概要
主に君主や貴族、聖職者が身に着ける。特に王が被るものは王冠と呼ばれる。
冠婚葬祭の“冠”は元服時の加冠(烏帽子着用を許可する)を表し、現代的には成人式の意味合いで用いられる。
また、月桂冠のように栄誉をあらわすもの、結婚式で被るティアラのような儀礼用のものもある。
日本の近世以前における「冠」とは、天皇や公家が公務中に被っていた下記のような被り物を指す。いわゆる烏帽子は宮中参内には用いられず、参内では必ずこのような冠を用いたらしい。ちなみに天皇はいつも宮中にいるため日常でも冠を被っている必要があり、退位して上皇となってようやく烏帽子をかぶったという。冠はいくつかの部品を組み合わせてできている。頭に被る部分は「甲」(または「額」)、上に伸びている部分は「巾子」、後ろにたれている部分を「纓」という。髪は髻に結って巾子に収め、簪を挿して冠を髪に固定していた。
- 「烏帽子親」…力のある公家や武家の子弟が元服する際、朝廷やその地域を治める実力者が「烏帽子親」となって「花冠の儀」を執り行うことがある。たとえば、徳川家康の場合、当時、主君であった今川義元が烏帽子親となって「花冠の儀」を執り行い、「義元」の「元」の字を与えて「松平元信(後に元康)」と名乗らせ、後に養女(築山殿)を娶らせている。これは元服した者にとっては主君(実力者)が「後ろ盾」となることを意味し、「烏帽子親」となった者にとっては恩寵を与えることによってみずからの手駒となる者を増やすことを意味した。
関連タグ
→「王冠」も参照