概要
炭素を含む物質の燃焼、生物の呼吸、微生物による嫌気性発酵、火山活動などで生じ、地球の大気中に400ppm(0.04%)強含まれる。また、植物の光合成では、二酸化炭素を還元して固定することができる(二酸化炭素固定)。
物性
融点 | -56.6[℃](0.52MPa) |
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沸点 | −78.5[℃](常圧下では昇華) |
常温・常圧では気体(ガス)であり、固体はドライアイスと呼ばれる。常圧では液体にならない。
塩基性あるいは求核性を持つ物質を除き反応性は持たない。
また、アルカリ金属など一部の物質の燃焼を除き助燃性を持たないため、消火器用ガスとしても用いられる。ちなみに二酸化炭素消火器は本体の半分を緑色に、高圧の二酸化炭素の入ったボンベは全体を緑色に塗ることが義務付けられている。
水に溶け炭酸を生じるため、炭酸ガスとも呼ばれる。高温下では、酸素と一酸化炭素に可逆的に分解する。また、水素とは同じく高温下で一酸化炭素と水に可逆的に分解するが、触媒が存在するといった条件下ではメタンやメタノールに変化する。
人体への作用
二酸化炭素は、低濃度では毒性は持たないが、空気中の濃度が1000ppm(0.1%)を超えるくらいから人間の知的能力は低下を始めるとされ、仕事などの生産性に影響を及ぼす恐れがある。
3000ppmを超えると注意力散漫になりやすく、一部の人は眠気や不快感を覚えることがある。5000ppmを超えるあたりから明らかに空気がよどんだ感じとなり心拍数の増加や血圧上昇などがみられ、集中を必要とする作業や長時間の作業は困難となる。一部の人は頭痛・めまいを覚える。10000ppm(濃度1%)を超えると不快感が強く作業は著しく困難となり、過呼吸に陥ることもある。濃度3~4%に達すると長時間の呼吸は危険で、10%以上では1分以内に意識を失う。この状態が長く続くと麻酔作用により呼吸中枢が抑制され呼吸が停止し死にいたる(二酸化炭素中毒)。
締め切った部屋などで石油ファンヒーターなどをつけているとものの2~3分で1000ppmに達し、つけっぱなしにした状態では3000~6000ppmに達していることもある。よってを石油ストーブ(排気を屋外に排出するFF式などを除く)をつけている部屋では、換気扇を回しっぱなしにするなどの換気が欠かせない。暖房しながら屋内の空気を清浄に保つためには、エアコンと加湿器の併用の方がより望ましい。ストーブをつけていない部屋でも、換気が悪いと人間の呼吸で1000ppmを超えることがある。
また、自動車の運転中は二酸化炭素濃度の上昇は眠気につながるため、(トンネル内など外気環境が悪い場合を除き)常にカーエアコンの外気導入を働かせていた方がよい。
用途
- ドライアイス(冷却用)
- 炭酸水・炭酸飲料
- 重曹・ベーキングパウダー(加熱により生じる二酸化炭素で膨らませる)
- コーヒーからカフェインを取り除く(超臨界状態(31.1℃、7.4MPa超)の二酸化炭素を使う)
- ガスレーザー
- イチゴや水草など光合成生物の成長促進
- 炭酸ガスアーク溶接(溶接時に二酸化炭素を吹き付けて、空気を遮断する)
温室効果
二酸化炭素は地上からの熱が宇宙へと拡散することを防ぐ温室効果ガスとしてはたらき、地球温暖化の主な原因である(他の温室効果ガスであるメタンやフロン、六フッ化硫黄などに比べ温室効果は少ないものの、排出量が莫大であるため)。
かつては大気中に占める二酸化炭素の割合は0.03%(300ppm)未満だったが、化石燃料の使用をはじめとする人間活動により継続的に増加し続けており、2013年には0.04%(400ppm)を突破した(NASA)。
また、二酸化炭素そのものの海水中への溶存量が増えることによって海水が酸性化し、生態系に悪影響を与える海洋酸性化も懸念されている。