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F1jpの編集履歴

2022-12-12 21:22:56 バージョン

F1jp

えふわんじぇーぴー

F1jpとは、主に日本でF1を視聴する人々がSNS(特にTwitter)上でつぶやくための専用ハッシュタグである。この記事ではF1における日本勢の活躍について記載する。

主な日本勢の戦績

ホンダトヨタがチーム/エンジンメーカーとして、ヤマハ発動機SUBARUがエンジンメーカーとして参戦した経歴があり、トヨタとヤマハは最高2位、ホンダはチームとして3回のレース優勝の実績がある。またホンダはエンジンメーカーとして、供給したコンストラクターのエンジンとして6連覇。ドライバーズタイトルを獲得したエンジンとしては5連覇を含む計6回を獲得する結果を残している。

自動車メーカー以外のチューナー・コンストラクターとしては、事実上のホンダ有志による活動となった無限が有名である(4勝)。


日本人ドライバーとしては鈴木亜久里佐藤琢磨小林可夢偉の3位が最高記録である。その次には中嶋悟角田裕毅の4位、片山右京の5位が並ぶが、優勝とポールポジションはまだ無い。また、高木虎之介や山本左近、井出有治といった日本のカテゴリーで活躍したドライバーも参戦したが、目立った成績は残せなかった。しかし、中嶋悟は日本人最初のフルタイムF1ドライバーとして日本人がドライバーとなる道を切り拓いたほか、雨天のレースに滅法強かったことから「雨のナカジマ」の異名を取っていた。また、角田は日本人初のデビュー戦入賞を果たし、片山右京はその速さから「1995年の注目ドライバーはウキョウ・カタヤマだ」と、かのアラン・プロストに言わしめるなど、光る活躍を見せたドライバーもいる。


タイヤメーカーではブリヂストンが参入し、フェラーリ×ミハエル・シューマッハとの組み合わせで黄金時代を経験。1999~2000年と2007〜2010年はワンメイク供給も担った。


21世紀のF1動向

チーム関連(00年台)

バブル崩壊後の2000年に、ホンダは初参戦から数えて第3期のF1活動を開始。2000年から2005年のワークス供給を経て、2006年にそのチームを買収しワークスチームへ切り替えて参戦。2008年にサブプライムローン問題に端を発する世界金融危機(リーマン・ショック)を理由に撤退するまで8年間活動した。

なおホンダはこの時自社チームを解散させず、コンストラクター所有権をある人物へ手放した…のだが、このチームは後々巡りめぐって、復帰したホンダの最大のライバルとして立ちはだかることとなる(後述)。

2002年にはトヨタも初参戦するが、ホンダと同じ理由で2009年に撤退。トヨタのF1参戦はこの期間が最初で最後となっている。

また、2006年から2008年までは鈴木亜久里が立ち上げた、ホンダエンジンを積み日本人ドライバーの佐藤琢磨・山本左近らを擁する「純日本製チーム」である「スーパーアグリF1チーム」が参戦していた。資金難から型落ちのマシンを改造した車両で参戦せざるを得ず苦しい戦いだったが、それでも佐藤琢磨がしばしばトップチームを脅かす快走を見せ、日本は疎か世界の度肝を抜いた。しかし健闘むなしく、慢性的な資金難が深刻化し、2008年シーズン途中で止む無く撤退となった。


ドライバー関連

佐藤琢磨はスーパーアグリ撤退後、レッドブルの姉妹チームであるスクーデリア・トロ・ロッソとの交渉に臨む。2008年シーズン終了後の2日間に渡ってトロ・ロッソのテストでステアリングを握り、初日、2日目の午前といずれも全体のトップタイムをマークするなどしたものの、結局レギュラードライバーに選ばれることは無かった。琢磨はこの後インディに転向し、45歳となった現在でも活躍している。


トヨタ撤退直前に才能を示した小林可夢偉が、日本人で初めて持ち込み金無しでF1チーム(ザウバー)に加入。「オーバーテイク・キング」の異名を取った可夢偉は、日本メーカー無きF1で孤軍奮闘。しばしばシューマッハ、アロンソ、ライコネン、ハミルトン、バトン、ベッテルらチャンピオン経験者たちとも互角に渡り合う活躍を見せ、日本人ファンは疎か世界中を沸かせた。

しかし持ち込み金不足やチームメイトに勝る点も含め、特筆する成績を残せなかったことからシートを喪失。1年かけてクラウドファンディングやスポンサー活動で資金を得て2014年にケータハムから参戦するが、すでにオーナーのやる気のないこのチームで最下位争いに甘んじた。シーズン終了後にチームは解散し、以降可夢偉はF1に戻ることはなかった。


可夢偉の後を追って松下信治がF1直下のGP2(FIA F2)へ参戦。数回の優勝を飾るものの、スポンサー不足もありあと一歩届かず帰国。その後も伊沢拓也、佐藤公哉、牧野任祐、福住仁嶺といった日本人の若手ドライバーがF2に挑戦したものの、満足な結果は得られなかった。


2018年には山本尚貴がSUPER GTとスーパーフォーミュラのダブルタイトルを獲得し、F1参戦に必要なスーパーライセンス発給条件を満たした。国内では山本のF1参戦を熱望する声が多数上がり、山本自身もF1挑戦に強い意欲を示し、翌年の日本グランプリで、トロ・ロッソ・ホンダから金曜の一回目のフリー走行に出走した。

しかし、これまで国内のレースをメインにしていた山本には海外レースでの経験や実績が不足しており、加えて当時31歳という年齢もネックとなり、F1シート獲得には至らなかった。


また、その前年には石浦宏明がスーパーライセンス発給条件を満たしたものの、山本以上に高齢だったことや(当時36歳で、34歳でデビューした中嶋悟より上)、F1から撤退していたトヨタドライバーでホンダのとのコネクションが無かったこと、持ち込み資金が乏しかったことなどから、実現には至らなかった。


2021年からはスクーデリア・アルファタウリ(前述のトロ・ロッソがリブランドされたチーム)に7年ぶりの日本人F1ドライバー・角田裕毅が参戦している。ホンダF1が活動終了(後述)した2022年も引き続きアルファタウリのドライバーを務めている。


第4期ホンダF1

可夢偉と入れ替わる形で、ホンダは第4期活動として、かつての実績も含め、2015年よりマクラーレンとタッグを組み、パワーユニットサプライヤーとしてF1に復帰。当初は異例の長期契約と報じられていたが、後年に明かされた内容によれば、2017年までマクラーレンへ供給する義務と2018年以降は契約の延長ができるオプションの権利があるというものであり、実は2018年以降の契約は未定であった。そのため、契約上では双方が合意すれば2017年で両者違約金もなく契約を終了することも可能であり、この契約終了の手段があったことが思わぬ展開を生むこととなった。


2015年、ホンダは正式に復帰したものの、この年のマクラーレン側の車体設計とホンダのパワーユニットの設計の両方に無理があり、フェルナンド・アロンソ、ジェンソン・バトンというタイトル経験者二人をもってしても最下位に近い成績しか残すことが出来なかった。一応、擁護するなら、この年は双方準備期間になることは避けられないと考えていたうえ、この年のルールの影響でPUの開発も難航するなど、外部からの期待値は高かったものの、専門家から見れば、苦戦は避けられないと思われていた。


その反省を生かした2016年は成績こそ向上したものの、タイトルを争うどころかレースでの優勝争いからも遠かった。そのため、2017年、ホンダはエンジンの戦闘力向上のため新設計のエンジンを投入。だが、新開発のエンジンは初期不良も含めたトラブルが頻発し、マクラーレン側の車体設計も当時は言及されていなかったが、この年の設計も上手くいったとは言えず、負の相乗効果とも言うべき状況に陥った。この時期にチームに在籍していたフェルナンド・アロンソが、2015年シーズンの際、あまりの戦闘力の無さに「GP2エンジン!」という罵声を無線で発したことは語り草となっている(この言葉と同時に、シャシーに対しても「GP2シャシー!」とも発言しているが、あまり知られていない。この背景は「GP2エンジン!」の方だけメディアに切り取られ、その言葉だけ独り歩きした影響も大きい。他にもマクラーレンは政治的判断で自分たちの設計に欠陥がある事を公にならないようにするため、その発言だけ問題視することで他の問題に気付かれないようにしたかった点、ホンダはPUの性能に対し負い目があったため、必要以上に反論しなかったこともある。このように火種を作ってしまったアロンソだったが、後年ホンダMDに対し「絶対チャンピオンを取れ」と激励するなど、ある程度関係は修復された模様)。


そして、この状況に業を煮やしたマクラーレンは、延長の権利を行使せず、2017年を以てホンダとの契約を終了する思惑がうごめいていた。ホンダのほうは2018年以降はザウバーにもPUを供給する契約がまとまった。表向きは課題はあるものの、マクラーレンとの契約が終了しても、ザウバーへの供給を行う形でF1参戦を継続するのだろうと思われていた。


Red Bull Hondaの挑戦

2010年から2013年までの間、ルノーとのエンジン供給契約を結んでいたレッドブル・レーシングはF1界を席巻していたが、2014年以降、ルノーエンジン(この年からパワーユニットという呼称(略称PU)になった)の戦闘力不足をきっかけに関係が段階的に悪化しており、新たに戦えるエンジンを求めていた。

姉妹チームのトロ・ロッソも含めた両チームは2016年もルノーとの契約期間が残っていたのものの、しびれを切らしてその契約の破棄を宣言。だが、フェラーリはライバルチームということもあり拒否。メルセデスの方は新たなチームに供給するだけの余力はあったものの、レッドブルに供給することで自チームの優位性を相対的に低下させることとなるため、反対意見も多く、チーム内の議論の末、こちらもフェラーリと同様の理由で供給を行わないことを通告。この年のホンダは後述の理由で使用できなかったため、代わりのPUが見つからず、2016年に関しては、レッドブルはルノーとの契約を存続するものの、PU名を別名義にするという苦肉の策で合意(このやり方をバッジネームと呼ぶ。このときはレッドブルのスポンサーの時計メーカーであるタグ・ホイヤーの名義に変更した)。トロ・ロッソはフェラーリから前年型のPUを供給してもらうことで急場を乗り切った。その関係で両チームが2017年以降使用するPUは未定扱いとなっていたが、2016年のルノーの性能を評価し、レッドブルは2018年までルノーとの契約を結ぶことで合意。トロ・ロッソもルノーPUを再使用することで合意し、この問題は一旦決着がついた。だが、17年のトラブルにやはり苛立ちを隠せず、メディアを通じた批判が多数展開。このとき、レッドブルは2017年でマクラーレンとの契約が終わるかもしれないホンダに目をつける。


話はさかのぼり、レッドブルはホンダPUの供給を2016年から受ける計画も立てており、マシン開発ではホンダPUを搭載した場合の設計図も準備していた。しかし、この時はマクラーレンへの独占供給が求められる契約内容でもあったため、実現しなかったものの、その計画の一端でトロ・ロッソにテスト的な役割も兼ねて供給してもらう案もあり、当時の段階でトロ・ロッソとホンダが契約するのではという噂は流れていた。また、ホンダもマクラーレンの1チームのみ供給では限界を感じ、2チーム目の供給をし、異なるチームによってシャシーの違いを得られる環境を作り、開発の効率化を目指したいという思惑があり、トロ・ロッソとは立ち話程度ではあるものの、供給に関する話をしていた。


話は戻ってホンダとザウバーの契約だが、公式にはホンダ用のギアボックスの調達が難航することからザウバー側がこれに白紙にすることを表明し、間を置かずにザウバーはフェラーリPUの供給を継続することも発表された。その関係でホンダはこの年で撤退かと噂されたが、その水面下では、かなりの駆け引きが行われ、結果だけ見れば、2018年以降のPUの供給先がマクラーレンとトロ・ロッソで交換される形で決着となった。


2018年からトロ・ロッソとホンダでタッグが組まれ、シーズン中にシニアチームのレッドブルも、2019年よりホンダのパワーユニットの供給を受けることを決定した。


結果として、レッドブルとホンダのタッグは大正解であったと言え、彼らは年を追うごとに成績を向上させていく。トロ・ロッソのみの供給となった2018年は、第2戦で若手のピエール・ガスリーがいきなり第4期最高位となる4位入賞を記録。しかし、パワーユニット交換先のマクラーレンを個々のレースでは上回るものの、全体としては上回ることはできず、PUのトラブルも解消しきれず、レース前のPU交換が多かった。だが、レッドブルにもパワーユニット供給することとなった2019年からは万全の体制となり、開幕戦でレッドブルのエースドライバーのマックス・フェルスタッペンがホンダにとって11年ぶりの表彰台(3位)を獲得。その後レッドブルのホームサーキットであるオーストリアGPにて実に13年ぶりの優勝を上げ、2020年シーズン終了までに計5勝する。


マクラーレンと組んでいた頃のホンダの失敗の原因だが、現代のパワーユニットの開発に不慣れであるという点やシャシーに関する見識の少なさも確かにあったが、マクラーレンが自分たちの設計コンセプトを頑として曲げず、ホンダの意見を殆ど聞き入れなかったのも大きいと言われている。他にも、マクラーレンを選んだのは第2期の再現やかつての実績を評価したものだが、この頃のマクラーレンはチーム力が低迷していた時期でもあり、その内情をホンダが把握しきれていなかった側面もある※。

その一方でレッドブルは「ホンダに対して言うべきことは言うが、私達がすべきことがあるならホンダ側からも遠慮なく言ってほしい。一緒にやっていこう」という言葉の通り、チーム内で日本文化についての講習会を開くなど、終始お互いが協力的であった点、トロ・ロッソの供給に合わせ、ホンダ側も2018年以降の開発体制を見直したことが成功の大きな要因である。


※ただし、2013年のマクラーレンの不調から、供給前の段階でマシンの戦闘力を不安視する声もあった。また、チーム内の権力闘争といったマクラーレン自体の問題はF1専門のメディアからたびたび指摘されており、この時期のマクラーレンの状況に不安視する声やチームの問題も知る人ぞ知る状況であった。そのため、この時期のホンダPUの性能不足は弁明の余地がなかったのも事実だが、その観点からホンダに全ての責任があるのかと擁護する声もあった。


しかしホンダは2020年10月に、2050年のカーボンニュートラル社会実現に向け経営資源を集中することを理由に、2021年シーズンを最後にF1参戦を終了すると宣言。全世界に衝撃が走った。


悲願のチャンピオンへ

そして訪れた2021年、ホンダは2022年投入予定だった新技術を前倒しする形で導入。ここまで7連覇していたメルセデスAMG(このチームこそが、冒頭で述べた第三期ホンダF1の系譜にあるチームである)と互角に戦えるまでにパワーアップを遂げる。フェルスタッペンは、メルセデスの王者ルイス・ハミルトンとタイトルを巡って一進一退の攻防を展開。そして、ドライバーズタイトルのポイントにおいて全くの同点という47年ぶりの状況で、2021年12月12日の最終戦、アブダビグランプリを迎える。


レース序盤、スタートダッシュで遅れを取ったフェルスタッペンはトップのハミルトンに徐々に離されていくも、チームはセルジオ・ペレスのタイヤ交換を遅らせる判断を下し、フェルスタッペンがハミルトンに追いつくための時間を稼ぐために、ペレスより先にタイヤ交換を終えて出てきたハミルトンをブロックする作戦に出た。このペレスの活躍により、フェルスタッペンは一時はハミルトンの約1秒後方まで追いすがる。このとき、フェルスタッペンはペレスに対して「チェコ(ペレスのニックネーム)はレジェンドだよ!」と最大限の感謝と賛辞を送った。

Checo is a legend!

しかし、その後はまた突き放される展開となり、誰もが諦めかけた最終盤、下位勢のクラッシュによりセーフティカーが投入され、フェルスタッペンとハミルトンの差はゼロとなる。

フェルスタッペンはセーフティカーが入ったタイミングですぐさま新品のソフトタイヤに履き替えて最後のチャンスにかけた。一方のハミルトンはタイヤ交換に入ることで順位を落とす可能性が非常に高く、使い古したハードタイヤで走ることを余儀なくされていた。そしてファイナルラップ突入時にセーフティカーは終了しレースが再開。フェルスタッペンは新品のソフトタイヤのトラクションとグリップというアドバンテージを活かし、ハミルトンのスキを突いてオーバーテイクをかけてトップとなり、そのまま劇的なチェッカーを受けてワールドチャンピオンとなった。コンストラクターズチャンピオンこそメルセデスに譲ったものの、ホンダは実に30年ぶりの総合優勝という有終の美を飾り、F1活動に終止符を打ったのであった。

レッドブルホンダF1チャンピオン記念せつ菜ちゃん

この日、ホンダは最後のF1レースにあたり1つの広告を出していた。

そこには、これまでホンダを応援してきたファン、一緒に戦ってきたレッドブルとアルファタウリだけではなく、共に競い合ってきたライバルにさえも感謝するメッセージが刻まれ、多くの人々を感動させた。

同じ日本の自動車メーカーとしてバチバチにやりあう関係でもあり、かつてはF1で競い合ったトヨタも公式ツイッターで「行ってらっしゃい!」とエールを送り、フェルスタッペンがチャンピオンに決定した後は「感動をありがとう!」と、「#ありがとうホンダ」のハッシュタグを付けて健闘をたたえた。


ありがとうフェラーリ

ありがとうロータス

ありがとうブラバム

ありがとうマクラーレン

ありがとうウィリアムズ

ありがとうルノー

ありがとうメルセデス

ありがとうトヨタ


初めてF1に挑戦した

1964年のあの日から今日までの、

すべてのライバルに感謝します。

すべての応援してくれた人、

すべてのドライバー、

厳しい戦いをともにくぐり抜けてきた、

レッドブル、アルファタウリ、

すべての仲間に感謝します。


じゃ、最後、行ってきます。




レッドブル・パワートレインズへのバトンタッチ

2022年以降だが、当初はホンダPUに関する権利はレッドブルが新設したパワーユニット開発のための新会社「レッドブル・パワートレインズ(RBPT)」に引き継がれ、その年以降ホンダPUはRBPTが生産し、RBPT製ホンダPUとしてレッドブル・アルファタウリの両チームに供給され、ホンダは必要に応じてサポートするという計画であった。

ところが、RBPTがPUの生産を行うには準備もノウハウも足りないことはもとより、ホンダPUに関する知的財産権が一時的にレットブルの権利となることで、場合によってはレットブルが許可すれば別メーカーにホンダPUの情報を開示できるという不安要素が生まれることとなった。そこで計画は変更され、ホンダPUに関する知的財産権は譲渡ではなく、使用許可の契約という形へ変更され、エンジンの生産、PUの開発や分析、重整備も2021年までと同様、栃木県さくら市にある「Honda Research and Development(通称:HRD Sakura)」で行うものの、そこの管理は新たに再編された「HRC」(ホンダ・レーシング・コーポレーション。ホンダがレース事業を分離した別会社)が担うこととなり、現場の保守点検に関してはRBPT側が行うことで合意した。


その結果、新たなレギュレーションが適用されデザインが一新されたレッドブル、アルファタウリのマシンには「HRC」のロゴが刻まれているほか、レッドブル・アルファタウリの両チームの制服には、小さいながらもHONDAのロゴが引き続き入れられている。

名義はRBPTに変わったものの、RBPTにホンダの開発者が数名移籍して協力しており、実質的にはホンダ製エンジンといえる。そうした事情もあり、2022年に発表された新型アキュラ・インテグラのプロモーション映像に、アルファタウリのエースドライバーであるピエール・ガスリーが出演する、本田技研工業の公式Twitterが普通にレッドブルやアルファタウリの活躍についてツイートする、鈴鹿サーキットで行われる2022年日本グランプリの冠スポンサーをホンダが務めるなど、ホンダとは引き続き蜜月関係にある。

肝心の戦績も非常に好調で、最初期こそトラブルによるリタイヤがあったものの即座に問題を解決。日本GP終了時点で18戦中14勝・勝率77%・残り4戦にしてフェルスタッペンのドライバーズタイトルV2決定と、2022年シーズンを支配している。


こうした関係からSNS上で「撤退したとは()」「公式の活動終了は株主を納得させるための方便だったのでは?」と好悪の印象問わず言われている。


2026年以降はどうなる?

一方、一部のファンやモータースポーツ関係者からは「ホンダは撤退を撤回して電撃復帰するのではないか」という予測が囁かれている。これには次のような理由がある。

  • 2026年からのF1レギュレーションの大幅改訂に伴い、レッドブルはポルシェとタッグを組むことが予測されており、F1は新規参入チームやPU供給するメーカーに対し、前者は空力テストのための風洞実験の時間、後者はPUの試験運転の優遇などを多く取れるなどの特典を与えている。当初RBPTはホンダPUの使用しているPUメーカーではあるが、あくまで2026年から新規参戦するPUメーカーの予定であり、2022年から2025年のRBPTの活動はホンダ(HRC)から供給されているPUに対し、RBPTのバッチネームを使用してそのPUを管理するだけのメーカーに過ぎないという計画であった。だが、ホンダとRBPTの活動内容や各チームの政治的思惑によって、RBPTは生産活動こそしていないが、PUを管理運用していることからすでにPUメーカーとして活動しているとされるのでは?という噂や見方がされるようになり、この影響でその恩恵を受けられなくなる可能性が出てきた。そこで2025年まで再びホンダ名義に戻し、2026年からポルシェと組むことが正式決定した場合、再びRBPT名義に変更するか「レッドブル・ポルシェ」として参戦することで、新規参入チームとしての恩恵を受けたいという見方。
  • 昨今のカーボンニュートラル社会実現に向けた取り組みとして、2026年からは、F1で使用される燃料は100%再生可能燃料に変更されることが決まっている。ホンダのF1撤退理由は「カーボンニュートラル社会の実現に集中する」ことであるが、F1がこれを実現できるのであればホンダの企業目的に合致しており、将来に向けたテクノロジーの蓄積にも役立つ。

しかしながら、これらの理由について反論もある。

  • そもそも、前述のRBPTに関する内容は、FIAが公式声明として出したものではなく、あくまでゴシップ記事や噂に過ぎないものである。仮にそれが事実の場合、極端に言えば、RBPTがPUメーカーとして参戦していない状況を作ればいい話ではある。例を上げるとバッチネームを採用して記録上RBPTとして参戦していない形を取れば、理論上何とかなるはずである。
  • 将来に向けたテクノロジーの蓄積という目的で復帰するという見方だが、そもそも、ホンダはPUメーカーとしての活動は終了しているものの、HRCという形でF1に関与しており、それによってその目的はある程度達成されている以上、わざわざホンダがPUメーカーとして復帰する意義が薄いこと。
  • それ以前に2022年以降もホンダがPUメーカーとして活動を続けた方がいいメリットの方が大きいなら、PUの開発凍結が確定した時点で撤退方針を破棄し、F1関連の部門の再編やレットブルに対し有償での供給に変更するなどの条件を追加するなどの契約内容の見直しをしたうえで参戦を継続していればいい話であり、2026年以降の復帰計画ならまだしも、2025年以前、それも最短1年の休止で復帰するのは非合理的であるという見方。

以上の理由から、2025年以前にF1の公式記録として扱われるバッチネームも含め、スポンサー活動という形でホンダの名が復活する可能性はあるものの、PUメーカーとして復帰するという見方は懐疑的ではある。とはいえ、ホンダは公式上撤退したにも関わらず、ホンダの動向に少なからず注目が集まる状況が続いていた。


そんな中、ハンガリーGP終了後HRCとレッドブルのパートナーシップが2025年まで延長されることとなり、これにより現行レギュレーション終了までレッドブルとアルファタウリにホンダPUを搭載することが決まった。その後、通称サマーブレイク期間にて2026年からのPUの新レギュレーションの方針が決定する。


他方、レッドブルとタッグを組むとされていたポルシェに関する続報は少なくなっていた。2022年の指定日までに参戦を表明しない場合、2027年以降の参戦しかできなくなるため、既に交渉は決裂or決裂気味なのでは?という噂もあり、レッドブル側もそれを否定していなかった。そして9月9日になって、ポルシェ側から正式に交渉決裂が発表された


これに合わせて発表されたレッドブル側の声明によれば、金銭面の問題は関係なく、議論の末、双方が納得できる条件を満たす内容で契約することができないことが判明したため、破談になったとしている。


メディアの推測によれば、同じ親会社の傘下で先んじて参戦を発表したアウディはその時点ではPUのメーカーとして参戦することしか明言していなかったが、最終的にアウディのワークスチームが何らかの形で誕生する可能性が高いと言われているのに対し※、ポルシェ側は、PUのメーカーとしてワークス供給の実施は内定していたものの、それ以外は未定でとりあえずワークス供給先の有力候補としてレッドブルチームが挙げられていた。その内容だが、契約の条件にチームの株式を購入と同チームの運営に積極的に関与できる権利を求めていたとされる。その関係で将来的にポルシェのワークスチームとして再編・所有したいという思惑があるとされているが、そちらについては推測の域にとどまっている。どの計画にしろ、RB親会社側も(参戦支持派役員の高齢化もあってか)大規模なレギュレーション改訂のタイミングもしくは条件面で一致さえすれば売却したいという案があり、そのプランを一定程度容認していた模様。しかし現場のF1チーム側はレッドブルとしての独立性を維持するため、明確な線引きを求めていたことから、その条件に対し否定的であり、その結果、交渉が暗礁に乗り上げたはと言われている。


※アウディはPUのメーカーとして参戦することしか明言していなかったが、発表時の段階でどこかのチームを買収し、F1に参戦できる権利を確実に確保することとシーズンの成績に応じてもらえる分配金の権利を得られるようにする方針であるという見方をされていた。だが、その内容については見方が分かれており、アウディが既存のF1チームを買収しフルワークス参戦するのか、PUのワークス供給の範囲に留まるのかは不明であった。その過程で有力視されていたのは、アウディはザウバーのチームと契約し、その一環でチームの株式を買収。同チームをアウディのワークスチームとして参戦することを認め、運営については、アウディとしてはPUの開発に特化し、シャシーの方は供給しているチームに任せ、必要な支援も行うという分業のような方針になるとされている。なおザウバーは2023年までアルファロメオとして参戦する契約を締結しているが、2023年を持っての提携解消が発表されている。その発表後となる2022年10月26日、アウディは2026年からザウバーと提携することを発表。ザウバーはアウディのワークスチームとして参戦することが内定している。


ただし、報じられているポルシェがレッドブルチームの運営に関与したいという計画だが、そもそも、これは株主としての権利を行使しているという見方もできるため、過度な要求とは言えない面もある。また、レッドブルに関してもRBPTでPUを開発するため、ポルシェがいなくても問題ないと強気でいるが、短期間で優勝争いができるクラスのPUを開発するのは容易ではなく、開発自体も一朝一夕できるものではない。そもそも、ポルシェとの提携の理由の一つには、RBPTでやるには困難な箇所の部分をポルシェに委託するか共同開発することを考えていた面もある。そのため、ホンダが復帰するチャンスであり、それで円満解決という論調もあるが、それ以前にホンダが2025年で完全に終了することが決定していた場合、その計画も破綻してしまう。そうなるとレッドブルは2026年以降のPUの入手先について、その2社以外から探すことも検討しなくてはならず、その関係でレッドブルとしても安泰とは言えない状況になっている。


この様に2026年以降のF1の方針は固まりつつあるなか、2022年日本GP前、レッドブルの幹部がホンダ本社に足を運んだことが報じられ、それから間もなく、レッドブルとホンダの協力関係を強化する一環で日本GPから最終戦アブダビGPまでHONDAのロゴが追加で掲載されることが発表された。さらに同年のシーズン後となる12月には2023年もロゴの掲載を行うことを発表。さらに2026年からの新PUの製造者としての登録をしたことも発表された。そのため、「2026年以降のホンダ復帰の伏線では?」という見方もあるが、これに関して、ロゴの掲載というのはあくまでスポンサー活動の一種に過ぎず、現にエントリーリスト関連でホンダの名が復活したわけではないことを考慮する必要がある。また、登録したことに関しては、もともと期限内に登録しないと2026年からの参戦ができなくなるため、とりあえず参戦の有無は問わず、登録だけしといて参戦する権利だけは確保しておくのではという噂があり、それが現実になっただけという見方もでき、現にホンダ側も再参戦を前提としたものではないと明言している。


また、レッドブル・ポルシェは幻になったものの、HRCの活動が発展し、HRCとして参戦する可能性やホンダとして2026年以降に復帰するとしても相変わらずハードルは高い。

  • 現実的な問題として、参戦費用の問題がある。そもそも、費用の問題も撤退した間接的な理由として挙げられるため、はたして会社がそれに耐えうる資金を用意できるのかという点や株主がそれに同意するのかという壁もある。
    • 一方で予算制限の導入、シーズン終了時の分配金の額が増額されている点、F1全体で見れば、スポンサーの参入が増えているため、参戦チームがスポンサーの獲得をできるかはともかく、年間としての支出額は以前に比べれば減っているため、莫大な費用が必要という見解に反論する見方もある。
  • 費用の問題はクリアできても、ホンダが再参戦することも容易ではない。そもそも撤退の理由は、カーボンニュートラル社会に会社として対応することとそれに伴う開発部門の再編を実施したかったからであり、F1用の人員も使わないと対応できないぐらいひっ迫していた面もある。さらに2026年から新形式のPUになるため、再参戦にはそのPUを開発する必要があるため、その点から懐疑的な意見もある。
  • そこで分配金の権利も得られるワークスチームとしての参戦する案も噂され、買収候補となっているレッドブルもしくはアルファタウリのどちらかを買収する方法だが、この方法も課題がある。レッドブルの買収案は、ホンダ側の支持も集めやすく、PUの事情も交渉材料にすれば、単なるワークス供給で収支で支出が多い状況を軽減できる可能性もある。しかし、RBPTの活動をスタートしている関係で、レッドブル側はホンダのワークスチーム化に対し以前に比べれば積極的ではないのでは、という見解もある。また、RB親会社は先述した通り売却自体は肯定的ではあるが、成績不振の時期が続いている状況ならまだしも広告塔としての価値や優勝争いをしている(少なくとも常に表彰台を争っている)F1チームを理由もなく手放すとは考えにくく、親会社の経営不振といったと特別な事情がない限りありえないに等しいと言われている。
  • そのため、F1復帰を優先する観点からアルファタウリへの供給ないし買収してのホンダのワークス参戦するという見方もあるが、こちらも噂の域にとどまっている上、こちらも課題がある。
  • アルファタウリはレッドブルに比べれば売却の噂が目立つため、チームの購入に対するハードルという点ではいくらか低い可能性はある。しかし、身もふたもない言い方をすれば、アルファタウリ自体、前身も含め、シーズン終了時のチームのランキングの成績としては、野球で言えば、ずっとBクラスのチームであり、チームの価値としては厳しい評価となる。さらに入賞に関しては好不調の差が激しいチームなうえ、下位チームや小規模チームという点を差し引いても、資金提供さえすれば成績向上が見込めるレベルには達しておらず、成績向上のためには相当な投資リスクを背負うこととなる。
    • 実際、前述のザウバーはBMWのワークス時代、資金面以外の支援も受けていたが、それらによってAクラスに加わり、シーズン中に表彰台を複数記録するなどの歴史がある。また、その時期以外にも表彰台を獲得したことがあるシーズンがあったり、入賞の規定の違いはあるものの、2001年と2002年にAクラスの成績を記録したこともある。
  • 現にホンダのワークス供給によるアルファタウリ(トロ・ロッソ)の時期の成績は、ワークス供給されていない時期に比べれば優位な環境でありながら、Aクラスの成績を記録できなかったという歴史もある。そのようなチームのワークス供給ないし買収はそれ自体にリスクがあり、第3期のような乱高下の激しい成績や2015年~2017年のマクラーレン時代のような状況が起きる可能性もある。
  • 仮にマクラーレン時代の迷走劇の再来はなかったとしても、成績不振が続き資金の持ち出しだけ続くような状況になれば、ホンダ第5期(仮)は活動期間は今までの中で最小の期間になり本末転倒、という事態も起きかねない。

以上のことから、2025年までにバッチネームとしてホンダが復帰するシーズンが起きる可能性が生まれつつあるが、2026年以降に関してはあくまで未定としている。仮に正式に復帰するにしても、そこに至るまでに問題が多々あることは考慮する必要がある。


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レッドブル マクラーレン

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