マンチェスターの不幸
1940年、イギリス軍が期待を寄せて開発した新世代の双発中型爆撃機『アブロ マンチェスター』は飛行安定性の不足や搭載エンジンの諸問題を解決しきれず、1942年に全ての機体が運用を停止してしまった。その主な原因となったのは、マンチェスターが搭載しているロールス・ロイス製のヴァルチャー液冷エンジンが双子型に連結していたことだった。2基のエンジンを1基に連結させることで出力の向上を狙った訳なのだが、結果から言えば整備性の低下を招いた挙句に機械的な信頼性が低いと言う苦情がパイロット達から相次いだのである。
ランカスターの誕生
そこで開発されたのが『アブロ ランカスター』だった。その最大の変更点は搭載エンジンをより出力が大きく信頼性の高いロールス・ロイス製のマーリン液冷エンジンを大型の翼へ普通に4基配置すると言う堅牢かつ、確実でまともな発想に基づくものだった。
その後の輝かしい活躍
1942年より本格的な運用を開始したランカスターはマンチェスターの拡大改良型とはいえ、性能面では比べ物にならないほど輝かしい発展を遂げた軍用機として第二次世界大戦の終結まで活躍し続けた。
緒元性能【Mk.1B】
全長:21.18m
全幅:31.09m
全高:5.97m
重量:28.6t
発動機:マーリン液冷/1280馬力×4
最高速度:450km/h
航続距離:4300km
上昇限度:8160m
乗員:7名
武装:7.62mm機関銃×8門
爆装:6400kg(標準)~10000kg(最大)