チャイナエアライン120便炎上事故
ちゃいなえあらいんひゃくにじゅうびんえんじょうじこ
概要
2007年8月20日に、台北発那覇行きのチャイナエアライン120便が那覇空港に着陸直後炎上、出火した事故。
当該機(ボーイング737-800型機)は予定通り着陸したが、タクシング中に管制官や地上の整備員が翼から煙が出ていたり燃料が漏れていることを確認。
すぐさま機長に連絡がいき緊急脱出の準備が進められ、乗客は全員シューターで緊急脱出した。
乗客とCAが全員脱出したのを確認した後、機長と副操縦士がコクピットから脱出しようとした矢先に機体は爆発炎上、全焼した。
副操縦士が爆発によって機体から転落して負傷、地上でも係員が若干名負傷したものの、死者・重傷者は出さずに済んだ。
原因
2009年8月28日に、事故を調査していた国土交通省運輸安全委員会が報告書を公表。
右主翼スラットのダウンストップアッセンブリ(抜け落ち防止のための部品)が抜け落ちており、これが燃料タンクに突き刺さったことで、穴から燃料漏れが発生した、と結論付けられた。
抜け落ちの原因だが、そもそもこの部品には設計上の不備があり、この事故以前にボルト脱落に起因する燃料漏れが二件発生していた(幸いにして火災には発展しなかった)。
このためボーイングは「部品を一端外し、接着剤を塗ってつけ直す」という改修作業を行うように各航空会社にアナウンスしたのだが、機体構造上、作業員は肝心の改修箇所を目視できず、指先の感覚だけで部品を取り付けることになった。
この構造が整備ミスを誘発し、部品の取り付けが上手くいかず、外れやすい状態になっていたと考えられる。
この部品がスラット展開時、もしくは着陸の衝撃によって完全に脱落、着陸後のスラット格納に当たって、スラットによって押し込まれ、タンクを貫通してしまったのである。
この事故を受けて同型機が一斉点検された結果、米国だけで21機もの機体で同様の整備ミスが発生していた。
ボーイング社は、整備手順を見直すだけでなく、部品の改良によって再発防止策とした。