声:入絵加奈子
演:高橋メアリージュン(実写映画版)、怜美うらら(ミュージカル版)
概要
志々雄真実の部下で通称"夜伽"の由美。凄い異名である。
しかし、立ち位置的に志々雄真実の部下であると同時に愛人だから仕方がない。
それと新京都編だと皆さんが心待ちにしていたであろう描写もある。
性格は姉御肌で肝が据わっており、沢下条張からは「由美姐さん」と呼ばれている。
志々雄とは相思相愛の仲で、彼を心の底から愛し、誠心誠意尽くす。
志々雄の側に控える女という立場から十本刀の本条鎌足からライバル視されているのだが、由美自身は志々雄の為に戦えない自分を歯痒く思っている。
かつては吉原一の花魁(今風に言うと高級娼婦)なのであったのだが、マリア・ルーズ号事件で自分達の尊厳を踏みにじった明治政府を憎んでいる(後述)。
十本刀と合わせて紹介されたため勘違いされる事が多いが、彼女は十本刀ではなく、戦闘員でもない。
作者によると元々は名前が無く、大物の悪党が侍らせる美女という志々雄のオプションに過ぎなかったが、後にキャラクターに昇格させたとのこと。
作者の和月氏によれば執筆中に『ヴァンパイアハンター』のモリガンを目にしたのが原因で、ありえないほど胸と肩を出した衣装になったらしい。この当時、由美のコスプレをするコスプレイヤーがいたそうだが、相当衣装に工夫をこらさないと肩と胸の露出の原作再現が難しいものになっていたらしい。そういうコスプレ衣装の話を聞いた際はデザインに失敗したと思ったとか。また、ボディラインの描き方次第では色香よりも下品になってしまう事もあり和月は当時は苦心した事を窺わせる事をコミックスで由美の解説で語っていた。
ちなみに「由美」の名前の由来は女優の由美かおる。
また、彼女の最期に関しては「由美当人にとってすれば志々雄についていく事が幸せであって、決して死そのものが幸せではない事に剣心は気付かなかった」との事。
余談だが、新京都編のキャラデザだと顔よりでかいほどの爆乳。
外伝にて
ジャンプSQ2014年8月号・10月号に掲載された外伝「炎を統べる」で、志々雄との出会いが描かれた。
かつて商家の娘であった由美は、御用盗(幕末に続出した、『攘夷・勤王の為』という大義名分を振りかざし、活動資金を得るために商家を襲った強盗)に両親兄弟、使用人にいたるまで皆殺しにされて身寄りがなくなり吉原に売られてしまった。そこで「華焔」の名で吉原一の花魁として評判となっていたところ、彼女の店『赤猫楼』に投宿した志々雄達と出会う。
刀を預けることを了承しない彼らを挑発したり、変な格好相手にはこれで丁度いいと本人の前で言うなどお客に対する対応とは思えない態度で接する。
彼女の身請け金は4人分とあるが、妹分の遊女・華火と、2人の禿のあかりとかがりの分も含まれており、自分と共に地獄の遊郭から抜ける、それまで共に生きようという決意の表れでもあった。
ある日、軍属の引原海鮫兵団によって華火が殺され、あかりとかがりが攫われてしまい志々雄に助けを求めるが「お前達が弱いから悪い」と断られる。覚悟を決めた由美は強さを売ってほしい、報酬は「自分の命を好きな時に好きな様に奪ってよい。死んだら地獄行きに着いて行ってあげる」と詰め寄る。その度胸を気に入った志々雄は、初めて集結した十本刀と共に引原海鮫兵団をあっさり殲滅した。
その過程でかつて自分の一家を殺したのが志々雄だと気づくが、既に彼の『弱肉強食思想』に共鳴しており、返り討ちにされることも理解していたためか復讐心が湧かなかった。けれど苦界に身を落とす事になった始末をつけるよう身請け金(現在のお金に換算するとざっくり3億)を志々雄に請求する。(この額には自分の分は含まれておらず、いわば無料で志々雄に身売りした事になる。)その後、寺に大金を渡してあかりとかがりの世話と華火の供養を依頼。志々雄と共に国盗りに旅立つのだった。
余談
彼女の台詞に、「(剣心達のしぶとさは)G並ですわ!」というものがあるが、アニメ版ではゴールデンタイムでの放送ということもあり、「並大抵ではありませんわ!」に変更されている。
アニメ版で先行してカラーになった際、彼女の口紅の色が緑色であった事はファンから物議を醸したが、
これは笹紅(または小町紅)という塗り重ねると緑色(玉虫色)に輝く紅花100%の当時最高級の口紅であり、歴史的にも正しい描写である。
(ちなみに現在でも買えるが、一つ1万円以上ととても高い。)
後に原作においても逆輸入されている。
(後発では分かりやすさを重視するためか普通の紅色であるが、笹紅も塗り重ねなければちゃんと紅色になるので、その日の気分と解釈する事もできるだろう。)