概要
『金田一少年の事件簿』File:6。単行本では6~7巻に収録。
長野県軽井沢を舞台に、映画「十三日の金曜日」を思わせる殺人鬼ジェイソンの戦慄の殺人劇を描いた物語。Fileシリーズの中でもトップクラスの凄惨な描写が目立つ。
リゾート会員権の投資など、掲載された90年代初頭の世相が反映された舞台設定となっているが、それ故にスマホ社会となった現在では一発でばれるトリックが仕込まれていることも有名。
レギュラーキャラであるいつき陽介の初登場エピソード。
原作では秋口が舞台となっているが、アニメでは第4~6話と極めて早い段階でアニメ化されたため、春の話になっている。ドラマ版では「悲恋湖殺人事件」のタイトルで第1シーズンの第2話として放送。
あらすじ
美雪から悲恋湖バスツアーに呼ばれた一は、童貞卒業という野望を秘め、フケることになった本来の招待客・橘川茂の名を騙り美雪のペアとしてこれに参加。しかしすぐに主催者の観月観光にバレてしまい、特例ということで悲恋湖に足を踏み入れる。
女子高生に逆ナンされたり、腹黒いブン屋に嗅ぎ廻られたり、美雪が前生徒会長・遠野と親しくしたりと一はてんてこ舞いするもそれなりにツアーを満喫していたが、その夜突如として和やかな雰囲気は一変する。夜のラジオ放送で、死刑囚・刀丸猛人_通称「殺人鬼ジェイソン」_が近隣の独房から脱走したという一報が流されたのだ。
そして翌朝、一同の不安は的中した。朝食会場のすぐ近くの木の上で、ジェイソンに襲われ顔を潰された遺体が発見されたのである…。
登場人物
観月観光
- 九条章太郎:ツアーコンダクターの青年。眼鏡が似合う美形の男性。
- 遠野英治:不動高校3年。美雪の前の生徒会長。ハンサムで女子生徒からの人気も高い。実は観月観光の親会社の社長の子息で、今回のツアーには親の差し金で無料参加していた。
招待客
- 橘川茂:22歳、大学生。たまたま用事があってツアーをフケることになったため、従妹である美雪にチケットを渡した。彼の名前を騙って一が旅行に同行する。なお、ドラマ版では話を簡単にするため、不動高校の生徒ということになり、美雪との血縁は無くなっている。
- いつき陽介:フリーのルポライター。ヘビースモーカーで露悪的な所がある。好奇心がやたら強い。ロリコン疑惑がある。
- 香山三郎:不動産会社の社長。白髪のおっさん。スケベ。
- 香山聖子:三郎の妻でだいぶ年下。少しケバい。夫の好色振りにイヤケが差しているらしい。
- 河西さゆり:17歳。一が気に入っている。ロリコンいつきの毒牙にかかる(?)。ドラマでは登場せず。
- 倉田壮一:20歳の大学生。軽薄。ドラマでは登場せず。
- 甲田征作:医者。過去に犯した罪を償うため、無医村で治療活動に専念している紳士。
- 小林星二:怪しい画家。もともとは画伯として知られていたが、ある時を境に死体しか描けなくなった。手先が器用。
悲恋湖伝説
長野県に伝わる古い伝説。
かつて愛し合うも決して結ばれなかった男女同士が身を投げ、散って行ったとされる。
その二人の血を吸った悲恋湖は、二人が身を投げたその時刻に、まるで焼けるように赤く輝くのだ。
怪人「ジェイソン」
かつて銀幕を賑わせた怪物…ではなく、その姿に魅入られた哀れな男。
本名は刀丸猛人といい、極度の対人恐怖症だったため学校にも行けず就職も出来ず、家に引きこもっては映画を一日中見ている内気な男だった。映画の中の俳優たちに憧れるあまり整形を繰り返していたが、過剰な整形により顔は崩れ、いつしか自らを映画の中の怪物と思い込むようになり、ジェイソンに扮し一夜で13人を殺し警察に捕まった。
勿論情状酌量の余地は一切なく裁判で死刑が確定したのだが、ニュースで脱走したとの報が入る。
凶器は鉈で、自らの醜い顔へのコンプレックスなのか、相手の顔を執拗に攻撃し完全に潰さないと気が済まない残虐無比な怪人(ドラマやアニメでは流石にそこまでひどくはない)。
余談
小説版第2巻「幽霊客船殺人事件」において、この事件の真犯人が凶行に及ぶきっかけとなった「ある悲劇」の真相が語られている。ちなみにその悲劇の当人も、本作の事件の「法則」に該当しているのだが、これは多分偶然。
関連項目
秘宝島殺人事件 → 悲恋湖伝説殺人事件 → 異人館ホテル殺人事件