概要
零戦とは、正式には零式艦上戦闘機(れいしきかんじょうせんとうき)のことで、大日本帝国海軍の主力艦上戦闘機。
支那事変(日中戦争)の半ばから大東亜戦争の終戦まで、主力戦闘機として前線で運用された。
大戦初期、長大な航続距離、重武装、優れた格闘性能により、連合国の戦闘機に対し圧倒的な勝利を収めたことから、当時の連合国パイロットから「ゼロファイター」の名で恐れられた。
しかし、自動操縦装置や充分な航法装置のない零戦の長航続距離に頼った日本軍の戦術は、搭乗員に多大な負担を強いるものでもあり(作戦空域に到達した時点で長距離飛行を強いられた搭乗員はかなり疲労しており、空戦では不利な条件となる。さらに空戦で生き残ってもまた遠方の空母や航空基地までたどりつかなければならないのである。長時間の操縦で疲れて注意力を落としたところを敵機に襲われて死亡する搭乗員も多かった)、大戦中期以降、日本側のベテラン搭乗員の損失が目立つようになっていく。
日本海軍は後継機の開発がうまくいかず、大戦後期まで零戦を主力とせざるをえなかったが、連合国側新鋭機の大量投入によりその戦闘力の優位は失われ、大戦末期には多くの日本機と同様、特別攻撃機としても使用された。
開発元は三菱重工業。中島飛行機でもライセンス生産され、総生産数の半数以上は中島製。
アメリカ陸軍のムスタングP-51、ドイツ空軍のメッサーシュミットBf109、イギリス空軍のスピットファイアなどとともに、第二次世界大戦期の代表的な戦闘機として知られている。