概要
大容量の磁気ディスクの一種。ディスクがアルミやガラスといった硬い素材でできていることから「ハードディスク」と言われる。ほとんどの場合プラッタ(磁気ディスクメディア)と読み書きのためのヘッドが一体でケースに密封されており、ディスクメディア単体で入れ替えることができないことから、正確にはハードディスクドライブ(HDD)と言うべき装置である。このためNECなど旧来のメーカーは「固定ディスク」と呼ぶこともある。しかし過去にはJazなどディスクカートリッジを入れ替えできるリムーバブルハードディスクもあった。
記憶容量が大きい割に安価であり、アクセススピードもそこそこ速いので、1990年代〜2000年代のパソコンにはつきもののストレージであった。近年は、パソコンのOSなどを格納する起動ディスクとしてはフラッシュメモリを使用したSSDにお株を奪われた感はあるものの、USB接続の外付けストレージやDVD/Blu-rayレコーダー、ファイルサーバーや防犯カメラなど、大量のデータを保存する必要がある用途に多く使われている。
種別
※接続方式(インターフェース)についてはストレージを参照。
内部のプラッタの大きさにより、3.5インチ、2.5インチ等の種類がある。現在生産されているのはこの2種類のみだが、過去には5インチや8インチといった大きなもの、小型のものでは1.8インチ、1.3インチや1インチ(マイクロドライブ)、さらには携帯電話に内蔵できる0.85インチという非常に小型のものもあった。…が8インチや5インチといった大きなものは1990年代の技術革新による小型化で市場から消え(5インチが1990年代半ば頃)、小さいものは2000年代なかばからフラッシュメモリに取って代わられて市場からは消えた。
3.5インチと2.5インチがまだ広く使われているのは、価格対容量比と寿命が半導体メモリストレージでは代替できるような領域ではないからである。しかし、フラッシュメモリの低価格化・大容量化と信頼性の向上に伴い、2022年ごろから一般・サーバ向けのいずれもハードディスクドライブの市場規模は急激に狭まりつつあり、「2028年にはハードディスクの市場はもう残っていないだろう」とする観測もある。
余談
ハードディスクドライブは磁気によってデータを読み書きしているため、磁気バブルほどではないものの外部ノイズを嫌う。
以下のリンクはサン・マイクロシステムズ社員の実験によりディスクに異常が発生した例。
データセンターで大声を出してはいけません - Publickey