曖昧さ回避
概要
本名:クレタス・キャサディ。'90年代版アニメ等では「クリータス・キャシディ」と、転写ぶれしているが同じスペルの名前である。
スパイダーマン、ヴェノムに次ぐ、いわば『第3のスパイダーマン』。ヴェノムに劣らない人気のあるヴィランである。好敵手、ダークヒーロー的立ち位置にあるベノムと異なって、シンビオートの力を持って積極的に殺戮に走る『完全な悪のスパイダーマン』である。
グリーンゴブリンがスパイダーマン最大の宿敵、ヴェノムがスパイダーマン最大のライバルであるのに対し、カーネイジはスパイダーマン最大の天敵と言える程の危険な存在。
宿主のキャサディ自身が凶悪なサイコキラーであり、殺人事件を重ねて刑務所に投獄されていた所を、同房であったエディ・ブロックがヴェノムに変身して脱獄した場面に遭遇、彼に寄生しているエイリアンであるシンビオートの一部の寄生を受け、カーネイジが誕生する事になった。
人物
ただ愉しむためだけに人を殺す生粋のサイコキラー。目的意識が薄く、気の向くままに殺戮を繰り返す。
これから殺す相手をからかったり、自分が両親から虐待されていた可哀想な子供だったんだとうそぶいたり(事実かは不明)、どこか飄々として掴みどころがない。
自身を歩く不可能存在だと言い、ルールや論理に縛られたり、他人に理解を示される事を嫌う。
シュリークという女性ヴィランをパートナーとしていた時期があり、彼女のことは大分気に入っていたようで、シュリークを傷つけたデッドプールには復讐しようとしていた。
共生しているシンビオート自体も意思を持ち、キャサディとシンビオートは互いを最適な相棒だと感じており、キャサディはシンビオートを「二人で一つ、一心同体」だと断言し、シンビオートは引き離されてもは寄生を繰り返して再びキャサディの体へ戻ろうとする。
カーネイジの台詞は赤い枠に白い字で表現される。
戦闘能力
殺人鬼だけあって、宿主の攻撃性や凶悪性を増幅させるシンビオートとの相性は恐ろしく抜群であり、単体での戦闘力はスパイダーマンはおろかヴェノムすらも凌ぐ。正義のヒーローであるスパイダーマンはもちろん、自分なりの美学と良心を持ち合わせているヴェノムと比べても、凶暴性と狡猾さにおいて大きく上回っている。
シンビオートとの融合は、細胞レベルにまで至っている等、ヴェノム以上に深刻化しており、一人称が「オレ(I'm)」になっている等、文字通り完全な共生関係にある。
また、彼らにはない新たな能力も手に入れている。たとえば、発射する糸がより強靭になっており、身体の一部を斧や槍、鞭等の武器に変形させて攻撃することが出来る。更には身体の一部を飛ばし寄生させた対象の人間をコントロールする事も可能であり、これらの能力を使ってカーネイジが事件を起こす度に文字通り「大虐殺」が展開され、尋常ならざる数の犠牲者が出てしまう(少なくとも100人は軽く超えている)。
ただし、シンビオートから生まれたスパイダーマンに共通する弱点である熱と高周波は彼にもまた有効であるが、その凶暴さからも簡単に倒せないという事実に変わりはない。
活躍
初登場時にはスパイダーマンを圧倒し、彼とヴェノムとヒューマントーチが協力したことでようやく倒された。ヴェノムがスパイダーマンに協力するのはこれが始めてであった(ヴェノムはカーネイジの誕生に関して責任を感じており、彼を倒すためなら、憎むべき敵であるはずのスパイダーマンとの同盟結成も惜しまないようになった)。
しかし、以後幾度となく脱獄しては殺戮を行い、その度にスパイダーマンたちが制圧するという堂々巡りが現在まで続いている。現時点では、スパイダーマンがひとりで彼を制圧できたことはない。ヒーローの力を持ってしても投獄がやっとな一方、宿主となったキャサディの異常なまでの殺人・破壊衝動の影響によって、シンビオートの殺戮への執念としぶとさが異常なまでに強くなってしまったのである。仮にキャサディと引き離されたとしても、カーネイジのシンビオートはすぐさま他の人間達に寄生する行動に出ており、寄生された事があるのは、ベン・ライリー、JJJ、シルヴァー・サーファーとかなりの数である。それでもカーネイジのシンビオートは、やはりキャサディをもっとも宿主として好んでいる。
セントリーによって一度は宇宙で倒されたかに思われたが、キャサディ・シンビオート共に仮死状態で生きており、後に高性能な義手製作にて、カーネイジのシンビオートが利用された際に暴走、下半身をサイボーグ化する形で生き延びていたキャサディと再度融合し、完全復活を果たす事になった。
これ以降は飛行能力や小型カーネイジの分身といった次々と厄介な新能力を身に付けており、より手強い存在となっている。
こうして彼は、現在もスパイダーマンたちにとってもっとも厄介なヴィランとして活躍し続けている。スパイダーマンのゲーム版では、ほとんどラスボスとして扱われることが多く、ドクターオクトパスといった他の強力なヴィランにシンビオートが寄生する展開もあった。
DCコミックとのクロスオーバーにて、バットマンの宿敵ジョーカーと共演した。
この作品では「ジョーカーを狂人として尊敬している」という設定で、彼を助けたのだがカーネイジとジョーカーでは同じ狂人でも狂気の方向性が違ったらしく、すぐに仲違いした(カーネイジがジョーカーの狂気に参ってしまった)。
バットマンには「単なるチンピラ」と言われたが、バットマンのトラウマである『両親を撃ち殺したチンピラ』を思い起こさせた。
テレビアニメ『アルティメットスパイダーマン』での活躍
2012年から放送されている『アルティメットスパイダーマン』では、シンビオートが「スパイダーマン本人から抽出した組織をグリーンゴブリンがDNAを改変して作り上げた寄生生物」という設定もあり少々ややこしいことになっている。
初めてカーネイジという名前のヴィランが登場したのはシーズン2で、この時はスパイダーマンがグリーンゴブリンによって強制的にシンビオートへ寄生させた結果変異したもので、ピーターの意志はなく、ただ獣のように叫んで暴れまわる存在だった。(その後、シンビオートはハリーによってはがされた)
シーズン4に登場した個体は、ヒドラの科学者マイケル・モービウスが自らの身体へ蝙蝠由来のなにかを注入された仕返しとして、ドクター・オクトパスへDNAをさらに改変したシンビオートを寄生させた結果オクトパスから分離する形で誕生したものである。
日本語版担当者はハリーやアイアンフィストの声を当てた倉富亮で、しわがれた甲高い声でしゃべることが特徴。
世界を混乱に陥れることしか考えておらず、スパイダーマンとエージェントベノムを苦戦させた。
また、衝撃波によって肉体が四散したことを逆手に取り、周囲の一般人に寄生して仲間を増やしてしまう(なお、「中の人」がいないのは前述通りだが、この時寄生された一般人の中にはキャサディを連想させる赤毛の男がいた)。
シーズン4は地上波でも放送されたため、カーネイジの蛮行が多くの視聴者の心にトラウマを植え付け、一時はツイッターのトレンド入りした。
実写映画での活躍
2018年に公開されたスパイダーマン・ユニバース第1作目『ヴェノム』にて、「レッド」の愛称でキャサディが遂に登場。
演じた俳優はウディ・ハレルソン、吹替は内田直哉が担当した。
連続殺人の容疑でサン・クエンティン州立刑務所に厳重に収監されていたが、FBIの取り調べにも一切応じようとしなかった。だが終盤、ライオットを倒しフリーのジャーナリストとして再出発したエディ・ブロックに独占インタビューを依頼する。そこで彼に
「ここを出たらカーネイジ(大虐殺)になる」
と不吉な発言を残し、物語は幕を閉じる。
本作でのヴィランはライオットでありカーネイジへの変身はなかったものの、その登場はファンを大いに歓喜させた。更に本作は大ヒットにより2020年以降に続編の製作が決定、ハレルソン氏の続投も明かされ、メインヴィランとしてヴェノムとの対決が期待されている。