「進化退化光線銃を直すか!!?」
概要
CV:泉谷しげる
本名は「ネコジャラ左ヱ門之丞景虎(さえもんのじょうかげとら)」。ワンニャン国一の富豪である「ネコジャラ一族」の当主。
人物
外見は祖先であるズブによく似ている。ワンニャン国の標準武器である雷撃剣を用いて戦う。愚鈍そうな見かけに反して相当な手練れであり、ハチを歯牙にもかけず、ドラえもんのひみつ道具「名刀電光丸」に対しても電池切れに追い込むまで戦い続けた猛者。
先祖代々語り継がれる「闇の黙示録」なる書物を所持しており、そこにはまだ野良猫だった頃の先祖の人間に対する強い憎しみが綴られている。
表向きには次期大統領候補ともいわれる実力者だが、裏では人間に虐げられてきた先祖の恨みを晴らすため、未来の人間世界征服をたくらんでいた。さらに、計画を実行するためには、自分の一族以外の者がどうなっても知った事ではないという考えの持ち主である。
さらにはイチ(ハチ)たちの両親を拉致し、人間社会を支配するためにタイムマシンを開発させていた。
のび太達がタイムマシンを開発している工場にたまたま入り込んだ際、部下であるニャーゴがドラえもんを気絶させ、ドラえもん[磔にして「闇の黙示録」を先祖のズブが書いた事、そして先祖がどんなに酷いことをされてきたかというのが書かれているか、そして未来の世界の人間をペット化して奴隷にする事を語った。
「どうする?機械ネコ」
協力を拒むドラえもんに対して、巨大モニターが映し出される。そこにはロープで縛られ、歯を食いしばり汗と涙で滲む艶かしい表情で喘ぎ苦しむ変わり果てた姿のシャミーが線路の上に横たわっていた。
ネコジャラはジェットコースターの線路にシャミーを縛り付けて人質にするというあまりにも凄惨な方法を取り(2つの鋼鉄のレール上に頭と首、そして脚が乗せられ車輪に引き潰される位置にあるなど、まるで断頭台の様な状態)、「進化退化放射線源」(進化退化光線銃)を直せとドラえもんを脅迫した(メイン画像)。
その後ドラえもんが取引に応じたことでシャミーを解放したが、実はシャミーもネコジャラ一族であり、先程の場面は彼女の演技(とはいえ、それでも演技と呼ぶには明らかに汗だくで震えていたりと本気で怯えていた様子だった)。シャミーに真偽を問うおうとするドラえもんを気絶させタイムマシン「時の箱舟」に閉じ込めてしまう。時の箱舟で未来へ逃走を企むものの、のび太とハチが時の箱舟にロコロコ号で突撃したハチと交戦する。
ハチを一方的に圧倒するが、突如突入してきたドラえもんと名刀電光丸に阻まれる。それでもなお名刀電光丸のバッテリーが切れるまで戦い続けドラえもんに勝利しかけるが、自分に反発して彼を庇ったシャミーを攻撃したことでドラえもんの逆鱗に触れ、ドラえもんの猛攻と石頭を食らって敗北
…したかに見えた。
「人間共めぇ!!今こそ恨みをぉおおお!!!」
その後、ノラジウム製のび太像を運ぶハチ達をメカに乗り邪魔しようと襲い掛かる。
怒りのあまり我を忘れ狂乱した状態で一行を苦しめるものの、のび太、イチ、そしてドラえもんの連係プレーによる「ビッグライト」で巨大化したけん玉で攻撃され今度こそ敗北、「闇の黙示録」も燃えてしまい一族の野望は完全に潰えることとなった。
その後は、部下のニャーゴと共に逮捕され、脱出するための宇宙船で雑用をされていた。
評価
映画ドラえもんの敵は私利私欲でエゴに満ちている悪役が多い中(恐竜ハンターやシャーマン一味、ガルタイド鉱業、鉄人兵団、ギガゾンビ、怪魚族など)、ネコジャラの目的は「人間に捨てられいじめられた先祖の恨みを晴らすため」という、比較的珍しいものとなっている。
あくまでそこに至るまでの手段が断罪されるべきもの(脱出用に蓄えられていたノラジウムを部下に強奪させ、上記の通り多くの国民を見捨て自分の一族のみで未来の地球へ行こうとした事)であっただけで、復讐を誓ったこと自体は至極真っ当であり、ある意味先祖同様の被害者と言っていいだろう。このことから、彼が単なる悪役として成敗されて終わる本作の脚本に不満や疑問を持つファンは公開当時から多い(主人公であるドラえもんが彼の怒りに全く理解を示しさず同情すらもしなかった部分も大きい)。
また、大魔境の犬たちと違って、彼らの科学力は少なくとも現代の地球よりは上であり、人間のペット化に固執しなければ人間世界の征服自体は難しくなかったと思われる。
余談
演じた泉谷は、奇遇にもかつて『平成狸合戦ぽんぽこ』にて、ネコジャラ同様人間に敵意と復讐心(こちらは住んでいた森を開発で更地にされたことが原因)を持つ狸の権太を演じており、同作にはイチ(ハチ)の声を演じた林原めぐみも出演している。
元々の脚本には先祖のズブ共に彼の救済(フォロー)パートが存在するはずだったが、指定されている尺をオーバーしてしまうためやむなく削除したという制作裏話がある。