概要
ざっくばらんに言えば政治的・思想的な宣伝行為。情報の発信元がはっきりしているものと、虚偽や誇張を含んだものがある。しかし、情報の発信元が正しいからと言って市民にとって有益なものとは限らない。情報元が正しくてもさほど重要視することのないメリットを声高に叫ぶケースと、本来発信すべきデメリットを隠蔽するケースがあるからである。
たとえば太平洋戦争において旧日本軍は敗戦続きの戦果を「大本営発表」と称して「わが軍は敵・米英艦隊に多大な損害を与えたり」と虚偽を発表するとともに、物量に劣る自国の現状を糊塗するために「欲しがりません、勝つまでは」などと宣伝して国威を発揚し、結果として日本だけでなく周辺諸国に多大な犠牲を強いる結果となった。
また、ナチス・ドイツにおいてもゲッペルスという人物が、民衆にナチスの功績を宣伝する宣伝相という役職についている。
芸術性を持ったプロパガンダ作品も数多く作られているが、同時にピカソやマティスの作品はナチスに「退廃芸術」の烙印を押されて迫害され、見せしめのための博覧会も開かれている。また、ほかにナチスの主導によって作られたレニ・リーフェンシュタール監督のベルリンオリンピック記録映画「オリンピア」は皮肉にも芸術的に評価が高く、後世に数多く作られることとなったオリンピック記念映画の手本となっている。
このほかにも太平洋戦争時には日米共に報道機関は国威発揚に利用され、大勢の漫画家や作家、映画監督も国策に協力している。
現在においても、宣伝は政党や政治家の政策・人格を表すのに欠かせない。
たとえばアメリカ大統領選挙の際には政党や政治団体は候補者のPRCMや広告を流す一方、対立候補を擁する政党や政治団体もPRCMやインターネットを通じて相手候補の人格や政治資金集めを攻撃するなどネガティブ・キャンペーンをくり広げている。近代国家では大衆の支持を得る必要があるため、あらゆる国や社会で宣伝が行われている。