概要
インド・ヨーロッパ語族のゲルマン語派西ゲルマン語群に属する言語。漢字での略称は「蘭語」。
オランダ本国とその属領、ベルギー北部(ベルギーではオランダ語の事を「フラマン語」と呼んでいる)、スリナムなどで話されている他、南アフリカでもこのオランダ語から派生したアフリカーンス語という言語が話されている。
同じ西ゲルマン語群に属する英語やドイツ語とは似ている点が多く、おおむね両者の中間くらいの言語と言える。
ドイツ語の北部方言とは国境を超えて互いの方言が連続的に変化しており、明確な境界を引くことが難しい。これは、ヨーロッパの言語ではさほど珍しい現象ではなく、イタリア語とスペイン語もフランス語の南部方言(オック語)を介して連続的に変化しており、明確な境界を引くことができないことで有名。
この矛盾を解決するために、言語学者の間ではオランダ語そのものをドイツ語の方言である低地ドイツ語の一種とみなすという肉体言語的な力技の分類がしばしば行われており、Wikipediaの記述もこの見解に従っている。
日本語との関係
オランダはヨーロッパで唯一江戸時代を通して日本と交易関係にあった国である。そのためこの時期、西洋の学問は基本的にオランダ語の書物などを介して日本にもたらされている(そのためこれらは開国まで「蘭学」、すなわちオランダの学問と呼ばれていた)。一例として、杉田玄白が執筆した解剖学書『解体新書』の底本となった、ドイツの医学書"Anatomische Tabellen"のオランダ語訳版(通称:『ターヘル・アナトミア』)がある。
そのため、江戸時代を通じて多数の外来語がオランダ語から日本語へと流入している。中には一見すると外来語と分からないほどに完全に日本語に定着したものもある。以下にその一例を挙げる。
単語 | 元のオランダ語 | 備考 |
---|---|---|
アルカリ | alkari | |
お転婆 | ontembaar | |
オルゴール | orgel | |
ガラス | glas | 本来の発音は「フラス」が近い |
缶 | kan | 保存用金属容器としての意味で |
コック | kok | |
コーヒー | koffie | |
ゴム | gom | |
ドイツ | Duits, Duitsland | ドイツ語のDeutschlandに直接由来するという説もある |
ビール | bier | |
ピント | brandpunt | 原義は「焦点」 |
ブリキ | blik | |
ベルギー | België | 本来の発音は「ベルヒエ」が近い |
ポン酢 | pons | 本来は蒸留酒・レモン汁・砂糖・水および紅茶またはスパイスを混ぜて作るカクテルの名前(フルーツポンチも参照のこと) |
モルモット | marmot | |
ランドセル | ransel | |
リウマチ | rheumatisch | 日本語ではリューマチとも表す。 |
レッテル | letter | 原義は「手紙」 |