概要
小説『銀河英雄伝説』で銀河帝国が皇帝・エルウィン・ヨーゼフ2世誘拐事件を起こした犯人をかくまう自由惑星同盟に対して発動した作戦。
宇宙暦798年・帝国暦489年、門閥貴族残党が皇帝・エルウィン・ヨーゼフ2世を誘拐する事件が起き、幼い皇帝を擁し「銀河帝国正統政府」を樹立したレムシャイド伯爵ヨッフェンが自由惑星同盟に亡命する事件が起きる。
事態を知った帝国宰相・ラインハルト・フォン・ローエングラム公爵は皇帝を誘拐した門閥貴族残党と同盟を糾弾、同盟に対し宣戦を布告、エルウィン・ヨーゼフ2世を廃してカザリン・ケートヘン2世を新皇帝として擁立した。
同年8月、帝国は「ラグナロック(神々の黄昏)作戦」を発動、
イゼルローン要塞攻略司令官にオスカー・フォン・ロイエンタール上級大将、副司令官にヘルムート・レンネンカンプ、コルネリアス・ルッツ両大将を任命し堂々と進発。
一方で帝国軍宇宙艦隊司令長官を兼ねるラインハルト・フォン・ローエングラム(元帥)は主力艦隊を率い、極秘裏にフェザーン自治領に侵攻を始めた。
壮大な陽動兵力を迎え撃つイゼルローン要塞駐留艦隊司令・ヤン・ウェンリー大将はレンネンカンプ大将を翻弄し、ロイエンタール上級大将を敗死の一歩手前まで追いつめるが、帝国軍がフェザーン回廊から同盟領になだれこんことを知りイゼルローン要塞を放棄する。
そのころ、同盟首都・惑星ハイネセンでは自由惑星同盟最高評議会議長・ヨブ・トリューニヒトが職務を放棄したことにより軍事委員長・ウォルター・アイランズと同盟軍宇宙艦隊司令長官・アレクサンドル・ビュコック元帥が残存兵力を糾合、ヤンを元帥に昇進させると、ビュコックは唯一残っていた第1艦隊と新設した第14・第15各艦隊とともにランテマリオ星域に出撃、帝国軍主力艦隊との戦いで艦を多く失い敗れるが、首脳陣は健在であり秩序をもって撤退する。
一方、イゼルローン要塞を放棄したヤン艦隊は各地にある同盟軍基地からの補給を受けつつ、同盟領を行動する帝国軍艦隊を急襲、多大な損害を強いていた。
損害の大きさに業を煮やしたラインハルトは、提督たちの反対を押し切って主力艦隊を各地に派遣し、みずから囮となってヤン艦隊をおびき寄せる策に出た。
策は見事に当たり、ラインハルトはバーミリオン星域にヤン艦隊をおびき寄せることに成功するが、直属艦隊の提督たちが二流であることがたたって敗北の淵にたつことになってしまう。
ラインハルト敗死の直前、帝国軍・ナイトハルト・ミュラー大将の艦隊が現われて戦場に割り込み、ラインハルトの盾になる。
ミュラー艦隊の働きは同盟軍第14艦隊司令・ライオネル・モートン中将を戦死させたが同盟軍優勢の事態を変えるまでにはいたらなかった。
が、同時刻に起きた同盟首都・惑星ハイネセン陥落までの時間稼ぎになっていた。
そのころ、宰相秘書官・ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフはウォルフガング・ミッターマイヤー上級大将のもとを訪れ同盟首都・惑星ハイネセンの攻略を進言、賛成したミッターマイヤーはロイエンタール上級大将も作戦に参加させることを提案したことにより、両艦隊によるハイネセン占領作戦が実行された。
結果、自由惑星同盟評議会議長・ヨブ・トリューニヒトがビュコック元帥、アイランズ軍事委員長らの反対を押し切って敗北を受け入れたことにより、帝国・同盟両軍は停戦、勝利が目の前にあったヤンも、敗北の淵にあったラインハルトも停戦を受け入れた。
戦後、自由惑星同盟統合作戦本部総長・ドーソン元帥は身柄を拘束されたが、イゼルローン駐留艦隊司令・ヤン・ウェンリー元帥、同盟軍宇宙艦隊司令長官・アレクサンドル・ビュコック元帥、同盟軍第15艦隊司令・ラルフ・カールセン中将らは罪を問われることはなかった。
しかし、同盟政府に対する講和条件においては帝国軍総参謀長・パウル・フォン・オーベルシュタイン上級大将が発案し、ラインハルトが認可した厳しい処遇(バーラトの和約)がとられた。
1.惑星ウルヴァシーを含むガンダルヴァ星系及び回廊周辺の2つの星系の割譲
2.年間1兆5000億帝国マルクの安全保障税の支払い
3.戦艦及び空母の廃棄など である。
※、他、イゼルローン要塞の引き渡し、惑星ハイネセンに帝国軍高等弁務官事務所も置かれた。
宇宙暦799年・帝国暦490年5月25日、上記条件により「バーラトの和約」が調印されたことにより、「ラグナロック(神々の黄昏)作戦」は終了。
同年6月22日、帝国宰相・ラインハルト・フォン・ローエングラムはゴールデンバウム朝銀河帝国皇帝・カザリン・ケートヘン1世からの譲位を受け、即位した。