財宝とは？そしてネオ・ヒムラーとの戦いの行方は・・・？
ゲストキャラ
声 - 岡本麻弥
本作のゲストヒロイン。詳細はリンク先を参照。
なお、ダイアナは『ルパン三世PART5』の「EPISODE IV（第21話から第24話）」内の第23話にも再登場（この時の配役も本作同様岡本氏が演じている）し、かつての恩を返すため、ルパン達によって引き上げられた黄金の潜水艦でオルグ島にルパンたちを送っている。また、沈んだ潜水艦もルパンが沈没先からサルベージし、自動車が収蔵できるスペースを設置して再登場を果たしている。
声 - 中村正
イギリス人の老紳士。
英国秘密諜報部に50年間在籍した経験があり、自らをジェームズ・ボンドのモデルと豪語している。英国紳士ではあるがドジでスケベジジイな一面もあるものの、肝は据わっており、老齢ながら格闘戦も得意な食わせ者。
ネオ・ヒムラーがユーロトンネルを破壊した事で、ロイド保険により70億ドルという莫大な借金を抱えてしまう。ハリマオの財宝を探し当てて借金返済に充てようと考え、ルパンと手を組み財宝の眠るニコバル諸島に乗り込む。
かつて第二次世界大戦に英国軍として参戦した際、日本軍のゼロ戦に撃墜されて墜落。意識不明になっていたところをハリマオに助けられる。その後はハリマオ盗賊団と親交を深め、熱病で死期を悟ったハリマオから3体の像と財宝の秘密を託される。
終盤でラッセルに撃たれ、事切れる寸前に財宝と共に沈むことを選び、ルパンに、「君とチェスがしたかった」と言い遺し、ルパンの「チェックメイト」の叫びを受け、財宝と運命を共にした。
声 - 鈴置洋孝 / 田中真弓（女装時。クレジット表記は「ネオナチリーダー」）
ロイド保険の顧問弁護士で、アーチャーとユーロトンネル事故の保険金の工面方法を協議するのだが、
その正体はカルト軍団「ネオ・ヒムラー」の総統「ヘルマン・フォン・ディート」であり、ユーロトンネルを爆破し、アーチャーから大金をせしめようと企む本作の黒幕。
総統として登場する際は女装をし（小型の変声機を用いて声も変えているが、終盤で不二子の策略により変声機が破壊され正体が露呈してしまう）、不二子に軽く手を触れられただけで身を硬直し、キスをされたら発狂するほどの同性愛者で異性嫌悪者。しかし、格闘戦においてはルパン・次元を圧倒する実力を持つ。
終盤でアーチャーを撃つが、それに怒ったルパンに叩きのめされた（作品上「結果的には発砲しなかった」とはいえ、ルパンの性格上「一歩間違えていれば射殺されていてもおかしくなかった」事を踏まえれば、鉄拳制裁で済んだだけマシではある）後にたまたまそこに居合わせた銭形に逮捕された（ICPOもラッセルを指名手配していたとはいえ、銭形は彼の逮捕時にうっかり「ルパン」と口走ってしまった）。
ゲーリング
声 - 天田益男
「ネオ・ヒムラー」の幹部で戦闘ヘリを操縦し、上空から部下たちに指示を出す。
格ゲーで言えば「ガイルとベガを足して2で割った」様な風貌で一度はルパンをのしイカにした程度の腕力はある。しかし、再度の襲撃時には「二度は失敗しないプロフェッショナル」のルパンに攻撃を次々と見切られて返り討ちに遭った挙句、終いには墜落したヘリの爆炎で火達磨にされる。
辛うじて生還するも、女装していたラッセルに舌を噛まれるなど過激な制裁を食らった。
その後、ルパン達を追ってタイのバンコクに向かうが、またしてもルパンに敗れてしまい、最終的には盗掘団に間違えられて軍に逮捕される。
声 - 楠大典
第二次世界大戦で猛威を振るった伝説的な義賊で、名前の由来はマレー語で虎を意味する（ハリマオ盗賊団の旗に虎が描かれるのはそのため）。劇中では顔は明確に描写されていない。
大戦当時、撃墜されて負傷していたアーチャーを助けて信頼関係を築き、熱病に冒されて死ぬ間際に財宝の隠し場所のヒントを三体の像に残し、その秘密をイギリス紳士として品格のある人物と認めたアーチャーに託した。
用語
ハリマオの財宝
第二次世界大戦中の盗賊ハリマオが隠したという莫大な財宝。
各国の軍や悪党などから略奪し集めた財宝は、推定時価800億ドルとされる。
その正体は純金製の潜水艦と、その船室に押し込められた大量の金銀財宝。ニコバル諸島の寺院の奥にある神の池に沈められており、手に入れるには鍵として熊・鷹・猿の3体のブロンズ像が必要。
熊の像・鷹の像・猿の像
ハリマオの財宝を手に入れる鍵となる3体のブロンズ像。
象られている熊・鷹・猿は、財宝が眠る寺院を守る近衛兵達を模っている。大事な事なので二度言うとクマとタカとサルであり、サツではない（冒頭ではパトカーの大群に追われていた事から次元が「クマ、タカ、サツだ!」と発言してしまい、ルパンにツッコミを入れられていた）。
死期を悟ったハリマオが当時の部下3人に1体ずつ託すが、古美術品としての価値が高い像だったこともあり、大戦終結後に世界中に離散した。
現在、熊の像はアラスカの美術館（冒頭でルパンが盗む）に、鷹の像はアムステルダムの古城「ミルネバ城」の隠し部屋（ダイアナが持ち去る）に、猿の像はタイの国宝寺院の最上階「悦楽の間」に、それぞれ安置されている。
ハリマオの財宝を狙う、世界14か国に支部を持つネオナチ系カルト軍団。組織の紋章は、鈎十字を足で掴んだ鳥。
ラッセルことヘルマン・フォン・ディートを総統とし、部下が総統に報告等をする際は片手を上げ「ハイル!ヘルマン・フォン・ディート!」と掛け声をするのが決まりになっている。
