サーベルとは西洋刀剣の一種。斬ることに特化して作られた刀剣で、その扱いやすさから軍人の携行武器として長く使われることになる。
そこから"軍刀"という異称も持つ(後述)。
サーベルと言う呼び方はオランダ語で、綴りはsabel。国により発音だけでなく綴りも違う。英語圏ではセイバー(綴りはsabre、もしくはsaber)と呼ぶ。
概要
ものによっては直刀であることもあるが、ほとんどは反りの入った片刃の刀剣である。拳を保護するガードが付いており、片手で扱うことを基本とする。
独特の扱いが必要とされるレイピアと違い、扱いやすく素人でも高い威力を発揮できるため、銃が普及してからも歩兵や騎馬兵の格闘武器として重宝され、第二次世界大戦まで使用された。
なお、基本的には騎馬での使用が前提となっている。
誕生
14世紀前後に、西アジアの民族から度重なる侵攻を受けていた東ヨーロッパで、ショーテルやシャムシールといった鋭い切れ味を持つ刀剣を参考にして開発された。この頃は十字軍の遠征によって西アジア文化がヨーロッパに広まった時期でもあり、湾曲刀の優秀な威力に驚嘆した騎士たちによって開発が進んだという。
サーベル=軍刀
その後16~17世紀に入って近代的な軍隊が組織されていくにつれ、サーベルも単なる武器ではなく、階級章や勲章としての意味合いを持つようになり、さまざまな意味合いで軍隊の象徴となっていく。
ゆえに軍刀とも呼ばれる。
日本でも明治維新以降、西洋列強国に並ぶべく軍隊を構成した際にそれまでの日本刀から、刀身の防腐処理や柄の素材や工法を変えて各所をマイナーチェンジしたものへと変更されている。
現在でも自衛隊の儀礼や式典の一部で、サーベルが用いられている。
創作におけるサーベル
創作においては一般的な刀剣の代表格として扱われるパターンがほとんどである。
RPGなどでは、初期装備よりやや強い程度の立ち位置にあり、序盤ではそこそこ強力な武器として役に立ってくれる。
また機動戦士ガンダムなどSFロボット作品ではビームサーベルなど、接近戦における主力武器としての立ち位置を確保していることが多い。
なお、ビームサーベルがあえて「サーベル」の名を冠している理由は今のところ明らかではない(「スターウォーズ」のライトセーバーからか)。『ビームソード』の名の同種武器を持つモビルスーツも存在する。
またメイン画像のように、高位の人物が持つケースも多い。これは本来サーベルが地位の高い騎兵の装備であったことに由来する。
フェンシングにおけるサーベル
フルーレ・エペと並ぶ3つ目の競技種目として存在する。他種目と異なり、「切り」でもポイントとなる。
なお、フェンシングにおいては「サーブル」と表記するのが慣例である。