概要
首都 | ロンドン |
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面積 | 24万2495平方キロメートル |
人口 | 6702万6292人(2021年6月) |
通貨 | スターリング・ポンド |
公用語 | 英語 |
国家元首(職) | 国王 |
政体 | 議院内閣制 立憲君主国 |
グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(グレートブリテンおよびきたアイルランドれんごうおうこく、英語:United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland、略称:Britain、U.K.、日本での通称:イギリス、英国)は、ヨーロッパ西部に位置する立憲君主国。
イギリスはユニオンジャックと言われる国旗を有しており、イングランド・スコットランド・北アイルランドの旗を合わせたものである。ウェールズの旗については国旗が作成された時点で既にイングランドの一部と言う扱いだった為、ここには含まれていない。
イギリスは国際連合安全保障理事会常任理事国の1国で、G7・G20に参加する先進国にして、経済協力開発機構・北大西洋条約機構・欧州評議会・世界貿易機関の加盟国である。核拡散防止条約によって核兵器の保有を承認された公式核保有国の1国であり、1952年10月に核実験を成功させて世界で3番目の核保有国となった。1815年6月にウィーン体制が成立すると、それ以来世界で最も影響力のある国を指す列強の1国に数えられている。
イギリスは名目GDP世界第6位・購買力平価世界第10位と、どちらも世界10位以内に位置する強大な経済力を有する。世界的な経済力を有する国にして、ヨーロッパにおける「ビッグ4」の1国で、人間開発指数が高い先進国と見なされている。
イギリスは民主主義・立憲君主制・議院内閣制など近代的な国の基本的な諸制度の発祥国でもあり、ピューリタン革命・名誉革命・産業革命など、様々な歴史的事象の舞台であった。シェイクスピア、ダーウィン、ニュートン、クック、ファラデー、フレミングと言った科学者・芸術家の故国で、現代においてもザ・ビートルズなどを輩出した国である。ビジネス・政治において国際共通語化が進んでいる英語は、イングランドの発祥である。
歴史
政治
政体は議院内閣制の立憲君主国であり、貴族院(上院)と庶民院(下院)の両院制による議会民主制政治を取っている。世襲貴族と功績による一代貴族からなる貴族院はほぼ形式的な存在であり、議会の実権は普通選挙で選出される庶民院に集中する。議会は多党制を取っており、主に保守党と労働党の2大政党が交互に政権を取り合っている。
イギリスの民主主義は君主と議会の闘争から誕生しており、1642年1月にチャールズ1世が5人の庶民院議員を逮捕して以来君主は庶民院を訪問していない。ちなみに君主は毎年貴族院を訪問するが、庶民院は独立を示す為に君主の目の前で議場の扉を閉める。
日本・アメリカのような他の法律より優越して改正が制限された硬性憲法は持たず、司法が違憲審査権で議会の立法を制限する事も無い。必要とあれば議会はあらゆる法律を改正してイギリスの制度を一変させる強大な権限があり、これを議会主権という。ただし歴史的に維持されている法律としてマグナ・カルタや権利の章典などがあり、これに実質法律と見なされる様々な慣習(慣習法)を加えてイギリスでは憲法と呼ぶ。
国王は形式的には行政権を首相(連合王国首相)と内閣の代行を通じて行使しているが、慣習法の一部として実質的な政治権力を行使しない慣例になっている。実質的な行政権の最高責任者である首相は議会の多数党の党首を国王が任命し、常に議会の信任を受ける責任を負う。内閣は首相によって組織される。
政党
貴族院
庶民院
- 保守党
- 労働党
- 自由民主党
- 民主統一党
- スコットランド国民党
- シン・フェイン
- プライド・カムリ
- 社会民主労働党
- 同盟党
- 緑の党
- リスペクト
- 無所属
王室について
イギリス王室は王朝が何度も交替している事から確たる建国の起源は定まっておらず、建国記念日は決めていない。ギネス記録によれば君主国としての歴史は日本・デンマークに次いで古く、その歴史は世界第3位の約980年である。現在の王室はウィンザー朝であるが、2022年9月に女王エリザベス2世が崩御し、チャールズ皇太子が即位してチャールズ3世となることで、家名としては正式にはマウントバッテン=ウィンザー家となる予定である。
地理
地理・地域・地名の詳細はイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの各記事を参照して欲しい。
グレートブリテン島とその周辺の島々からなり、北部のスコットランドは南部のローランドと北部のハイランドに大別される。ローランドにはスコットランド首都のエディンバラ、工業都市グラスゴーといった大都市があり、農業も比較的盛んな一方でハイランドは荒野や荒れ地が多く、18世紀に至るまで王権ですら統率しきれない部族・領主が跋扈していた。ネッシーで有名なネス湖があるのもハイランドである。
島の南部を占めるイングランドはウェールズ・スコットランドに比べると起伏が少なく低地が多い。国内を南北に分ける場合はハンバー川・トレント川(北海が切れ込んでいるような場所)を境とすることが多い(例:ヨーク大主教管区とカンタベリー大主教管区)。北部で良く知られている地域名として、羊毛・毛織物・石炭の大産地であるヨークシャーと、綿糸工業の中心地であったランカシャーという産業革命を牽引した2地域が挙げられる。工業都市のリバプールやマンチェスターはランカシャーに位置する。また、ピーターラビットで有名な湖水地方は、スコットランドとの境界にほど近い。
中部は古くは「マーシア」(辺境)と呼ばれたように、森が多い人口の少ない地域であった。ウェールズとの国境にほど近い工業都市バーミンガムなど、比較的近代になって発展した町も多い。ただし古くからランカシャーへ向かう街道沿いなどは開けていた。
南部は首都のロンドンを擁する大都市地域である。古くは「オランダに行く方が早い」とも言われたノーフォーク(イースト・アングリア)や、島で最高位の主教座たるカンタベリーをようするケントなど、大陸との窓口となってきた地域であった。一方でエセックスをへてコーンウォールに向かうにつれて景色は長閑になり、アーサー王伝説にゆかりの深い土地も増えていく。
西部のウェールズ(カムリ)は山がちなケルト系の文化を擁する地域である。イングランドとのつながりも深い首府カーディフのある南部と、やや辺鄙な北部に大別される。
北アイルランドはベルファストの街を中心としたアイルランド島北部の地域である。アイルランドの地域区分ではアルスターと呼ばれる地域の過半を占める。海峡を挟んでスコットランドとのつながりも深い地域である。
イングランド・ウェールズ・スコットランド・北アイルランドの4つの地域から成り立っているイギリスだが、内実は中央集権の国であり、政治的・経済的にも首都であるロンドンへの1極集中が甚だしい。
国際関係
1946年1月の第1回国際連合安全保障理事会以来同理事会常任理事国であり、その他に2020年2月に1973年1月以来長らく加盟していたヨーロッパ連合から正式に離脱を決定した。イギリス帝国時代に比べて影響力は低下したものの、今なおイギリス連邦の盟主として強力な外交力を持つ。一方で同じ英語圏のアメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドと共にファイブ・アイズの枠組みを形成し、機密情報を交換している。
アメリカ合衆国
1785年6月に外交関係を樹立し、親密な同盟関係にある。両国は軍事研究・諜報機関の他に文化的にも類似性を共有しており、同じNATO加盟国で大規模な軍部隊をイギリス国内の基地に駐留させている。近年はイギリスの首相とアメリカの大統領は親密な友人関係にある事がしばしばであり、歴史的事情からアメリカとイギリスの関係は特別な関係である。
日本
1854年10月に外交関係を樹立し、この時に日英約定が締結された。1907年7月に綿糸企業のコーツが日本に進出するなど深い経済関係を有し、その一方で1902年1月に日英同盟を締結して1923年8月まで存続させた。第2次世界大戦では日本と敵対関係に発展したが、戦後早い段階で関係を改善して同じ議院内閣制の立憲君主国として、今日まで強固な両国関係を保持している。
フランス
ブルボン王朝時代から対立しており、1815年6月にワーテルローの戦いが勃発した。1940年6月にシャルル・ド・ゴール率いる自由フランス政府がロンドンに亡命し、フランス国民にレジスタンスを呼び掛けた。フランスではイギリスへの敵対感情が強く、ドイツに与してイギリスに味方する勢力もあった。このように国家規模が近く、どちらも強烈な文化的アイデンティティを持つという事もあって歴史的にライバル意識が強いが、嫌い合ってる訳では無い。
中華人民共和国
1950年1月に外交関係を樹立し、冷戦時代には対立していた。両国には1840年6月のアヘン戦争・1856年6月の第2次アヘン戦争・1947年3月の冷戦での対立・香港の地位・その他の問題を原因として歴史的に複雑な様相を呈する一面もあるが、その他の場面では友好関係にある。
軍事
1707年5月にグレートブリテン連合王国の軍隊として、イングランド軍とスコットランド軍の合併によってイギリス軍が発足した。組織としては「陛下の軍隊」という立場である為、「王立軍」となっている。公式核保有国でもあるが、核ミサイルは潜水艦搭載のものだけで、スコットランドの海軍基地にある。イギリス海兵隊「SAS」の最強伝説は有名である。軍事に関してはやたらと伝統にこだわったり、アレな兵器を開発した歴史があまりにも多い事から英国面などとネタにされる事も多いが、実は今でも世界屈指の軍備を備えており、現在でも国連軍を組織する際はアメリカに伍して中心的な役割を果たす事が多い。
社会
1968年10月以来北アイルランドの独立運動で度々内戦・テロが発生していたが、2005年7月にIRA側から終戦宣言が出された為、現在に至るまで大きな紛争は発生していない。
文化的には多くの文学の名作・近年はポピュラーミュージックやロックバンドで世界的人気のアーティストを多々輩出している。食文化ではお菓子・お茶の評判が高い反面、料理のマズさは昔からジョークにされる程有名。世界中から観光客・留学生・労働者・移民を受け入れている為、人種的に多様な国へと変容している。ただしこれは主にロンドンのような大都市の話であって、田舎の方は保守性が保たれている。
日本人が耳にする「イギリス」という国名は、戦国時代に伝来したポルトガル語の「イングレス」・「イングレッシュ」を語源としており、江戸時代にはオランダ語由来の「エゲレス」も広く使用された。江戸末期~大正期に漢字を当てはめて「英吉利(えいぎりす)」と表記されるようになり、現代に馴染みのある「イギリス(英国)」の呼称となった。
EU離脱
1973年1月以来ヨーロッパ連合の筆頭加盟国でありながら、ユーロでは無くそれよりも価値の高いポンドを使い続け、人の移動の自由を保障するシェンゲン協定にも署名しないなど、ヨーロッパ連合内で独自路線を進んでいた。2008年9月に発生したリーマンショックの影響で不況が波及し、ヨーロッパ連合での負担・規制・移民・失業者・労働者などの問題に不満が高まった。さらに中東難民の急増とテロの脅威から、先述の通りブレグジット論が高まって投票が実施され、賛成多数を得て離脱が決定した。
スコットランドでは独立論が再燃し、さらに北アイスランドも離脱してアイルランド共和国への統合論、ウェールズやロンドンでも独立論が起こった。イギリス国内では離脱支持派の方針と計画性が不透明な点から官民双方で混乱が広がり、投票やり直しの声も高まっていたが、COVID-19の世界的流行によってこうした動きは下火になり、北アイルランドの国境問題といった課題を残しながらも正式にEUからの離脱を完了した。
人口
2021年6月の推計では6702万6292人であった。
経済
ヨーロッパではドイツに次いでフランスとほぼ同規模の経済力を有する国であり、現在1人当たりのGDPは日本・フランスと同じ水準である。世界トップクラスとは言い難いが、十分に富裕国と言える。
19世紀まで「世界の工場」として比類無き繁栄を享受したが、度重なる戦争による経済的疲弊・人件費の上昇に伴う製造業の国外流出で1960年代から1970年代にかけて大不況に見舞われ、「英国病」・「欧州の病人」とまで蔑まれた。しかしヨーロッパ連合加盟以降外資系企業の積極的誘致・金融業の発達・外国人労働者の受け入れ・北海油田の開発などの努力によって経済が立ち直り、再び強大な経済力を有する国になった。イギリス経済はロンドンの金融業と商業に依存している部分が強く、ロンドンと地方の経済格差が大きな問題になっている。
イギリス出身の人物
王族
リチャード1世(イングランド王) … 日本では獅子心王の名で知られる。
メアリー・ステュアート(スコットランド王国の女王)
エリザベス2世(ウィンザー朝4代イギリス女王。歴代最長の在位期間)
ダイアナ妃(イギリスの元王族)
政治家
ロバート・ウォルポール … 初代首相
ウィンストン・チャーチル … 第二次世界大戦当時の首相
マーガレット・サッチャー … イギリス初の女性首相
トニー・ブレア … イラク戦争時の首相
ゴードン・ブラウン … 先々代首相
デーヴィッド・キャメロン … 前首相
テリーザ・メイ … 歴代2人目の女性首相
軍人
ロバート・スコット … 南極圏発見を僅差で逃してしまった探検家として有名
フランシス・ドレイク…海賊にして海軍提督
文化人
ウィリアム・シェイクスピア … 劇作家、詩人
チャールズ・チャップリン … 映画俳優・監督、コメディアン
アーサー・コナン・ドイル … 作家
ビートルズ(ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スター) … ロックバンド
ローリング・ストーンズ … ロックバンド
デヴィッド・ボウイ … 歌手、俳優
チャールズ・コボーン … 歌手、コメディアン
その他
ナイチンゲール:看護師、統計学者
スポーツ選手
デビッド・ベッカム … サッカー選手
イギリス発祥の作品
音楽
文学
映画
テレビ番組
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- イギリスで制作された作品や、同国を舞台とする他国の作品の二次創作。
- 「Axis Powers ヘタリア」の擬人化キャラクター → アーサー・カークランドのページを参照。
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