ヨルムンガンド
よるむんがんど
- 北欧神話に登場する怪物・ヨルムンガンド。⇒ミドガルズオルム
- 月刊サンデーGXにて連載された高橋慶太郎の漫画作品。⇒ヨルムンガンド(漫画)
- 機動戦士ガンダム_MS_IGLOOに登場する架空の兵器。本項で解説する。
試作艦隊決戦砲「ヨルムンガンド」
『機動戦士ガンダム MS IGLOO』において、ジオン公国が試作した『艦隊決戦砲』と呼ばれる巨大なプラズマ収束砲。威力は一般的な艦隊砲撃の10倍以上で、艦隊決戦の切り札とされた。胴体は複数のブロックに分けられ、それぞれ決戦宙域に輸送して現地で組み立て、最後に砲座を連結することで使用できる。
しかし、威力こそ当時の艦船の兵器を上回るものでありながら、超高温のプラズマを使用するため砲身の冷却に時間を要し連射が不可能であることや、ヨルムンガンドの発射にかかる『1発につきザクⅡ3機分』とも言われる超高額の運用コスト、さらに原理上地球の磁場の影響を受けやすいプラズマ弾や、前線の友軍艦隊からの観測と指示なしには正確な射撃ができない扱いづらさも重なり、実機が完成した時にはすでにMSに戦術の中心が移っていたといわれる。
U.C.0079年3月の開戦後のルウム戦役と思われる時期に、データ収集を兼ね、艦隊決戦の切り札として第603技術試験隊に専任の砲術長アレクサンドロ・ヘンメ大尉とともに配備された。
艦隊戦が開始され、前線からの観測データが届くはずであったが、データはいつまでたっても届かず、ヘンメ大尉が目視観測により独断で2発を発射し、命中弾こそなかったがうち1発はかすめただけで航行中のサラミスが引き寄せられるなど、威力のほどを見せつける。
しかし、新製配備されたザクが戦列に加わり、状況は一変。603試験隊はザクがあっという間に連邦軍の戦艦を次々沈めていく光景を呆然と見つめ、さらにその中で現れた赤色のザクから、この艦隊戦においてはMS投入が最初から作戦のうちであるとの通信を受ける。同時に彼らは、ヨルムンガンドが最初から戦力として勘定されていなかったということを知らされたのだった。
直後、連邦軍のマゼラン級から攻撃を受けてヨルムンガンドは損傷し、ヘンメ大尉も重傷を負う。それでも、ヘンメ大尉は大砲屋の最後の意地とばかりに3発目を発射し、マゼラン級に直撃、一瞬で撃沈させる。しかし、その後の戦闘でヨルムンガンドが使用されることは終戦までついになく、ヘンメ大尉も負った傷がもとで戦死している。
このほか、漫画『GUNDAM LEGACY』においてもU.C.0084年のサイド3に『プラズマビーム砲』という名のヨルムンガンドと思われる兵器が1基配備されており、気化爆弾を搭載した惑星間航行兵器『シルバー・ランス』の迎撃に使用されている。