1935年三重県生まれの映画監督、プロデューサー、翻訳家。スタジオジブリ所属。アニメ演出家出身だが、アニメーター歴はなく、基本的に絵は描かない。『柳川掘割物語』のような実写映画も作っている。
東京大学仏文科卒業後、東映動画に入社。宮崎駿の先輩にあたり、宮崎の盟友であるとともに演出の師匠でもある。宮崎の左翼的傾向は元々この人の影響と言われる。
若き日は宮崎・大塚康生とタッグを組んで『パンダコパンダ』、『ルパン三世カリオストロの城』など数々の名作を作った。1985年、ジブリを宮崎駿・鈴木敏夫とともに設立。今では宮崎との作風の違いが顕在化し、同じスタジオに所属してはいるが別々に作品を制作している。
従来のセル画アニメの絵に不満があり、『ホーホケキョとなりの山田くん』以降は、CG技術を活用することで、水彩画風のアニメを制作している。
人となり
天才肌の奇人宮崎駿の影に隠れてあまり目立たないが、高畑は、何事も理詰めでなければ納得しない秀才型の奇人である。『風の谷のナウシカ』のプロデューサー就任を頼み込む宮崎駿と鈴木敏夫に対し「プロデューサー論」を大学ノート一冊書いて「だから、僕はプロデューサーに向いてない」と言い放った、というのはよく知られたエピソード(最後は「友人が困っているのに、あなたは力を貸さないんですか!」という鈴木の言葉に負けてプロデューサー就任を了承するが)。
博識で知られる宮崎以上のレベルの勉強家で、歴史・思想・美術・建築などは、それぞれ学術的な解説ができるほどの知識があり、最近の芸能人や若手のミュージシャンなどもよく知っている。自作の出演声優は全て自らキャスティングしている。『風立ちぬ』のヒロインの声優瀧本美織は高畑が気に入っていたことから宮崎に紹介したものである。音楽は特にクラシック音楽に造詣が深くピアノ演奏も得意だという。仏文科出身だけあってフランス語に堪能であり、翻訳家としての仕事もしている。
主な作品
ジブリ以前
『太陽の王子ホルスの大冒険』
『赤毛のアン』
『じゃりン子チエ』
ジブリ以降
『火垂るの墓』
『おもひでぽろぽろ』
『かぐや姫の物語』(制作中)