この懸賞は東北地方のお米(岩手県産ひとめぼれ)10kgを3名にプレゼントするものであったが、なぜか画面上に映し出されたダミー用テロップには当選者として「怪しいお米・セシウムさん」が2人・「汚染されたお米・セシウムさん」と表示されていた(本来なら「怪しいお米」・「汚染されたお米」の部分には住所が、「セシウムさん」の部分には当選者名を入れる)。
東海テレビは直後に謝罪を行ったが、福島第一原発事故によって放出された放射性セシウムが東北・関東にまで広がっており、農作物および人体への影響、そして風評被害が懸念される中で、このような「プレゼントのお米までもが汚染しているともとられかねない」不謹慎すぎるおふざけに、岩手県やJAが東海テレビに対して抗議した。
2011年8月11日に東海テレビは「ぴーかんテレビ」の打ち切りを正式に決定、30日に検証と謝罪を兼ねた特別番組を放送し、テロップ制作担当の50代スタッフがダミー用テロップに悪ふざけで書いたものであることを認めた。当然ながら、テロップ制作担当スタッフは一連の騒動の責任を取る形で2011年8月28日所属していたCG制作会社を懲戒解雇された(なお、このスタッフは以前から東海テレビの番組制作の作業で様々なトラブルを抱えており、近く別の部署への異動を控えていた矢先での出来事だったとされている。他にも番組のスタッフ数名や東海テレビの役員が同様に本件の責任および制作者への監督不行き届きを問われ、減俸・降格などの厳正な処分を受けた(詳細は、東海テレビが一般向けに公開した騒動に関する報告書と、この騒動後に放映された検証ドキュメンタリー番組を参照))。また東海テレビからはスポンサーの撤退(※)も相次ぎ、社長自ら岩手県に出向き謝罪行脚を行った。
こうして、地方局における一瞬での放送事故は、日本全国のテレビ局や番組制作会社スタッフたちのモラルの在り方が大きく問われる事態にまで発展した。
なお、上のイラストは問題シーンが放送されたときに映っていた東海テレビのマスコット、「わんだほ」であるが、外見が米粒っぽい為に東海テレビの放送エリア外の視聴者にセシウムさん呼ばわりされる事態となった。彼もまた風評被害の犠牲になったのだ。
(※)他の東海テレビのローカル番組のみならず、昼ドラなど東海テレビ発のフジテレビ系全国ネット番組でもスポンサー降板やCM自粛、果てはサザエさん(スポンサーにJAバンクが名を連ねている)などのフジテレビからのネット受け番組でもCMを拒否されACや番宣スポットへの差し替えを余儀なくされる始末だった。
放送までの時系列
年は2011年。
- 8月3日12時
- 翌日の「岩手県産ひとめぼれ」の当選発表方法をスタジオにある大型テレビで発表することがスタッフ会議で決定。
- 8月3日14時30分
- アシスタントディレクター2名がテロップ制作ルームへ。翌日の「岩手県産ひとめぼれ」の当選発表方法変更を伝え、テロップ制作スタッフにそのテロップ作成を依頼。テロップには本来仮の名前を入れるが、この時テロップ制作スタッフは不適切な文言を記入したテロップを作成。
- 8月3日19時
- 女性の外部スタッフ2人(1人は新人タイムキーパー、もう1人はアシスタントプロデューサー)がテロップ制作ルームへ。2人は不適切なテロップを初めて目の当たりにし、APはテロップ制作スタッフに修正するよう依頼するが、テロップ制作スタッフは修正依頼と認識せず。本来ならTKはテロップをプリントし、プロデューサーやディレクターに確認を求めるべきだが、この日TKはこの不適切なテロップをプリントせず、報告もしなかった。
- 8月4日8時20分
- APが、不適切なテロップが修正されていないのに気づき、テロップ制作スタッフに再度修正依頼するも、テロップ制作スタッフは聞き入れず。この時はリハーサルが始まっており、APは他の仕事に追われ、修正依頼やディレクターへの報告ができず、テロップは結局修正されなかった。
- 8月4日9時55分
- 『ぴーかんテレビ』生放送スタート。木曜の内容は2部構成で、1部は社会情報中心、2部は『別冊!ぴーかん』として通販や営業パブリシティ中心。岩手県産ひとめぼれのプレゼント告知が1部冒頭(9時55分)、当選者発表が2部終了直前(11時23分)を予定していた。
- 8月4日11時
- 『別冊!ぴーかん』放送スタート。アナウンサーの挨拶から通販コーナーの紹介、そして事前収録のVTRに入る。この時間を使って次のコーナーのリハーサルと段取りの確認をしていた。スタジオからの希望でスタジオの大型テレビにテロップを映すことに。TKはテロップが修正されていないことを知りながら、スタジオの大型テレビにだけ映そうとしたところ、操作を誤った。
- 8月4日11時03分35秒
関連イラスト
これは元素擬人化によるセシウムの擬人化であり、今回の騒動とは関係ない。
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